商学部と経済学部は何が違うの?【学部紹介】
突然ですが、私は医学部のことをよく知りません。
しかし私の担当する生徒が、医学部と理学部との選択に悩んでいたら、私はその生徒の力になることができません。私はどちらの学部のことも、そしてそこで何を学ぶのかもよく知らないからです。
このシリーズではいろんな学部を紹介し、塾講師の皆さんが生徒の”人生の”進路の相談に乗れることを目的としています。
塾講師が大学生の方であれば、自分の学部のことについてはよくご存知でしょう。
しかし、他の学部のことはよく知りません。理系の人は文系の学部をよく知りませんし、文系もまた理系の進路をよく知りません。
【学部紹介】では、単に学部で学ぶことの紹介にとどまらず、その学部の実体やら授業内容を紹介していきます。あるいはそこで学ぶこと自体の導入講義を展開していく予定です。
【学部紹介】の記事を読んだことが、皆さんが生徒さんの相談にのったときに役立てれば幸いです。
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どっちの学部も学ぶのはお金。けれども主体が違います。
受験生の頃は本当にこの2つの違いがわからないものでした。
おそらく今の受験生もこの2つの違いがしっくり来ている人はそんなにいないでしょう。
ところで塾講師は別に全員が全員商学部だったり経済学部だったりはしません。
ですので、受験生が商学部だとか経済学部だとかを志望すると、そこがどんな世界なのかもあまりよくわからないでしょう。
今回の記事ではそれぞれの学部を紹介するとともに、その学部がどんな特徴を持っているのかを紹介したいと思います。
なぜ区別しにくいのか?
多くの大学には商学部もありますし、経済学部もあり、そしてそれぞれ一定の人気を持っています。
早稲田には政治経済学部の経済学科があるわけですし、慶応でしたら商学部と経済学部があります。明治もしかり、日大もしかり。
けれどもこの2つの学部の違いがいまいちわからないことが多いです。
私が思うに、多くの人が学部を「何を勉強するところか」で捉えているからでしょう。
法学部だったら法律ですし、医学部でしたら医療を学びます。
そうなると、商学部も経済学部も結局「お金」を学ぶということで、「同じじゃないの?」って思ってしまうわけです。
何が違うのか?
では何が違うのか?
商学部で考える主体は企業です。つまり企業がお金をどのように”運用”するのかの勉強をします。
経済学で考える主体は環境です。環境を所与として、経済の”状態”を勉強します。
前者で学ぶことは運用。
お金をどこに投資するのか。どのように回収し、どのように管理するのか。それを効率的に運用するための施策は?といったような、お金に対して積極的な姿勢を持っています。
後者で学ぶことは環境。
お金がどのように循環しているのか。どこにお金が溜まっているのか、不景気の原因はどこにあるのか。お金に対して受け身な姿勢ではありますが、運用のときよりもより大きな視野を持ってお金を分析します。
なんとなく、違いはわかってきましたか?
ですから企業経営とかは前者になり、金融関係は後者になりやすいのです。
商学部は何を学ぶのか
では商学部ではどのようなことを学ぶのでしょうか。商学部で学ぶことはだいたい3つに分類されます。会計・経営です。
会計
商学部と聞いて真っ先に思いつくのが会計でしょうか。
企業のお金を運用するためには、企業のお金を管理しなくてはなりません、ちなみに会計には2種類あって、財務会計と管理会計の2つがあります。
財務会計というのは、企業が外部に発信する用の会計のことです。企業がどのような経営をしているのかをお金を通じて理解するのに必須です。
ちなみに財務諸表だとか、株価だとかは財務会計の領域ですので、おそらく多くの人は会計と聞いたら財務会計のことをイメージする人が多いのではないでしょうか。
一方で管理会計とは、企業内部で用いる会計手法です。
どういうことか?例えばある機械を買えば当分の間は収益性は出るが、その機械の費用が高いとき。それを買うべきか買わないべきかの意思決定をするツールが管理会計です。
さらには各部署の業績を測定するために用いられるツールを開発するのも管理会計です。つまり、企業の経営に必要な知識を提供するのが管理会計なのです。
※公認会計士って何?
