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授業の雰囲気を自由自在に操るための10のヒント【集団指導の塾講師向け】

2021/12/17

授業の雰囲気コントロールは永遠のテーマ

「生徒たちがうるさくて話を聞いてくれない……」

「なんだか生徒になめられている気がする……」

そんな悩みを持ったことはありませんか?

あるいは逆に、

「何を言っても反応がない……」

「静かに聞いてくれるんだけど、つまらなそう……」

といった悩みは?

授業の雰囲気コントロールは塾講師の永遠のテーマ。

今回は、私の長い講師生活の中で見つけてきた、「授業の雰囲気を自由自在に操るためのヒント」をご紹介しましょう。

 

授業風景

 

学習者との心理的距離の総体が授業の雰囲気

まず、最初に授業空間の雰囲気がどのように醸し出されるかを簡単に説明しましょう。

人間の相手に対する感情は、心理的距離によって以下の図のように変化します。

 

 

心理的距離

 

 

相手との心理的距離が絶望的に遠いと、それは「恐怖」の感情を引き起こし、そこからだんだん近づくにつれて「畏怖」→「尊敬」と変わっていきます。

さらに心理的距離が近くなっていくと、「共感」から「親密」へと移行して、近くなりすぎると、「軽蔑」の感情が芽生えてきます。

「神のような絶対的存在」→「怖くて気を遣う目上」→「尊敬できる存在」→「共感できる仲間」→「気の置けない親密な間柄」→「軽蔑を含んだ馴れ合いの関係」と言えば分かりやすいでしょうか?

そして授業空間の雰囲気とは、講師と学習者の心理的距離の総体です。

学習者の多くが講師に対して過度の「親密」さや「軽蔑」の感情を持っていると、授業空間は熱気を帯びるものの、一歩間違えると秩序が保てなくなってカオス(混沌)になってしまいます。

逆に、学習者の多くが講師に対して「畏怖」や「恐怖」の感情を抱いていたり、無関心の裏返しとして過度の従順さを発揮したりすると、授業空間は秩序だってはいるものの、冷たく、硬く、退屈なものになってしまいます。

講師が目指すべき授業空間は、上記心理的距離の図で言うところの「尊敬」と「共感」の間でしょう。

 

心理的距離その2


学習者の学びは「共感」と「尊敬」の間で最大化します。

だからこそ講師は、学習者との心理的距離が近くなりすぎて授業空間が熱くなりすぎたらクールダウンさせ、逆に心理的距離が遠すぎて、授業空間が冷たく、硬いものになっていれば、それをウォームアップさせて距離を近づける必要があるのです。

 

授業の雰囲気を「クールダウン」させるための5つのヒント

北風

では、まず授業の雰囲気を「クールダウン」させるためにはどうしたらよいか。

過度に親密な態度を取る学習者が多かったり、なんだか教室(学習者)全体が浮ついているな、と感じた時には、以下の5つのヒントを実行してみてください。

1,敬語を使う

敬語の使用は、相手と一定の距離を保つのに非常に効果的です。

「●●さん、ここの答えは何を書きましたか?」
「✕✕くん、静かにしてもらえますか?」

少しクールに、相手が親密そうに話しかけてもこちら側が冷静に敬語を使い続けていると、だんだん学習者のほうも落ち着いてきます。

2,授業前に座る席をこちらが指定する

授業が始まる前に、こちらで学習者が座る場所を指定して、それに従わせることも「だれがリーダーなのか」を分からせ、「だれの言うことを聞くべきか」を実感させるのに効果的です。

集団授業の場合など、とかく「元気な」学習者は仲間どうしで固まって、その場を「盛り上げ」ようとするものです。それを事前に防いで授業に集中させるためにも、このヒントを使いましょう。

