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生徒の「勉強の質」を見抜いて、最適な授業をするための”たった1つの冴えたやり方”【全講師必見!】

2021/12/17

「時間管理マトリックス」で自分の行動を振り返ると?

(※本記事は、「【全講師必見!】生徒に退塾されないために塾講師が実装すべき「4枚のカード」」の続編です。先にそちらをご覧いただいてからお読みいただくことをお薦めいたします)

 

さて唐突に質問ですが、「時間管理マトリックス」という便利なツールをご存じですか?

これは、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」という本の中で紹介されて有名になったものですが、

横軸に行動の「緊急度」、縦軸に行動の「重要度」をスケールして、

あなたが取り得る行動を4つの領域にプロットしたものです。

 

そしてコヴィー氏は、自分の普段の行動をこのマトリックスを手がかりに分析し直すことで、

「人生を効果的に生きる」ことができるようになると言います。

 

時間管理その1

 

以下、簡単に説明しましょう。


第Ⅰ領域(緊急度:高/重要度:高)

緊急度も重要度も高い行動。

今すぐやらないと大変なことになる行動です。

明日までに仕上げなければならない書類作成や、大事な顧客からのクレーム対応など、

緊急を要し、その結果が生活に重大な影響を及ぼす行動がここに入ります。

 

第Ⅱ領域(緊急度:低/重要度:高)

緊急度は低いが重要度は高い行動。

今すぐやらなければならないわけではないが、やることによって将来の結果が大きく変わる重要な行動です。

たとえば、長期的な人生計画の立案や、健康維持のための運動、将来にむけての投資としての勉強や人脈づくりなどがここに入ります。

 

第Ⅲ領域(緊急度:高/重要度:低)

緊急度は高いが重要度は低い行動。

やらなければならないが、特に自分がやる必要もない行動です。

売り込み電話に対する対応、意味のない会議への出席、形式的な報告書の作成など、いわゆる「雑用」ですね。

 

第Ⅳ領域(緊急度:低/重要度:低)

緊急度も重要度も低い行動。

やる必要もないし、やる意味もない行動です。

つまらないと思いつつ見続けるテレビ、友達とのだらだら電話、ただ酔うためだけの飲酒など。

平たく言ってしまえば「人生の無駄遣い」的行動ですね。

 

 

「やりたいこと」「やるべきこと」を中心に生活するのが成功の秘訣。

いかがでしょう?

 

こうやってマトリックスを見ながら自分の普段の行動を振り返ると、けっこうドキっとしますよね(笑)。

ただ、この「第Ⅰ領域」「第Ⅱ領域」「第Ⅲ領域」「第Ⅳ領域」という呼び名。

今一つイメージが湧いてこないので、私はこんな風に勝手に呼び換えています。

 

  • 「やらなきゃ大変」領域(緊急度:高/重要度:高)
  • 「やりたい・やるべき」領域(緊急度:低/重要度:高)
  • 「とりあえずやっとけ」領域(緊急度:高/重要度:低)
  • 「どうでもいいよ」領域(緊急度:低/重要度:低)

 

 時間管理その2

 

そして、コヴィー氏は、

我々は自分の生活を、第Ⅱ領域中心、つまり緊急度が低く、重要度が高い「やりたい・やるべき」行動を中心にコントロールすべきと説いています。

具体的には第Ⅲ領域と第Ⅳ領域をなくすようにし、第Ⅰ領域もきちんとタイムマネジメントすることでなるべく「やらなきゃ大変」な状況に陥らないようにする。

そうして「やりたい」と思う行動、将来に向けて「やるべき」と考える行動を生活の中心に据えることで、人生が自分の望むものに近づくのだというのです。

 

「緊急度」と「重要度」の組み合わせで「勉強の質」を見抜け!

さて、勘の良いあなたならすでにお分かりでしょう。

じつは生徒の「勉強の質」もこの4つの類型にあてはめることができるのです。

 

3種類の勉強その1

 

1,義務的勉強(「やらなきゃ大変」勉強)

当人もしなければならないと思っており(=重要性を感じており)、

時間に余裕がない(=緊急性の高い)勉強です。


この勉強の典型は、「赤点回避のためのテスト勉強」や「受験学年になってから始める受験勉強」でしょう。

「明日までにこれ覚えなきゃ」
「どうしよう、間に合わない」
「徹夜で寝不足ですぅ」

このタイプの勉強をしている生徒はよくこのような発言をします。

あまりよい状態ではないのですが、ある意味、塾で一番よく見かける勉強のタイプともいえます(笑)。

 


2,主体的勉強(「やりたい・やるべき」勉強)

