【夏は受験の天王山】講習中におさえるべし!苦手・弱点克服への道。
夏休みの間に克服したいこと
筆者はこれまで、
・夏期講習に向けた時間管理術~現役生編~
・【生徒に伝えたい】明日からも頑張りたくなる、リフレッシュの仕方!【夏期講習前に】
という記事で、
・夏期講習に向けてどのように時間管理を行えばよいのか
・そして疲れた時にはいかにしてリフレッシュすればよいのか
についてお伝えしました。
上記の記事でもご紹介したように、
夏期講習という時期は、塾、もっとミクロに言えば講師1人1人によってもそれぞれの定義があります。
生徒の立ち位置によっても全く捉え方が異なるからです。
例えば、
・これまで学んできたことを土台により高くステップアップする時間
・部活などで中々取り組めなかった受験生が基礎固めをする時間
・実際に志望校の過去問にチャレンジし、目標との距離をはかる時間
などなど。
生徒の数だけその目的も異なってくると言えるでしょう。
しかし、スタートが早かった受験生も、部活などで少しスタートが遅くなってしまった受験生も、
夏期講習の間に苦手分野や弱点を克服する必要があると筆者は考えます。
なぜ弱点克服が必要か
どうして夏休みの間に苦手分野や弱点を克服していかなければならないのか?
その理由を3点述べます。
①リカバリーには思ったより時間がかかる
皆さんも日頃教えている中で経験があるかもしれませんが、
生徒が苦手としている部分を突き詰めていくと、意外と入り口となる基礎の部分でつまずいていることがあります。
例えば、古文で読解の正答率が中々上がらない生徒を受け持っていた時、
確認をしてみたところ、活用形を含む古典文法がしっかり身についていない、というようなことがありました。
そうなると、もう一度文法事項から確認しなければなりません。
活用形、助動詞の意味、どのような場面で使われるか・・・修復するのには思った以上に時間がかかるものです。
講師の皆さんに対して改めて述べる事ではないかもしれませんが、
すべての科目において基礎はとても重要です。
レベルの高い問題になればなるほど、基礎をいかにきちんと理解しているかが問われるからです。
②時間との関係
①と関連するのですが、夏休みの後には、苦手な部分や弱点をゆっくり克服する時間はあまり作れません。
秋に入ってからは毎週のように模試が入る月もあります。
このように忙しい中で、学校や予備校の授業の予習・復習もこれまで通りしっかりとやらなければなりません。
そうなると、やはり苦手・弱点部分ときちんと向き合いこれを克服しておけるのは夏期講習の間が最も有効であるはずです。
③伸び悩みの原因に
弱点・苦手分野をそのままほうっておくと、秋以降の成績の伸び悩みの主たる原因になってしまいます。
さらに、これをきちんとリカバリーしておかないことで入試においても致命傷になりかねません。
私がこれまで塾講師で生徒を見てきた経験上、
秋に入ってから成績を伸ばせる生徒とそうでない生徒は、夏の間に弱点を含む基礎をしっかりものにしているか、ものにしていないかで分かれていた気がします。
こうした克服ができるのは夏休みである「今しかない」という危機意識を生徒に持たせたいですね。
得意で好きな科目であれば意欲的に勉強できるものですが、
反対に苦手であまり好きではないような教科、分野の事についてはあまり気乗りがしないものです。
自分の苦手な部分や、弱点としっかり向き合ってそれを克服する。
これは、社会人になってからも必要な考え方になるはずです。
それはなぜか。
長期的な視点に立ってみますと、これから社会に出ていく生徒達は仕事でも何でも様々な出来事に直面します。
時には楽しいことだけでなく、乗り越えるのが難しい、困難な出来事もあるでしょう。
そうした際でもきちんとそれと向き合って、乗り越えていく力が必要になるからです。
それではここから、
夏休みの間に苦手・弱点分野を克服するために身につけておきたい方法
を指導にも役立てられるよう、具体的にご紹介します。
常に自分の弱点を見つける意識をもつ
弱点を克服していくためには、まずは弱点をきちんと発見する作業から始まります。
何度確認しても、間違えてしまうような問題があれば弱点は簡単に発見できるのですが、意外と自覚しにくい弱点というのもたまにあります。
例えば、マーク式の問題集であれば記号で答えるような形になりますよね。
<例>
問「北条時宗の治世と最も関係の深い絵画史料を以下の中から選べ」
ア 風神雷神図屏風
イ 高松塚古墳壁画
ウ 蒙古襲来絵詞
エ 見返り美人図
この場合、「蒙古襲来の際に活躍を果たした人物・竹崎季長の絵詞である」とすぐに気がつければ、ウの蒙古襲来絵詞を選択することができます。
しかし、残りの選択肢が、北条時宗の治世、つまり鎌倉時代と全く関係のないものであると気がつくことができれば、積極的に正解を導き出せなくとも、「消去法」でウに絞ることができます。
このように、
本当は蒙古襲来絵詞とそれに関連する”元寇”を理解していなくとも、
選択肢問題であれば消去法によって正解を導くことができ、
「この部分は問題ない」とできた気持ちになってしまう可能性があります。
消去法でしか正解を導き出せなかったのであれば、
本当はそこが弱点であるかもしれないですよね。
こうしたことにも意識を向けることができれば、それに関連した問題集などを解いてみることで、苦手な部分なのかどうなのか、より鮮明に浮かび上げられるかもしれません。
自分は本当にこれを理解しているのか?
