これだけ!教案の作成テクニック!Part2
講師の皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田です。
前回は教案作成の必要性と、その作成手法の全体像、そして絞り方をお伝えしました。
(前回の記事:これだけ!教案(板書案・授業案)の作成テクニック!)
今回は続きとして、絞った内容から教案を作成し、更に優れた教案をつくるためのプロセスをお伝えしてまいります。
2,絞った内容を理解させるために必要な情報を洗い出す
内容を絞ることができたら、次にそのことを教えることに付随する情報を洗い出していきます。
一見すると「絞った後にまた膨らますの?」と思うかもしれませんが、ここで重要なのは「単元をまたいで、必要な部分を洗い出す」という点です。
テキストに書いてある内容を教えるだけであれば、極端な話、音読させるだけで授業は成立することになります。
しかし、それだけではつまらないですし、理解できないからこそ生徒は塾に来ているのです。
なるべく知的好奇心を刺激しながら、理解を深める話を入れてあげましょう。
なお、目安としては、1つのポイントに2~3個の補足が基本となります。
これで1テーマあたり、概ね20分程度の内容となるはずです。
あとテーマ数を変えることで、授業時間に応じた教案が作成できます!
とはいっても、“膨らませる”という考え方は、新しい先生にはイメージしにくいかと思います。
そこで、理科を例に考えてみましょう。
「星の動き」を教えるためには、太陽の動き・自転・東西南北の向きなど、いくつか前提となる知識が存在します。
もし知らないと、家に帰って復習できない状態に陥ってしまいます。
それを防ぐため、授業の導入部分で確認をしてあげると、学習がスムーズに行われます。
また、上位クラスであれば、発展的な内容を取り扱ってあげてもよいでしょう。
その場合、ただ教科書の先取りを行うのではなく、より勉強がワクワクするような話をしてあげると、生徒の知的好奇心に火をつけることができます。
先ほどの例であれば
・宇宙が発生した起源
・先生が一番おもしろいと感じた星座名と、その理由
・天体観測で注意するべきこと
などが、該当すると考えられます。
ただし注意していただきたいのは、新しい単元に入る場合。
ここで補足説明を取り入れる際は「生徒は初めて目にする」ことを強く意識してください。
先生からするととても簡単に見えるため、ついつい次の単元まで先取りしたくなります。
ですが、初回の単元は特に慎重に教えることが要求されます。
というのも、最初の単元でつまずいてしまうと、その影響を後まで引きづってしまうからです。
全く理解していない状態ということを理解して、特に最初の説明部分に時間を割くようにしてください。
特に数学・英語を教える場合、生徒にとって理解しづらいと感じることも多いようです。(正負の数、受動態などが代表的です)
また、導入部分ではいきなり本題に入るのではなく、その単元の必要性を示してあげるようにしてください。
3,教案・板書案を作成する
今まで考えてきた内容を1枚の紙にまとめる作業を行っていきます。
(なお、板書を行う場合は別途板書案を作成してもよいですが、なくても構わないでしょう。というのも、板書内容はクラスのレベルに応じて変更することもあるためです。)
いずれにしても、教案・板書案を作成する場合には、作成の目的である“ヌケモレをなくす”ことのために、自分が教える内容をきちんと網羅することはしっかり意識しましょう。
さて、説明するときに何も書かずに教える先生はいないと思います。
そこで生徒に向けて、何かを説明する文章を作成するときのコツをお伝えしておきます。
・文字量
文字量はできる限り少なめに抑えましょう。
なぜなら、たくさんの内容をノートに書かせても、大半の生徒はノートを再度見直して復習することはないためです。
加えて、説明はテキストなどに詳しく掲載されているケースがほとんどですから、文章ではなくキーワードを中心に、記載してあげるようにしてください。
・文字の書き方
