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【必読】進路指導で保護者と生徒の意見が違う場合は、どうすればいい?

2021/12/17

進路指導で保護者と生徒の意見が違う場合 

皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田です。

 

保護者の方と生徒の意見が食い違うケースに遭遇した経験は、講師であれば必ず経験するかもしれません。

     保護者の意見               VS         生徒の意見
  家でまったく勉強しないので怒る VS    勉強をする気が起きないと言い張る
  好きな科目しか勉強しようとしない   VS   嫌いな科目はやりたくないからやらない
  塾で勉強せず、遊んで帰ってきている  VS  塾は友達がいるからいやいや行っているだけだ

等が代表的な例でしょう。

「学習してくれない!」という悩みを解決するアイデアは、本サイトに既にたくさんの記事があります。気になる記事をぜひ探してみてくださいね!
参考:http://www.juku.st/info/category/36

さて、この記事では「進路指導で保護者と生徒の意見が違ってしまっている」ケースに、どのように対応するべきなのかを考えていきたいと思います。

まずは両者の意見に(どんなに正当性がなくても)共感してあげる

そもそもこのケースでは講師側の発見が後手になるケースが多いです。
保護者の方と電話・面談をしたときに、本人が話していることと違うことが発覚した

保護者の方の話を受けて、生徒に「○○に行けるように頑張ろうね!」と話したら
「あれは親が勝手に言ってるだけ。私は行きたくない」

 

…どうでしょう。そのあとの言葉に詰まってしまいませんか。
考えてみただけで、冷や汗が出るようなケースですね。 

ここで重要なのは、うろたえずに話を聞くこと
ここで「え、そうなの!先生はてっきり○○かと思ってたよ!」と全く知らなかったことを伝えたり、「どうしてそういうこと言うの?!」と詰問してしまってはいけません。

 

保護者の方に対しても「○○さんは違うと言い張っていますが…」とネガティブな表現で反論しても、相手に不信感を与えてしまいます。 

まずは相手を肯定して、その進路に共感していることを伝えましょう。
(応援している、と伝えると後々こじれる可能性があるので、理解を示すレベルで留めてください)

どうして双方の主張が食い違うのか、論点を明確にする

共感したあとにするべきこと、それはヒアリングです。

お互いの意見が食い違う、ということは、その裏には論拠(理由)があるはずです。
その理由を丁寧に聞いていきます。
具体的に聞く例をいくつか挙げてみましょう。 

・どうしてその進路がよいと思っているのか

意見が言える=調べているケースが多い、とは限りません。

多くは、一方的な視点で物事を見てしまっています。
そこで、何を重視して進路を選んでいるのかを把握することが必要になります。
憧れだけで進路を選んでいないか、ブランドに目がいってしまっていないか、きちんと確認しておきましょう。 

典型的なNGパターン(そのままだと軋轢を生むケース)
○○高校に行くと医学部推薦があるから→そのためだけに○○高校に行く必要があるか?
私が△△大学出身だから、うちの子も△△中学に入れないと→本人の学力とか適性、本当に考えていますか? 

・その進路以外は駄目なのか

進路がよい理由を聞いた後、次にそれ以外の進路についてどう考えているのかを聞いてみましょう。
(言い換えれば“思い込みの強さ”を測る質問をしよう、ということです)

もしかしたら、単に反抗期で親の言うことをききたくないだけかもしれません。
その場合は時間が解決してくれるため、話を聞きながら親の希望にそれとなく誘導してあげればよいでしょう。

他に、比較したら第一志望になった、というケースがあります。
この場合は冷静に判断できているように見えますが、実際にはデメリットを考えていないことが多いです。
客観的な視点から、意見を伝えてあげると比較的スムーズに話し合いが進みます。

 

 一番大変なのが、○○以外絶対にダメ!と考えているケース。
特に保護者が絶対に○○、と言っているケースが最もやっかいです。
かなり慎重な対応が求められますので、安易に否定せずに教室長などに報告したうえで、相談するとよいでしょう。

・その進路について保護者(生徒)はどのように感じているのか?

