夏期講習に向けた時間管理術~現役生編~
夏期講習の使い方
「夏は受験の天王山!」
毎年この時期になると、様々な予備校・塾のポスターでこうした文言を見かけます。
夏期講習というのは本当に特別な期間です。
毎年この夏休みの使い方によって多くの受験生が合否の分かれ道に立たされるからです。
かくいう私も、現役時代の大学受験において大失敗をしてしまった一人です。
時間の効率的な使い方をできず、秋には他の受験生と大きな差が開いてしまいました。
頑張って勉強していた自負がとても悔しい思いをしたのを覚えています。(後ほど言及します)
読者の皆さん、受験を思い返してみてください。
AOや推薦入試を除き、大多数の受験生が争う一般入試は年明けの1月~3月頃に行われますよね。
例えば、九州地方の高校生は11月に入試を行って、中国地方の受験生は12月に・・・
当然、このようなシステムにはなっていないわけです。
試験日が同じ日に設定されているということは、受験までの与えられた日数は受験生皆同じです。
つまり、
入試までの与えられた時間の中でいかに最大限の勉強成果を発揮できるのか?
ということが入試の合否に直接結びついてくるわけです。
本稿では、上記のような問題意識から、時間を最大限有効活用するために塾講師の皆さんが
生徒指導に応用できる効率的な時間管理術
をお伝えします!
夏休みという時期
時間の使い方を確認する前に、
夏期講習という期間はどのような時期なのか?
という部分から考えてみましょう。
まず、この時期の特徴として挙げられるのは、
本格的に受験に取り組みはじめる新規参入層がいることです。
新規参入層とは、部活を引退した高校3年生です。
夏休みというのは、それまで部活に励んでいた多くの高校3年生が引退をする時期ですよね。
そして、その部活に用いていたエネルギーを受験勉強に注ぎ込んできます。
特に運動部系の部活をやっていた3年生に多いのですが、スポーツをしていた彼らは高校3年生になってから受験勉強を始めつつも、引退までは部活に全力投球していた生徒がほとんどです。
そのため、それまで部活をしていなかった生徒や浪人生に比べたら夏休みスタート地点での成績は平均的に低い位置にいる傾向があります。
しかし、部活引退生の彼らは夏期講習の期間を利用して、脅威的な成績の伸びを見せてくれます。
筆者は塾で教えていた頃、かわいたスポンジが水を吸い取るように知識を吸収する彼らの姿に、とても驚いたのを覚えています。
夏休み最後の模試においていつの間にか塾の中でも成績が上位に入り込んでいる、なんてこともあるくらいでした。
部活で培ってきた1つのことに集中する力を、勉強にもおおいに発揮しているのかもしれませんね。
もちろん、部活をやっていた生徒が全てそうなる、というわけではありません。
しかし、ここまで述べてきたように、
時間的に余裕があることと、成績の伸びは必ずしも正比例しない、
ということもまた事実なのです。
以上のことを確認した上で、
いったいどのように時間を効率的に使えばよいのか?という点についてここからご紹介していきます。
時間への意識
まず、時間を効率するために意識して欲しいのは以下の様なことです。
✕「時間があればできる!」
◯「限られた時間の中で何を勉強するか」
受験生の1年間の中で、1ヶ月弱まるまる独学に費やすことができる時間は、センター試験前には夏期講習が最後です。
夏休みの時間を上手く利用しきれない生徒は、
「1ヶ月も時間があるのならば色々勉強できる!」という風に思ってしまう傾向があります。
筆者が現役時代実際にそうだったのですが、
「時間があればできる!」と考えてしまうと、安心感を得るかわりに、勉強の目標がフワフワしたものになってしまうのです。
例えば、
・「単語帳はだいたい夏休み後半くらいまでに1周できればいいかな」
・「生物で抜け落ちている知識がないか確認するために、夏休みの間に1回どこかで教科書読みなおそう」
・「文化史は、余裕がありそうだったらやってみよう」
というような目標の立て方になってしまいます。
「時間があればできる!」という考え方に甘えていることが読み取れると思いますし、
目標そのものが明らかに具体性にかけたものになっていますよね。
すでに受験を乗り越えた講師の皆さんは、痛いほど実感していると思うのですが、
1ヶ月弱あっても、夏期講習という期間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
さらに、予定というのはきっちりと組み立てていても、中々思うようには進まないものです。
・勉強の中で意外な弱点を見つけてしまったために、確認するのに時間がかかる
・模試の復習に思った以上に時間がかかる
などなど、予定は常に修正を加えながら実行していくものです。
だからこそ、
「限られた時間の中で何を勉強するか」という意識のもと、
きちんとした予定を立てなければ、時間の波にあっという間にのみ込まれてしまうのです。
制限時間を設定する
では、「限られた時間の中で何を勉強するか」という意識をどう実践に移せば良いのでしょうか?
筆者が、おすすめしてきた方法は、「時間を区切る」ことです。
まずは、実例から御覧ください。
こちらは”国公立文系”を志望する生徒を意識した一例ですが、1つ1つタイムリミットを設定してスケジュールを練っていることがお分かり頂けると思います。
筆者の場合は90分が1つの科目に集中力を保てる限界点だったので、この時間にしていました。
これには個人差があるので、行う場合には生徒がやりやすい時間を設定して行えるようにすると良いと思います。
では、なぜこの方法をおすすめするのか。
それは時間を切ることによって得られる大きなメリットが2つあるからです。
①計画を正確に立てられるよく受験生で、勉強の計画を夏休みが始まる前に全て決定してしまう人がいます。
もちろん、夏休みが始まる前に全体の大きな目標を立てるのは悪いことではありません。
しかし、まだ夏期講習期間の1ヶ月弱を経験したことがない現役生にとっては、
自分が1日にどれくらい計画を実行できるのか?を経験してないがゆえに、不透明な部分も多いはずです。
上記のように細かく時間を区切って勉強をして、「自分は1日にこれくらいできる」とわかってからでも計画を練るのは遅くありませんし、むしろそれからの方が、現実に即した計画を練ることが出来ると言えるでしょう。
②決められた時間の中で終わらせる訓練ができる確認するまでもないことですが、入試には必ず制限時間があります。
つまり、決められた時間の中で自分が学んできたことを最大限表現しなければならないのです。
入試本番では慣れない試験会場で、緊張とも戦わなければなりません。
そうした状態でも平常心で臨めるようにするには、日頃から時間内でノルマを終わらせる訓練をしておくことが必要になります。
さらに長期的な視点を盛り込めば、社会人になってからも同じことが言えます。
仕事には必ず”◯◯日までに終わらせないといけない”というノルマがありますよね。
常に時間との戦いの中で良質なパフォーマンスを発揮しなければならないのです。
受験という短期的な視点だけでなく、生徒が社会人になる将来を見据えて時間計画が出来るよう指導してあげられると良いですね。
まとめ
本稿では、受験生が夏休みの時間管理をしっかり行うためにどのようなことを意識させれば良いのか?
ということについて具体例を示しながらお伝えしました。
”時間を上手く使う”というのは、「言うは易く行うは難し」なことだと思います。
時間に支配されるのではなく、正しい時間の使い方をして上手くそれを利用していく。
こうした事を受験生への指導で具体的技術とともに伝えてほしいと思い、本稿を執筆しました。
長くなりましたが本稿は以上です。
塾講師の皆さんにとっても勝負の夏期講習。
是非実り多いものとなることを祈っております。
ここまでお読み下さりありがとうございました!
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