公認会計士はそのままの言葉のとおり「公に認められた会計士」のことです。
資格を持っていなくても会計業務をする人も実際にはいますが、その会計の知識をちゃんと持っているという資格が公認会計士なのです。
公認会計士の主な特権は、財務諸表の監査ができることですが、どちらかというとそれだけの仕事ではないのです。
実際に企業の中に入って、「会計の仕事ができますよ」という証明をして、金融だとか、コンサルタントだとか、投資だとかの業務に携わることが一般的です。
経営
同時に商学部と聞くと、「企業の経営かな」とイメージする方も多くいらっしゃるようですね。
確かに商学部では経営をよく学びます。
特に人気なのはやはり経営戦略。
ゲームが好きなのか、戦略っぽいことを考えたい人がけっこういます。
なぜその企業がうまくいったのかだとか、なぜその企業は失敗したのだとかを考えます。
少し視点を変えると、マーケティングという要素も入ってきます。
商品をうまく売るためにはどうしたらいいのかなと考えるものですが、世間の考えるマーケティングと授業で行うマーケティングには差があるようで、けっこう失望する人が多いです。
経済学部は何を学ぶのか
一方で経済学部は何を学ぶのでしょうか。こちらは分類するとするならば、ミクロ経済学とマクロ経済学に分類できます。
ミクロ経済学
経済活動をすごく細かく見るのがミクロ経済学です。
こちらでは市場の分析に始まり、インセンティブの研究まで行います。
高校のころに政治経済の中で出てくる、需要と供給、そして均衡の理論を学んだことかと思いますが、あれはミクロ経済学です。
なんだあれを学ぶだけかよと思うかもしれませんが、あれをもっと深く分析すると面白いことになります。需要と供給の話だけではなく、独占、寡占状態のときどのような状態が起こるのかだとかまで踏み込みます。
市場の失敗だとか外部性をどのように扱うかも考えます。
最近ではゲーム理論がこの分野の最先端に来ていますね。「人のインセンティブをどのように操作するか」がこの分野の研究になります。
人をうまく働かせるためにはどうしたらいいのかを考える組織の経済学やら契約理論もあります。
マクロ経済学
経済活動をすごく広く捉えるのがマクロ経済学です。
テレビに出てくる経済学者は往々にしてこの分野の専門家であることが多いです。いわゆる景気、失業、インフレを分析するのもこれです。
国の経済全体をうまく回すにはどうするのかを考えるのが、マクロ経済学です。
こちらは金融の分野がかなり進んでいますね。
つまり日本政府が経済を活性化させる方法はなにかを研究するわけですから、利子率をあげたらどうなるだとか、貨幣の量を増やしたらどうなるだとかを考えます。
こちらの経済学はかなり政治色も帯びてきますので、政治が好きな人はこの分野も合っているかもしれません。
※最近の流行:ピケティ
そういえばマクロ経済学で最先端なのはピケティでしょうか。
彼はr>gという方程式(?)を統計的に導いたわけですが、これは経済成長よりも資本の価値の増加のほうが早いということを意味します。
例えてしまうと「成長に貢献するよりも土地を買う&待機ばかりしておいた方がよい」ということですね。
成長というのがまさに経済活動が望むことなのですが、もしこれが事実だとしたら、誰しもが成長を望まず、まずは土地を買うことを優先します。
こうなってしまった場合、投資する手持ちを持たない人たちは労働しかすることができません。
そうなると、労働者の持つお金と投資家の持つお金の差はどんどん広がり、貧富の差が広まってしまう、というのがその理論です。
まとめ
商学部と経済学部は両方ともお金について扱いますが、そのアプローチが違います。
商学部はあくまで「企業」がお金をどう「運用」するのかです。経済学部は「国家」のお金がどのような「状態」にあるのかを考えます。
ただしここで注意していただきたいことが一点だけ。
「商学部で学ぶことは企業に入ったら役に立ちそう」
「商学部は就職に有利」
あるいは
「商学部で学ぶことは実践的でいい」
といったコメントをよく聞きますが、それはないのでだまされないように。
少なくとも他学部よりも実践的だとか、他学部よりも有利になるとかそういうことはありません。
むしろ商学部でまなぶことは企業に入ったら結局経験として学びます。
むしろ経済学部の方が理論的であり、そちらは企業で積極的に教えてくれるものではないので、そちらのほうがいいかもしれません。
ただし、商学部は確かに企業で学ぶことを先取りして学ぶわけですが、それはあくまで「経験」として学ぶだけであって、「理論」で学ぶわけではありません。商学部で学ぶところの企業の現象に関する理論を知っているのか、あるいは経済学部で学ぶところの経済全体に関する理論を知っているのか。
どちらがいいというわけでもなく、どちらも素晴らしい道です。
どちらも便利になります。
それでだけは伝えておきたいと、商学部の一人として紹介させていただきます。
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