今回の記事では、生徒さんが間違いやすい身の周りの物質について一挙に紹介します。生徒さんが間違いやすいということは、講師である皆さん方も間違いやすい点になりますのできっちり復習しておきましょう。
有機物とは何なのか?
高校化学まで学んだ人にとってよくある間違いが
炭素原子Cを含むもの
と勘違いしてしまうことです。有機化合物で異性体など記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。しかし今回は、有機化合物ではなく、有機物です。両者は異なります。
有機物・・・①加熱すると黒くこげて炭になる ②燃えて二酸化炭素を発生する
となります!従って、Cを含んでいても、炭素や一酸化炭素は無機物に分類されます。無機物の例としては食塩、ガラス、アルミニウムなどがあります。
磁石にくっつくものは金属?
これは間違いです! 高校入試でもよく問われ、よく間違えるところなのでしっかり理解しておきましょう。反例としてはアルミニウム、銅などが挙げられるのでこの2つを紹介し、説明するといいでしょう。
金属とは
- 電流が流れやすく、熱が伝わりやすい
- 金属光沢がある
- たたくと、うすくのびる
の3つの性質を満たすものです。3は延性、展性とも呼ばれます。
湯を沸かすとやかんから出てくる白いものは水蒸気?
これも間違いです!それは湯気です! 水蒸気とは、水が状態変化し、気体になったものです。
気体は色がついていない限り見えません。実際、酸素や窒素って私たちの目で区別できませんよね?
湯気とは、水蒸気が冷えて、細かい水滴になったものです。これは氷水の入ったコップを机の上においておくとコップの表面がぬれてくる現象と同じ原理です。氷水によって水蒸気が冷やされ、液体になり、コップの表面がぬれるのです。
決してコップにヒビが入って中の水がしみだしているわけではないので誤って捨てないようにしましょう!!
また蛇足ですが、沸騰した時にでる泡は気体の水蒸気であり液体の湯気ではありませんのでご注意あれ。
酸性雨って何が溶けているのか?
二酸化炭素ではありません!硫酸や硝酸を含んだ雨です。二酸化炭素は水に溶けても弱酸性なので、酸性雨になることはありません。森林がかれたり、湖や沼の魚が大量に白い腹を見せて浮いたりする現象を起こすのは硫酸や硝酸などの強い酸が原因です。
下の西郷隆盛の画像ですが、ところどころ白くなっているのが分かりますか?
これが酸性雨によって溶けていることを表しています。現在の日本では昔よりも工場や自動車の排気ガスから賛成の物質が排出されていないのでそこまで重大な問題にはなっていません。
どこから硫酸や硝酸が生まれているのか?
石油や石炭を燃やした時や自動車の排気ガスなどに含まれています。正確には硫酸などの硫黄酸化物、硝酸などの窒素酸化物が発生します。化学式を中2以上の生徒に教える場合にはこの辺の話を絡めてもいいかもしれません。
次に二酸化炭素について水に溶けると弱酸性に加えて少し確認をしておきます。植物の光合成との関連も一部ある話です。
光合成でBTB溶液が青くなったのは酸素が増えたからではなく、二酸化炭素が減ったから!
そもそも酸素は液体にほとんど溶けません。溶けないから水上置換ができるのです。一方、二酸化炭素は水上置換できなくもないですが、少し水に溶けるので下方置換が用いられることが多いです。
このように中学理科では分野間の関連性が深いので、復習を行い時などにこのような話をもってくるといいでしょう。
(寄り道)氷が溶ける・・・は漢字間違い!
氷が「融ける」が正しい答えです。液体が固体になるときの温度を融点と呼び、この融と漢字は同じなので関連付けて覚えてしまいましょう。
溶ける・・・ある物質が液体の中に平均にまじって、液体と一体になることです。
土は水に溶けていないと言えるのはなぜ?
これは水溶液中の溶質の状態について理解しておかなければ分からない問題です。
まず、溶液とは溶媒と溶質が均一に混ざったものです。水溶液というのは溶媒が水の溶液という意味です。
例えば、砂糖水の場合、溶媒が水、溶質が砂糖となります。
水溶液中において、溶質は小さな粒となって一様に散らばっています。土は水の中に入れても土の粒が見えますよね?ということは溶けていないという事なのです!!
粒が見えているかどうかよくわからないという意見もあるかもしれないので、粒が見えるかどうかを判別する方法を紹介しておきます。それは、光線を当てることです。液体中に光線が見えれば粒に当たって見えていることになりますし、見えなければ粒が細かくて当たっていないことがわかります。
いかがでしたか?以上が間違えやすい物質一覧の説明でした。ぜひ生徒さんにもこの記事で紹介した説明を用いて、身の周りの現象を説明してあげてください。
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