3,静かになるまで黙る

授業の雰囲気が熱くなりすぎ、ざわつきが収まらなくなってきたら、静かになるまでこちらが黙りましょう。

うるさくなった集団に大声で「静かにしろ!」と叫ぶのは逆効果です。

「静かにしてください」と敬語を使って穏やかに言ったら、静かになるまでじっと待ちます。静かになるまで一言もしゃべらず、ぴくりとも動いてはいけません。

学習者との根比べになりますが、何度かこれをくり返すうちに、小声で促すだけでスッと聞く態勢に入ってくれるようになります。

4,「瞑想タイム」を入れる

普段は落ち着いているのに、今日はなんだかそわそわ・ざわざわしている。

そう感じられたら、適宜「瞑想タイム」を入れましょう。

「目をつむって、鼻からゆっくり、お腹を膨らませるように息を吸って」

そう指示して1分ほど瞑想させると、驚くほど学習者は落ち着いてくれます。

5,最初の授業で「怒鳴る」

これは、ちょっと「取扱い注意」な方法なのですが、担当して最初の授業の時に、意図的に怒鳴って「ビビらせる」という方法があります。

本当に叱責する必要はないのですが、たとえば最初のガイダンスの時に、

「えー、先生は基本的には優しいですが、宿題を忘れた人には、”何やってるっ!”と、怒鳴ることもありますから注意してください(ニコッ)」

と、いきなり大声をだしてビックリさせるのです。

とにかく「元気」で有名なクラスを受け持ってしまった場合などは、最初の授業でこれをやって「この先生は怒らせるとコワい」というイメージをすり込んでおくと、あとの授業がずっと楽になります。

 

教室の雰囲気を「ウォームアップ」させるための5つのヒント

太陽

さて、つぎは、冷たく、硬くなってしまった授業空間をほぐす「ウォームアップ」のためのヒントです。

もちろん、講師の本分は授業の面白さ、それも知的な面白さで学習者を興奮させることなのですが、それにプラスアルファする形で以下に挙げる5つのヒントを実行すると、非常に効果的です。

6,ストレッチ(ツボ押し)をする

講習の時の朝一授業や、夜遅い授業で生徒の疲れがピークに達している時などは、授業前にストレッチの時間を取り入れましょう。

体を動かすことで血の巡りがよくなり、気分がリフレッシュして学習者は元気になります。

また、「睛明(せいめい)」や「風池(ふうち)」「百会(ひゃくえ)」といった、頭がスッキリする系のツボを教えて指圧させるのも学習者は喜びます。

7,「アイスブレイク」をする

「アイス(氷)」「ブレイク(壊す)」とは、文字通り冷たく、硬くなってしまった空間をほぐすための小さな活動です。

ちょっと変わった自己紹介をしたり、指や体を動かしてそれを見て笑いあったり。

授業に入る前にちょっとだけアイスブレイクの時間を取ると、場が和んでスムースに授業に入ることができます。

ちなみに私のお気に入りのアイスブレイクはこれです。(少々、練習が必要ですが(笑))

 「アイスブレイク」と検索すれば、それこそ星の数ほど事例がヒットしますので、ぜひ検索してお気に入りの活動を探してみてください。

8,ストップウォッチを使う

授業の進行にストップウォッチを持ち込んで、「タイムトライアル」の要素を導入すると、一気に授業が活性化します。たとえば、

「助動詞の活用表を全員が7分以内に記入できるようにする!」
「この練習問題を10分以内に解く!」

といった形です。

もちろん、正確性を同時に追求しながらですが、このように時間との闘いを意識させながら授業を進めると、学習者は見事に「熱く」なってくれます。

9,ゲームを入れる

これも8,と共通するのですが、学習者の理解度に合わせて学習内容をゲーム化すると、ゲームに熱中している間に、学習者の理解を一気に進ませることができます。

特に英語など習熟させるのに訓練が必要な教科においては、このゲーム化は非常に有効です。

10,「ヒーローインタビュー」をする

野球の試合の後などにやる「ヒーローインタビュー」

これを授業の「最初」にやると、学習者の気持ちがぐっと「上がり」ます。

前時のミニテストなどで「最高点を取った人」や「一番伸びが感じられる人」など、いろいろな「ヒーロー」に登壇してもらい、

「どんなことを意識しましたか?」
「成功のポイントはなんでしょう?」

といった感じでインタビューするのです。

誉められて悪い気がする人はいません。また、成功体験をシェアすることで聞いている方も元気になり、気持ちよく授業に入ることができます。

インタビュー

まずは学習者を「尊敬」し、彼らに「共感」せよ。

さあ、いかがだったでしょう?

使えそうなヒントは見つかったでしょうか?

さて、最後に重要なことを1つ。

それは、いずれのヒントも講師が本気にならなければうまく機能しない、ということです。

学習者は気持ちのこもっていない「小手先のテクニック」を敏感に見抜きます。

ですから、これらのヒントはあくまでもあなたの本気を伝える補助的手段として使ってください。

また、何よりも講師であるあなたが、学習者に対して「尊敬」と「共感」の感情を持つことを忘れないようにしましょう。

人間は味方の話しか聞かない動物です。

まずはあなた自身が、学習者の味方になって彼らに「尊敬」と「共感」の感情を持って向き合ってください。

そうすれば、これらのヒントはきっとうまく機能してくれるはずです。

先生と生徒

 

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