勉強が嫌いな理由と対策法[実践編]
今回は、「対策法」を伝授します!
前回の記事で、『生徒達が勉強を嫌うのは、勉強がつまらないからだ』という話をしました。
……と書くとなんて中身の無い話をしたんだ、と思われてしまいそうですが。
その詳細については記事『勉強が嫌いな理由と対策法[理論編]』を参照して頂ければ幸いです。
さて、本記事はその「実践編」です。
なぜ生徒が勉強を嫌うのかが分かったところで「なるほどー」と終わってしまっては意味がありません。
そこから「では、講師は何をすべきなのか」を考えていく必要が出てきます。
興味を持ちやすい授業にするために
以前に、筆者は、「ゲーミフィケーションの考え方から講義を楽しくする」という記事を書きました。
この考え方は、この問題に対する1つの答えの形です。
ですが、ゲーミフィケーション理論だけが面白さへの回答ではありません。
本稿で同じことを書いても無駄ですから、ここではもう少し手軽にできる方法で、生徒達に面白さを感じてもらうきっかけになるものを紹介します。
明快なロジックを提供する
ロジックというのは論理のことです。
国語や社会に関しては、感覚で解いている生徒も多いのではないでしょうか。
特に、国語ではその傾向が顕著ですね。
普段使っている文章だから、「なんとなくこれかなー」という理由で正解が選べたりします。
ただ、だからこそ多くの生徒が同じ問題で間違うことにもなるのです。
そういった問題を、しっかりとロジックに基づいて解いていきましょう。
国語であれば、「ここにこの文章があるから」
社会の地理なら「この地域の気候はこうだから」
歴史や公民なら「その●年前にこういった出来事があったからこうなっています」などですね。
これによって何が期待できるのかというと、
「そんな風に考えるのか!」という発見です。
回答のプロセスが感覚から論理に変化すると、「納得」が生まれます。
そこの理解がストン、と腑に落ちた時、興味や関心の入り口に立っていると言えるでしょう。
逸話から入る
……とは言っても、論理的であるからといって誰もかれもが関心を持ってくれる訳ではありません。
むしろ、感覚的であることで、興味関心を保っている生徒もいるでしょう。
そういった生徒達の関心の入り口として最適なのが逸話や体験です。
もちろん、ロジックに関心を持った子たちにも、同じようにプラスの効果をもたらしてくれるでしょう。
自分であったり、歴史上の人物であったり、現代の有名人であったり、場合によっては作り話でもまあ、構いません。
ほんのちょっとニアミスしているだけで構いませんから、これから学習する範囲に関係のある、ちょっとおかしな話をしましょう。
その時、もちろんですが、
「今日やる勉強の範囲について、面白い話があります」なんて言ってはいけません。
それこそ、教室に入るなり「聞いてくれよ、今日変な話聞いちゃったぜ」「そういえば前にすっごいことがあってなぁ」などと話し始めましょう。
例えば・・・
筆者は、100円ショップで働いていたことがあります。
その時に外国人のお客がレジにいた私に、「Where is a “はんど どいぇん” shop?」と聞いてきたのです。
もう私は訳が分からず、2回ほど聞き返した後に、
「Sorry, please write on this paper」と紙とペンを差し出したのです。
書かれていたのは、"Hundred yen shop”
「ここじゃん!」と私はそれを教えたのでした……。
なんていう体験があります。
前記事で言った通り、別に「勉強は使うんだぞ」と言いたい訳ではありませんから、こんなに日常的な話でなくてもOKです。
むしろ、「使うんだぞ」という説教染みた感じを出してはいけません。
ただ、「笑い話」「面白い(興味深い)話」として伝えるのです。
そして話が終わった後に、「ところでこのwhereは何詞?」なんて聞き始めるとベストです。
いつもなら「あーあ、嫌な英語の時間だ。はいはい、whereね。」と始まるところが、
「先生も英語駄目駄目でやんのー、はんどどいぇんって(笑) え? whereって何だっけ?」という風にスタートを切れる訳ですね。
ついでではありますが、その逸話が耳に残ってくれていればいざと言う時に思い出すきっかけにもなってくれます。
難しい(難しそうな)問題をあっさりと解く
しかし、数学には逸話を用いるのが難しそうですね。
ロジックと言ってもこちらは初めから論理的に解いていくしかできません。
そんな科目には、『すごい!』という感動を提供しましょう。
例えば・・・
中学生に、「33×47は?」と聞いてみて、すぐに答えが返ってくるでしょうか。
返ってきたら見事なものですが、おそらく、ほとんどの生徒には出来ないことだと思います。
そしてただの掛け算ですから、普段勉強と関係ない時に先生がこの問題をあっさりと解いたとしても、「へー、すごい」で終わってしまうでしょう。
しかし、それが因数分解と展開の範囲の学習に絡んでいると話は別です。
「もしもこれを理解していれば、誰にだってこの計算が5秒くらいで出来る!」としたら、
それって「格好良く」ないですか?
