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【新人講師向け!】授業計画、"これだけ押さえれば安心"の3つのポイント

2021/12/17

さあ、初めての授業。どうしよう?

さあ、新人講師のあなた。

採用が決まって初めての授業。

ドキドキしますよね?

「生徒はきちんと話を聞いてくれるだろうか?」

「ちゃんと分かりやすい授業ができるだろうか?」

心配は尽きないものです。

私も30年前の講師デビューの時は、ものすごく緊張しました。

たった60分の授業なのに、終わったら全身ぐったり・・・(笑)

だからこそ、この記事で新人講師のあなたに「これさえ押さえておけば大きな失敗はしない3つのポイント」をお伝えしたいと思います。

 

チェックリスト 

 

ポイント1:授業の基本は「解説」+「演習」の"ミルフィーユ"構造!

まず最初に押さえておくべきポイントは、集団にせよ個別にせよ塾の授業というものは、大きく、

「解説」と「演習」で成り立っている

ということです。

一般的に講師の「解説」だけを聞いてすぐにできるようになる学習者(=生徒・塾生・子供たち)はほとんどいません。

学習者ができるようになるためには、講師の「解説」を聞いて教科内容を理解し、それを使って実際の問題を「演習」する必要があります。

ですが新人講師は、この二つのうち、どうしても「解説」の方に意識が行きがちなんですよね。

「どう解説すれば分かりやすいか?」

「飽きずに聞いてもらうにはどうしたらよいか?」

と、どうしても「解説」の仕方ばかり考えてしまう。

私自身も、最初の頃はそうでした。

特に集団授業の時は、一生懸命、事前に「解説」をどうするかを考えて、いざ授業本番になると、汗だくになってしゃべり続けてしまう。

また、個別指導の時は自分がしゃべっていないと、なんだかサボっているような気がして、ついつい余計な「解説」をしてしまう。

でも、それではダメなんですね。学習者をできるようにしてあげるには、授業時間中にちゃんと「演習」する時間をとって、学習者自身が練習する機会を作ってあげる必要がある。

だから実際の授業の中では、「解説」と「演習」を、

「解説①」→「演習①」→「解説②」→「演習②」→「解説③」→「演習③」

といった形で交互に行い、ステップ・バイ・ステップで授業を進めましょう。

「まず最初にここを解説したら、この問題を演習させる。全員できたら、つぎにここの解説をして、こちらの問題の演習・・・」

こんな感じで1コマの授業の流れを考えるのです。

ちょうど食感のちがう二つの素材を交互に積み重ねた"ミルフィーユ"のように、「解説」と「演習」を交互行うことでいつのまにか授業前より1段高いところまで到達している。

そんな授業が学習者にとっての理想の授業なのです。

ですからまず、授業の大きな流れとして、「解説」と「演習」を交互に組み合わせて授業計画を立てましょう。

この流れさえきちんと守れていれば、学習者が置いてきぼりをくらい、「全然話を聞いてない」「居眠りをしてしまう」といった最悪の事態は避けることができます。

ミルフィーユ

 

ポイント2:授業の最初に「目標宣言」と「レディネス調査」を忘れずに!

さて、「解説」と「演習」のミルフィーユ状態で、授業の本体部分の流れを考えたら、

その前に授業の導入部として、

「目標宣言」と「レディネス調査」のパートを付け加えましょう。

この部分をきちんとやらずに、いきなり「解説」を始めると、大けがをすることがあります。

私も新人講師時代、ここをきちんとやらなかったせいで、全生徒から「分かりませーん!」と言われてしまったことがあります。(この時のことは今でも夢に見ます(汗))

まず、「目標宣言」ですが、これはその授業で学ぶことの意義を伝える部分になります。

たとえば、「関係代名詞」の導入であれば、こんな風になります。

「今日勉強する『関係代名詞』というのは、二つの文章を一つにして複雑な事柄を伝える方法なんだけど、後ろの部分が前の語を修飾するという日本語にはない技法なので、日本人にはなかなか理解できない部分でもあるんだ。でも、入試問題にもたくさん出てくるし、分かって使い方に慣れてしまえば英語を読むのが楽になるから、一緒に頑張ろう!」

