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【理科講師対象】大学入試頻出の中和滴定の重要ポイントを指導できるようになろう!

高校生

2021/12/17

中和とはHとOH-がくっついてH2Oになり、余ったものがくっついて塩になるという単純な反応です。あくまでも重要なのはHとOH-の反応だということです。このことを心底理解しているかどうかによって、問題の出来不出来が決まります。 

中和滴定 

中和滴定の計算問題で覚えるべきことは、ただひとつ、その物質が何価の何性の物質か、ということだけです。

例えばHCl・CH3COOHが一価の酸性、NH3・NaOHが一価の塩基性などと言うことです。ここに弱酸性だとか強酸性だとかは関係ありません。(ただ他の問題を解くのに必要なので弱酸とか強酸だとかも覚えなければなりませんが。)

なぜ、酸性や塩基性の強さが関係ないかと言うと、これもHとOH-の反応であると言うことに関係しています。

例えば強酸のHCl1molをNaOH1molで中和した時と、弱酸のCH3COOH1molをNaOH1molで中和した時を考えてみましょう。強酸はほとんどHが電離しているのでOH-と反応してH2Oが1mol生じます。一方、CH3COOHは例えば電離度が3%だったとすると、0.03molのHが存在しています。これが同じく0.03molのOH-と反応して0.03molのH2Oが生じます。そうすると、今まであったHがなくなってしまったので新しく0.03molのHが生じます。これがまたOH-に中和され、それによってH+が生じ、、、と言うように少量の中和が繰り返される要領で最終的に全てのCH3COOHが中和されH2O1molが生じます。(正確に議論するには、化学平衡の知識を使わないと行けませんが、ここでは割愛します。)

あとは、HとOH-の反応であるということに注目してH+の数とOH-の数が同じであるという式を立ててしまえば解けてしまいます。

ここで、高校で必要な酸と塩基を表にしておきます。(一応酸性・塩基性の強さも併記します。)

HCl(塩酸) 一価の強酸

NH3(アンモニア)

一価の弱塩基

HNO­­3(硝酸)

一価の強酸

アルカリ金属OH

一価の強塩基

H2SO4(硫酸)

二価の強酸

アルカリ土類金属(OH)2

二価の強塩基

CH3COOH(酢酸)

一価の弱酸    

H2S(硫化水素)

二価の弱酸    

H3PO4(リン酸)

三価の弱酸    

H2C2O4(シュウ酸)

二価の弱酸    

それでは、このことをよく理解し、覚えたら、問題を解いてみましょう。

例題

濃度未知のHCl100mLを0.10mol/Lのアンモニア溶液500mLに混ぜたところ、塩基性であった。これを中性にするのに0.20mol/Lの硫酸100mLを要した。HClのモル濃度を求めよ。

解答

まず、HClは1価の酸、H2SO4は2価の酸、NH3は1価の塩基。
HClのモル濃度をx(mol/L)とすると、HClから出てくるH+
x (mol/L)×0.100 (L)×1(1価)より0.1x(mol)
H2SO4から出てくるH+
0.20(mol/L)×0.100(L)×2(2価)より0.040(mol)
NH3から出てくるOH-
0.10(mol/L)×0.500(L)×1(1価)より0.050(mol)
よって、Hの数=OH-の数の式を立てると

0.1x + 0.040 = 0.050

∴ x = 0.10

このように中和の問題はHの数=OH-の数という式を立ててしまえばそれだけで解けてしまうのです。

中和滴定の問題はHの数=OH-の数

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