歴史の切り口 -縦と横の流れから見る-
歴史って教えるのは簡単なように思えますよね。ただ歴史的事実を教えればそれで歴史を教えた事になるかというとそうではありません。歴史、特に世界史は同時代の他の国とのつながりや時代の流れをしっかり理解できていないと、いざというとき思い出すことが出来ません。今回は世界史の教え方で重要なポイントとなる横のつながりと時代の流れについて説明していきたいと思います。
横の流れは各国の関係から現れて来る歴史展開です。縦の流れは一国の中の歴史の展開、時代の流れのことです。
「武器」でみる横と縦の歴史
世界史というのは主に争いの歴史です。ここでの争いは戦争がもちろん中心ですが、文化の対立、宗教の対立などそれだけにはとどまりません。そしてこの争いは異文化間、国家間で起こってくるので、一つの地域で起こった出来事が他の地域に波及したり、またその起こった出来事が他の地域に影響されたりということがよくありますよね。出来事を単発で教えるのではなく、そのつながりを意識して教える事が出来れば、生徒さんも覚えやすいでしょうし、記憶にも残りやすいです。
例えば、ルネサンス期のヨーロッパではより近代的な火薬や大砲が発明されましたよね。これは皆さん知っていると思います。でも突然、どこからともなく生まれたのではありません。これは中国の火薬や大砲をもとにして改良して作ったものです。
さらに今回に関しては違いますがこのような武器の生成には、他国に負けまいと、他国が作り上げたものをまねて、さらに改良する事がよくあります。例えば、原子爆弾を例にすると、最初にドイツが開発に着手しそれを追いかける形でアメリカ、ソ連の順で核開発が加速し、それは戦後の冷戦体制を作りだしアジアやアフリカなどでアメリカvsソ連の構造である代理戦争が急激に増えました。
武器の歴史一つとっても横と縦のつながりを感じることができます。授業で今から教えるところは他のどの文化と関わっているのかを事前に調べると授業にも深みが出ます!
産業革命後の発展でみる縦の関係
産業革命期のイギリスでは紡績機が作られ、力織機が作られ、鉄道が作られ、蒸気機関、蒸気船が発明され...etcのように色々教科書に記述があり、誰がそれを発明したとかも覚えなければならず、そっちばかりについつい目がいってしまいます。
でもこれは全て産業革命という時代の流れから生まれたもので、もっといえば紡績機で糸が大量に生産可能になり、それで布を織るため力織機が発明され、その技術を利用して蒸気機関が発明され、鉄道が敷設される...のように流れがありますよね。このように「社会の変化を関連づける」ことを意識しながら歴史を教えられるとより深い理解が得られます。
まとめ
今回は簡単に武器や産業革命に関しての内容でしたが、多くの歴史内容を覚える際にこれを意識するだけでも歴史を単なる時代の遺物としてではなく、これからの未来を導いてくれる道しるべとして教えることができるはずです。ぜひ指導でも「縦と横のつながり」を意識して指導してみてくださいね!