仮定法をわかりやすく教えるには?
今回の仮定法という話をする前に、
英語の文法には直説法と仮定法の2種類があることを理解しておかなければなりません。
直説法とは?
現実のことについて話すときに使う動詞の形です。
例えば、
①私はテニスをします。
I play tennis.
②もし明日晴れたらテニスをしよう。
If it is sunny tomorrow, let's play tennis.
となります。
②では現実においてまだ明日の天気が定かではないので、可能性のある仮定の話をしています。
授業を行う際、例として示すのは①にとどめておきましょう。
可能性のある仮定というのを後で強調するためです。
では仮定法とは?
現実とは違うことについて話すときに使う動詞の形です。
つまり、
現実に起こる可能性が0%だ
ということです。
例えば、
①昨日晴れだったらテニスをしていただろうに。
If it had been sunny yesterday, I would have played tennis.
②たくさんお金があれば、島を買うんだけどなぁ。
If I had a lot of money, I would buy an island.
このように、
現在の話をするときに過去形が使われたり、
過去の話をするときに過去完了形が、if文の中では用いられます。
まずはif節と主節で表すときが同じ場合について、簡単にまとめておきます。
Sを主語とします。
仮定法過去:「もし~なら、・・・だろうに」
If + S + 動詞の過去形, S + 助動詞の過去形 + 動詞の原形
※ただし、動詞がbe の場合、主語に関係なくwereを用いる。
(If I were~ , If you were~ など)
仮定法過去完了:「もし~だったなら、・・・だったろうに」
If + S + 動詞の過去完了形, S + 助動詞の過去形 + have + 過去分詞
となります。
このように、仮定法を用いる場合は If節中の動詞の時制を1つ後ろにずらします!
つまり、現在の話(もし~なら)の場合は過去形に、
過去の話(もし~だったなら)の場合は過去完了形にします。
また、直説法か仮定法を見分け方としては、
If節中の時制がずれていることと、主節で助動詞の過去形が使われていることに着目します。
助動詞の過去形ってどんなものがあるか思い出せますか??
助動詞の過去形: would, could,(might)
の3種類です。mightに()を付けたのは、頻度としては少ないからです。
それでは練習問題を2問解いてみましょう。
【練習問題】
①もし私がお金持ちなら、その豪邸(mansion)が買えるのに。
②もし5分早く出発していたら、列車に乗り遅れることはなかっただろうに。
【解答・解説】
①If I were rich, I could buy the mansion.
wereを使うのは仮定法だということを特徴づけるためです。
Iでもheでも仮定法の場合はwereを用いるように指導しましょう。
また、「買える」と可能の表現になっているのでcouldを選びます。
②If I had left five minutes earlier, I would not have missed the train.
列車に乗り遅れる の動詞は miss を使います。
どちらの文においても主節で助動詞の過去形を用いること、if節中の時制がポイントです。
【補足】
因みにご存じの方も多いかもしれませんが、
日本語でマンションという時は大抵英語ではapartmentを意味します。
mansionというと、とんでもなく贅沢な豪邸になってしまうのでご注意あれ。
それでは次の訳文で違う仮定法のパターンについてみてみましょう。
「もしあの時あの薬を飲んでいたら、私は今元気になっているかもしれないのに。」
if節中では過去の話、主節中では現在の話というように、
表す時が異なっているパターンです。
この文の英訳は次のようになります。
If I had taken the medicine then, I might be fine now.
つまり、
過去の話をするif節中では過去完了形を用い、
現在の話をする主節では助動詞の過去形+原形を用いるのです。
ちょうど前回の2つの一部をそれぞれ使った形になっていますね。
このようにそれぞれの節で異なる時を表す場合も、いつのことを言っているのか1つ1つ考えることで英訳することができます。
それでは以下の文を英訳してみましょう。
・もしもその電車に間に合っていれば、私は今、そのパーティーに出席しているのに。
解答
If I had caught the train, I would be present at the party now.
電車に間に合う は catch the train , ~に出席する は be present at ~ または attend~
となります。1つ1つ、いつのことを言っているのかしっかり考えましょう。
日本語を鵜呑みにすると間違えやすいポイント
日本語の表現だけで、過去か現在かを決めると間違うことがあります。
例えば次の文です。
彼女の電話番号を知っていたら、電話するんだが。
If I knew her phone number, I would call her.
「知っていたら」と過去の表現なのに knew はおかしいと感じる人もいるかもしれません。
日本語の表現では「知っていたら」となっていても、「知る」というのは状態動詞です。
「知っていたら」を「知っていれば」に置き換えても何も不自然なことはないですよね?
ということで、ここでは仮定法過去の用法が適しています。
もう1文見てみましょう。
彼の準備ができてたら、出かけるのになあ。
If he were ready, we would go.
この文でも「準備ができている」は状態動詞です。
従って、仮定法過去の用法が適しています。
ここは1度説明しただけではなかなか理解しにくい部分かもしれません。
演習の時間を十分に取って慣れさせましょう。