大きめ、太めに書くことを意識してください。
そして、漢字を大きめに書くようにすると、見栄えがよくなります。
万が一漢字を忘れてしまったら、動じずにカタカナで書きましょう。
なお、ポイント等目立たせたいときは太字にするだけではなく、色を変える・斜めに書くテクニックが有用です。
・図解
ポイントは図解し、単に単語の羅列にならないよう注意してください。
(特に英語の授業になると、ただ単に英文を羅列しがちです)
イラストが下手な先生も、キーワードを丸で囲み、矢印で関係を示すだけでも全然見栄えが違います。その際、線を真っ直ぐに引くと生徒からの評価が上がりますので、なるべくうねうねしないように書けるよう練習してください。
具体例を以下に示しておきますので、参考にしてみてください。
【矢印】
一番使い勝手がよいツールです。
意味と大きさを分けることで、様々な説明に対応できます。
A→B AだからB(順接)
A⇒D A→B→C→Dをまとめたもの
A⇔B AとBは反対
A=B AとBは同じ
A~B AからBまで
【下線】
ただ線を引くだけではなく、波線にしたり、点線にしてもおもしろいでしょう。
【行頭文字】
中点(・)だけではなく、チェックや四角も見やすくなります。
また、番号をつけてあげるとストーリーが伝わりやすくなるでしょう。
【顔文字】
顔文字は記憶に残りやすく、場を和ませるテクニックとして使えます。
その際、手軽に書くために、携帯電話の絵文字を参考にするとよいでしょう。
顔文字集:http://www.geocities.co.jp/Hollywood/4078/i/kaomoji1.html
・色分け
色はルールを使って2~4色程度使ってあげるとよいでしょう。
私は
黒:一般的な文章
赤(黒板では黄):重要単語、暗記する必要がある文章
青(黒板では赤):補足事項、別の表現を必要とするもの
緑(黒板では青):間違えやすい点
ピンク(黒板では緑):図示するときにみやすくする際に使う
としています。
レインボーのように様々な色を使う生徒、黒しか使わない生徒にはきちんとルールを説明し、その通り使い分けるように指導するようにして下さい。
・最初に連絡事項を書く
宿題・連絡事項などは、最初に書いておくと、学習範囲を明確にできます。
また、日付、タイトルもこの時点で書いておくとよいでしょう。
・書いているときは内容を声を出す
先生が黒板・ノートに書いているときに、無言だと少し教室の雰囲気がさびしくなりがちです。
ですから、書いている内容をそのまま声に出すだけでも良いので、声を出してあげるとよいでしょう。
補足:個別指導で注意するべき点
個別指導(家庭教師を含む)の講師の方ですと、もしかすると教案を作っていないかもしれません。
というのも「不明点を解説してほしい」というニーズが、個別指導には強いからです。
ですが、教案を作らないで授業に臨むことは決してしないようにしてください。
単なる「質問に答えるマシーン」になっていては、成績は向上しません。
なぜなら、受験では自分の力で考え、答えを導く力が求められているためです。
また、学習カリキュラムを生徒任せにしていると、計画的な学習が行われない危険があるためです。
確かに質問に答えるのは大事ですが、生徒を導くのも講師の大事な仕事です。
だからこそ、教案をつくり、自分たちが必要な部分を教えていくことが重要になります。
なお、個別指導では以下の点に注意するとより良い授業が展開できるでしょう。
・講義が細切れになりがちであるため、話す内容をコンパクトにまとめる
(特に1対2の指導スタイルの場合、1回あたり5分が限界だと思ったほうがいいでしょう)
・演習と講義を繰り返す必要があり、事前に解説する問題をピックアップする必要がある
・教案をそのままコピーして、渡しておくと時間短縮につながる
さて、ここで一通り教案はできたことと思われます。
次回は最終回として、できた教案をどのように生かすのか、詳しく解説をしていきます。
まとめ
絞った内容から、分野横断的に必要な情報を洗い出すことを心がける
個別指導でも教案を作成することは必ず行う