兵隊を一番疲れさせるのは、目的地を知らせずに行軍させることだそうです。

授業の最初に、「目標宣言」しないと、学習者たちはどこに連れて行かれるか不安になり、やる気を出してくれません。

逆に最初にきちんと、これから勉強することがどういうことで、それをできるようになることでどんないいことがあるかを簡潔に伝えることで、学習者は自分たちば目指す「目的地」が分かり、安心して「やる気」を出してくれるのです。

「目標宣言」は、学習者の不安を取り除き、やる気を高めるために必ず行いましょう。

また、「解説」の前に「レディネス調査」をするのも忘れてはいけません。

レディネス(readiness)とは、学習者がどのくらい新しい情報を受け入れる「準備」ができているか、ということ。

それを知らずにいきなり独りよがりな「解説」を始めると、昔の私のように学習者から「全然分かりませーん!」といわれてしまうのです。

たとえば、ふたたび関係代名詞の導入であれば、最初に「分詞の後置修飾」の例文を提示して、「この文の意味分かる?」と質問します。

分かる人が多ければ「後置修飾って言葉は聞いたことある?」と重ねて聞いて、みんながその言葉を知っていれば「後置修飾」という言葉を使って解説を進めます。逆に分詞を使った例文の意味すら分からない人が多ければ、まず分詞の形容詞的用法の復習から始めるか、知識ゼロを前提に丁寧に解説した方がよいでしょう。

学習者のやる気を高め、きちんと「解説」を理解してもらうための準備作業。

それが「目標宣言」と「レディネス調査」なのです。

目標を示す女性講師

 

ポイント3:授業の最後に「クッション活動」を入れると安心!

新人講師のうちは、1コマの授業のなかの時間配分も難しいものです。

ここまでやろうと決めていたことが終わらず、最後の方が駆け足になってしまったり、逆にやらせることとがなくなって時間が余ってしまった、などということがよく起こります。

このような事態に陥らないためにも、

授業の最後の部分に行う「クッション活動」を計画しておきましょう。

「クッション活動」とは、時間が来たらいつ終了にしても構わない、調整のための活動のことです。

典型的なのは、来週までの宿題をやり始めてもらうことや、演習問題を少し多めにしておいて、時間がくるまで解いてもらうことです。

あるいは学習者が幼ければ、学習内容に関連した楽しいゲームなどでもよいでしょう。

ポイントは、いつやめても大丈夫な活動にしておくこと。

また、その日の授業の理解度を確認できる活動にしておくとさらに効果的です。

たとえば、その日に学習した内容の発展的な内容をやらせておいて、講師の方は机間巡視する。

一人一人の鉛筆の動きを観察すれば、どの子がどのくらい理解できたかは一目瞭然です。

個別にアドバイスしてあげれば「面倒見がよい先生」と評価を上げることができますし、全員がつまづいているところを見つけたら、補足の解説をしてもよいでしょう。

学習者の理解度が確認でき、時間配分に関する不安を大幅に軽減してくれる「クッション活動」。

ぜひ、最初の授業計画から組み込んでみてください。

個別指導

 

授業の流れは「家造り」と一緒!

さあ、以上が新人講師のあなたが最初の授業計画で守るべき3つのポイントです。

もちろん、これ以外にもよい授業をするためのポイントはたくさんあるのですが、まずはこの3つのポイントさえ押さえておけば、初回の授業で大失敗、という事態にはならないでしょう。

そして、この3つのポイントは、「家造り」をイメージすると自然と押さえられるようになります。

つまり、「地ならし」→「建築」→「住み心地確認」の流れでイメージしておくと楽に授業計画を立てることができるのです。

まず、「目標宣言」と「レディネス調査」で、「地ならし」を行い、授業という家を建てる準備をします。

準備が終わったら、「解説」と「演習」の積み重ねで家を「建築」しましょう。"ミルフィーユ構造"にして、しっかりとした家を建てます。

そして最後に、できあがった家を「クッション活動」で体験してもらい、「住み心地確認」を行うのです。そしてなにか不都合があったらその場で修正し、より快適な家を目指しましょう。

この流れを特に意識せずとも作れるようになるころに、あなたは「新人講師」ではなく、立派な「塾講師」になっているはずです。

どんなベテラン講師も最初はみんな新人講師。

立派な塾講師になるために、まずはここから始めてみてくださいね。

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