当人が強くその勉強を「やりたい」「やるべき」と感じており、なおかつ時間的には余裕がある勉強です。

この勉強の典型は、ずばり「成績優秀者の先取り勉強」「低学年から始めた受験勉強」です。

「将来のために英会話を習っておこう」
「数学に興味があるので先取り学習がしたい」
「目の前の得点には興味はない。自分がやりたい勉強がしたい」

このタイプの勉強をしている生徒はこのような思考・発言をします。

いわば「自己実現」のための主体的な勉強であり、もっとも本来的な意味での勉強と言えるでしょう。


3,逃避的勉強(「とりあえずやっとけ」勉強)

「やらないと親や先生に怒られるから・・・」
「やればいいんでしょ、やれば。」

この領域に入る勉強をしている生徒は、このような発言・態度をとることが多いようです。

「とりあえずやっとけ」の逃避的勉強は、別名「とりつくろい」勉強。

 

幅広く成績優秀者の中にも見られるこのタイプですが、共通するのは「伸び悩み傾向」にある(あるいは近いうちに陥る)こと。

また、やってはいるのだけれど、やったことが蓄積されている印象が薄いのも特徴です。

指導するのに一番やっかいなタイプの勉強かもしれません。

 


4,非勉強(「どうでもいいよ」"非"勉強)

勉強に対して緊急性も重要性も感じない場合、人間は勉強しません。


つまりこの領域に入る勉強はありえず、よってここは「非勉強」となります。

実際はここに入ってしまっている子供たちも相当数いるのですが、塾講師であるあなたの前には現れない(=現れるときは他の領域で現れる)ので、ここでは無視しておいてもよいでしょう。

 

「勉強の質」に合わせた「4枚のカード」の使い方

さて、生徒の「勉強の質」を見極めることができると、それぞれに対する「1T+3C」のカードの使い方が見えてきます。

それぞれの領域ごとに説明すると・・・

 

義務的勉強には、「ティーチング主体でコンサルティング的なサポート」が有効です。


本人が「やらなきゃ」と思い、「やろう」としているのですから、

ここは素直に「ティーチング」のカードを切りましょう

講師側がカリキュラムを立て、どんどん教えていきます。


そして、「勉強のやり方」に関して生徒に「迷い」が生じたときに、

自信たっぷりに「コンサルティング」のカードを切ってあげましょう。

(ただし、勉強そのものに対して迷いが生じた場合は、「コーチング」や「カウンセリング」的アプローチが必要になります)

 

昔は塾の授業と言えばこのスタイルでした。

今も予備校的な集団講義スタイルの塾ではこのアプローチが主流でしょう。


主体的勉強には、「コーチング主体で必要に合わせてティーチング」が有効です。

自分をしっかり持ち、自分にとっての勉強の意味も分かっている生徒相手なら、

コーチング的に相談しながら勉強の道筋を立て、必要に応じてティーチングで、

「自力では気付くのが難しい領域」や「はるか先にある高度な学問の姿」を教えてあげましょう。

 

「先生と生徒」という上下関係ではなく、どちらかというと「共に学ぶ仲間」。

 

講師には「教師」というより「メンター」や「師匠」的な関わり方が求められます。

成績優秀者対象の個別指導塾や少人数制で生徒主体の学習を進める塾にはこのアプローチがベストでしょう。

 

逃避的勉強には、「カウンセリング的アプローチからのコーチング」が有効です。


「とりあえずやっとけ」的な逃避的勉強に欠けているのは、本人の勉強に対する自覚です。

外部状況の緊急性によって勉強はしているものの、本人の中の重要性は低いままですので、

まずは本人にとっての「勉強の意味」を与えてあげる必要があります。

 

まずはカウンセリング的に現状を分析し、勉強を阻害する要因はできるだけ取り除きましょう

その上でコーチング的にアプローチして、「自分は何のために勉強するのか」を考えさせます。ティーチングのカードをメインで切るのはその後です。

補習がメインの個別指導塾や成績の底上げを目標とする塾では必須のアプローチといえるでしょう。

 

3種類の勉強その2

 

生徒にとっての勉強のイメージを決めるのは、あなた。かもしれない。

さて、いかがだったでしょう?

塾講師の生徒へのアプローチには、じつにさまざまなルートがあるんですね。

そして覚えておいて欲しいのは、1人の生徒の「勉強の質」も、いつまでも同じではない、ということ

 

「とりあえずやっとけ」の逃避的勉強しか知らなかった子が、

「やらなきゃ大変」の義務的勉強で成功を重ねるうちに、

「やりたい・やるべき」に突き動かされた主体的勉強を始めることもあります。

 

そしてそれぞれのステージで塾講師が適切なアプローチを採ることで、

生徒が自覚する勉強のイメージは、よりよい方向にシフトしていくことでしょう。

 

ぜひ生徒の「勉強の質」を見抜き、「1T+3C」の4枚のカードを使いこなして、生徒たちに豊かな勉強の世界を見せてあげて下さいね。

 

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