という自分自身の理解を疑う気持ちをもって勉強できるように指導してあげましょう。
弱点の原因を発見する
弱点を発見することができたら、次にその原因を分析しましょう。
弱点となっている原因を突き止めることが、その後の勉強する内容にも深く関わってくるからです。
ではそれは一体どういうことか?
以下具体的に述べていきます。
例えば、「弥生時代に稲作が始まったことによる社会の変化を説明せよ」
という問題が解けなかったとしましょう。
<参考>
「徹底理解!②弥生時代の教え方」
この時、考えられる弱点としては以下の3点があるのではないでしょうか。
- (1)知識:そもそも弥生時代がどういう時代だったのかについての知識がない
- (2)理解:弥生時代の稲作やそれに関連する知識はあるが、因果関係がつかめていない
- (3)解法:これらを理解しているが、「5W1H」を解答でどう表現すればよいのかの方法論がわからない
というように、
自分が具体的にどう苦手なのかということを分析する視点を持っていれば、
自分は一体どこから分かっていないのか?を具体的な視点で考えることが出来るようになります。
歴史に絞って言えばこれの前の時代とのつながりにも理解できているのか分析しなければなりません。
筆者は、国公立文系であっため理系科目についてはあまり踏み込んだ発言は出来ませんが、
数学などにおいても「どこから分かっていないのか」という分析の視点を持つことはとても重要であるはずです。
こうした意識を持って勉強していれば、
「いついつまでにこの弱点を克服しよう」という具体的な目標を作ることができますし、
自分の課題に即した勉強が出来るようになるでしょう。
まとめ~苦手分野の克服法~
以上のように、ここまで
・苦手・弱点分野を夏休みの間になぜ克服しなければならないのか?
・弱点を見つける方法
・弱点を分析する方法
についてご紹介してきました。
最後に、その苦手分野をいかに攻略していくのかについて述べて、本稿の締めとしたいと思います。
苦手な科目は、いかにして苦手になるのか?という部分とも深く結びつくことだと思うのですが、
苦手な科目というのは、はじめから苦手で何がなんだか全くわからない、というケースは実はあまり多くありません。
それよりも、苦手な科目を学ぶ中で出てきた弱点を放置して、
それが重なりに重なって結果的に科目全体が苦手となってしまった・・・こうしたケースがほとんどなのです。
であるならば、やはり理解できずに通りすぎてしまったところからもう1度確認するしか立て直す方法はありません。
なので、我々塾講師は教えている科目を苦手とする生徒には、特に1つ1つのスモールステップを設定することが必要になります。
おおげさに言っているわけではなく、「何も知らない人にわかるように伝えればどうすれば良いか」という意識を持って伝える訓練を日頃からしておくようにしましょう。
小さなステップをいくつも設定しておくことで、生徒がどこでつまずくのかがよりはっきり見えるようになりますよ。
”スモールステップをいかに踏むか”ということについては、
・「良い社会科授業とは?」
に詳しくご紹介しているのでよければ合わせてご参照下さい。
長くなりましたが、本稿は以上です。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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