((40-7)(40+7)と考えるだけですね。)
もっとも、これは普通に学習していても因数分解の内容を学んだあとにその利用として扱われる範囲です。
ですが、これをあえてその前に持って来ることで、「出来るようになりたい!」と思ってもらう効果が期待できます。
もちろん因数分解に絡んだ話だけではありません。
合同の証明問題がどうしても苦手な生徒には例えば問題文中に書かれている条件を全部図に書き込みましょう。
中学校の数学の合同証明であれば7割くらいはそれができれば解けてしまうような問題ばかりです。
「え? (こんなに簡単に)自分にもこれが出来るんだ!」というのは、嬉しいものです。
そもそも「将来使わない」などと言い訳をする時点で、出来た方が良い事は認めているのですから。
そしてやっぱり、どうせ解くなら難しそうな問題が解ける方がちょっとお得な感じがして嬉しさも増します。
ある分野が苦手だという生徒がいる時にたまにやっているのが、
問題集などには無い「一見小難しそうだが1つ分かると後は簡単に解ける」問題を自作してしまうことです。
初見時の「難しそう……」が大きい程、解けた時の「嬉しい!」は大きくなります。
教えている時に生徒から「俺、意外と出来るじゃん」という声が聞こえるとついガッツポーズしたくなりますね。
ちょっといやらしいかもしれませんが、いわゆる「人工の」感動を与えてしまおう、ということですね。
そんな言い方をすると本当に抵抗があるかもしれませんが、思っているより反応が良いと思います。
人によると言えばそうですが、悪い結果をもたらしかねないものではありません。
気軽に試してみてください。
では最後に、
その『一見難しそうで実は簡単な問題』の作り方を説明して、
2つに渡って続けてきたこの記事をおしまいにしましょう。
いくつかの条件を満たしさえすれば、誰にでも簡単に作る事が出来ます。
その条件は・・・
- 解くのに時間がかかりそうなこと
式が長くても良いし、文章題の文が長くても良い。
ぱっと見た時に自分だったら「あ、面倒だな」と思うものを想定します。
分数なんかも嫌われ者の代表格ですから、良いかもしれません。
- プロセスが明快であること
解く時にいくつもの手順を踏む事は問題ありません。
多ければ多いほど、達成感があります。
しかし、それらが複雑に絡み合っていてはいけません。
本当に「難しい問題」になってしまいます。
「AをこなしたらBが出せるようになる。そしてCが分かる。最後にDを求められる」といったものが良いでしょう。
または、
「合同の証明の様に、AとBとCによってDが分かる」と言う形でしょうか。
逆に悪い例は、「AとBを解く事でDとEが求まり、EとCによってFが分かる。FとDによって答えが出る」というように、スタート地点からゴールまでの道が何度も別れたり合流したりを繰り返すようなタイプです。
- プロセス1つ1つは単純なものであること
解答を導くための1つ1つのプロセスがそれだけで問題になりそうなものではいけません。
基礎的な知識のプロセスを積み重ねましょう。
- 範囲は広げないこと
いくつもの単元を跨ぐような内容はいけません。複雑になる一方です。
- 答えが単純であること
特に計算問題の場合、答えに根号や指数などが含まれたり、桁数が多い分数であったり、無限小数になったりなどすると面倒なことこの上ありません。
終わったときに「えっ、こんな簡単な答えなの?」と拍子抜けするくらいが良いでしょう。
1桁の整数とかです。
という様な感じでしょうか。
これらのやり方に共通して言えるのは、
「生徒にプラスのフィードバックを与えること」です。
その目的は問題を解いた時に、「こんなの自分1人で解くなんて無理だ」と思われないことにあります。
自分で1度解いてみた時に、ステップを踏んで解き進めるのは全く問題ありませんが、1つステップを進めることに苦を感じるような問題であればそれは失敗です。
そういったことを意識して、問題を作ってみることをお勧めします。
最後に・・・
2記事に渡って書き連ねてきた生徒の勉強意欲へのアプローチについての記事ですが、なるほどな、などと思って頂ければ幸いです。
生徒に意欲が無ければ教えても教えるだけ無駄な時間になってしまいます。
意欲という土壌をしっかりと作り上げる所から携わっていきましょう。
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