お互いに喧嘩していたり、あまり会話しない家庭だと、そもそも進路に対する考え方に相違があることを知らないご家庭もあります。

知っているのであれば、相手側の意見についてどう思っているのか、よく聞きましょう。
「意味が分からない!」と突っぱねているのか、「理解はできるけど、私はこちらのほうがよいと思う」と譲歩可能であるのかを知ることが重要です。

 

結局、意見の相違が発生する理由は「コミュニケーション不足」にあると私は考えています。
本当に1対1できちんと話をしていれば、満足とは言わなくても一応の合意を見るケースがほとんどです。
そして何より、いわば内輪もめを塾の講師に相談してくることはありません。
ですから、私たちがするべきことは「第三者としての愚痴聞き役&伝達役」です。

 

ご理解頂けると思うのですが、一番やってはいけない選択肢があります。

 

それは、「自分たちで十分に話してね!」といって、切り捨ててしまうことです
お互いに話し合うことができないから、私たちの目の前で意見の相違が起こっているのです。
ですから、焦らずにコミュニケーションをしっかりとりましょう。

そして相手側から「先生、どうすればよいと思いますか?」と言われてから「本人(保護者の方)ともう1度、きちんと時間を取って話せばいいと思うよ」と伝えるようにしましょう。
ここで講師は主観をはさまずに、説得ではなく、諭す時間を作ることがポイントです。

金銭的問題なのか、そうでないのかを考える

先述の通り、基本はコミュニケーション不足が根底にあります。
ですから、ここを促すことで解決できますが、問題の本質が金銭的問題だと話が違ってきます。

通常、保護者はお金がないことをあまり口外したくないものです。
ですから、色々と理由を言いながらも「結局国立のほうが~」「私立の○○学園は…」という表現を使ってい

るときは、金銭的問題が絡んでいると考えてください。
(もちろん、お金の面から厳しい、といってくるケースもあります)
この場合は、生徒側には対応策がほとんどありません。

中学進学には奨学金制度そのものがほぼない状態ですし、高校は奨学金制度が件ごとに分かれていて複雑です。(参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/010.htm
大学なら比較的使いやすい制度になっていますが、学力の壁と家計基準があります。
そして多くの塾通っている生徒さんは、この条件を通らないことも多いのが現実です。
(参考:http://www.jasso.go.jp/saiyou/daigaku.html) 

 

非常に残念な話ですが、お金が絡むケースでは生徒にはっきりと「保護者の方ががんばっていただいても、金銭的に志望先を変更する必要がある」と伝えましょう
これは本当にまじめに話をしてください。(個人的には、個別に呼び出して、責任者とともに3者面談するのがよいと思います)

そこで話をすると、とてもショックを受けることになるでしょう。
ですが、いつか話さなければならないことですから、講師として逃げずに向き合ってあげてください。
そして、話すときになるべく近い選択ができるような代替案を探しておくと、生徒のショックを和らげることができます。
必ず他の提案を用意して、この話に臨むようにしましょう。 

最後は保護者側の視点に従う

結局、両方を諭してもどうにもならなかったら、どうすればいいのでしょうか。
その際は、”保護者の言い分”を採用するようにしましょう。
なぜなら、塾に通わせている、すなわちお金をお支払いいただいているのは保護者です。
そして生徒の人生に対する、最終責任を有しているのも保護者です。
(法的に、20歳未満の人は法律行為をはじめとした権利は保護者が有しています)

 

講師はあくまでも、教育サービスを提供することを求められている存在であり、保護者の意向に逆らう権利はありません。
また、どんなに生徒が満足していても、保護者が講師を「信頼ならないな」と思ったらやめてしまいます。
辞めてしまったら、せっかくのアドバイスがすべて無駄になってしまいますから、これが一番よくない解決法であることはご理解頂けると思います。


だから、お互いが譲らない場合は、保護者側に立たざるを得ないことは知っておいてください。
その際、生徒には「先生もいろいろ考えてみたのだけれど、お母さん・お父さんの言っていることも正しいと思うよ。だから、そのとおりにしてみたら?」と話してみましょう。
生徒から「先生はどう思うの?」と聞かれたら、仮に本音では生徒の言っていることが正しい、と思っても、保護者の意見を自分の言葉で伝えましょう。
もちろん、これは最終手段であることを忘れずに! 

最後に…

講師としてベストな選択がいつも取れるとは限りません。
ときにはお叱りを受けたり、思い通りにならないこともたくさんあるでしょう。
ですが、それも含めて「教育」であり、塾に求められていることでも有ります。
私達講師は、ベターな選択肢を提示することはできます。
ですが、最終決定を行うのはあくまでもご家庭です。
そのことを忘れずに、進路指導に臨んでいきましょう。 

まとめ

進路指導の問題は、コミュニケーション不足が根幹にあることを理解する

金銭的問題については、保護者の意向をきちんと生徒に伝えることが重要である

どうしても折り合いがつかないときは、保護者サイドに立って生徒指導にあたる

 (参考記事)
進学以外の進路を相談されたら?:http://www.juku.st/info/entry/795
入試当日に講師が生徒にできること:http://www.juku.st/info/entry/1044

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