助動詞をおさえて英語を制す!
塾講師の皆さんこんにちは。 今回は、
【生徒への助動詞の教え方】
について、抑えていきたいと思います!
まずは今までの復習
これまでの記事では時制について学んできました。
<例文>
・I'm high school student.(私は高校生です。)
・I always played tennis. (私はいつもテニスをした)
・I have ever been to Kyoto twice. (私は京都に2回行ったことがある)
などです。
それぞれ、時制の分野では現在形、過去形、現在完了形と呼ばれていました。
それではこれらに共通することは何か分かりますか?
それは…
- 現実や事実そのものを表している
ということです。
今回は現実や事実そのもの以外を表す方法を学びます。
それでは2番目の文を少し変えてみましょう。
・I can play tennis.
この文の意味は (私はテニスをすることができる) という意味です。
テニスを実際にやるかどうかということを表すのではありません。テニスをしようと思えばすることができる、という事を表しています。
この can を助動詞と呼びます。中学英語で勉強済みのはずですが覚えていますか?(この一文は生徒の習熟度によっては適宜表現を変えましょう。)
このように、助動詞を使うと、「できる、してもよい、すべき、そうしなくてはならない」などの考えたことを表すことができます。
今回のテーマは、もっとも重要な4つの助動詞
まず、重要な4つの助動詞を見ていきます。
この4つは実は先ほど説明した
できる、してもよい、すべき、そうしなくてはならない
の4種類です。
なぜ重要か分かりますか?
「できる、してもよい、すべき、そうしなくてはならない」というのは”強制力”が働いていますね。
日常生活でも”強制力”を持った言い方をするのか遠まわしに表現するのか考えなければいけない局面がたくさんあります。
したがって、必ず覚えなければいけません。
~できる
それでは「できる」の canを含む例文をまずは見ていきましょう。
<例文>
①I can speak English. Can you speak English?
(私は英語を話せます。あなたは英語が話せますか?)
②I can see you tomorrow evening.
(私は明日の夕方ならあなたに会うことができます。)
can は①のように「~することができる」という現在の能力を表します。否定形は「~できない」と不可能を表します。
また、②のように主語の性質や状況に基づいて可能であることを表す場合にもcanを用いることができます。そして、時々canの代わりにbe able toを用いることができます。
例えば、 I am able to speak English.とすれば①の最初の文と同じ意味を表します。
まとめると、
can: 「現在の能力、可能であること」を表す助動詞。 be able to で置き換え可能。
となります。
さて、「現在」の能力ときたら...過去の能力を表す助動詞を知りたくなりますよね。
ということで、canの過去形couldの登場です!
過去形ではcould と was[were] able toの使い方が少し異なるので注意が必要です。どういうことかというと・・・
<例文>
③He could play the piano at six. (彼は6歳でピアノが弾けた。)
④She was able to run 10 kilometers two days ago. (彼女は2日前10km走ることができた。)
のような違いがあります。さて、どういう違いがあるか分かりますか?
[聞いてみて答えが合っていたらちゃんと褒めましょう! 見当すらつかないようであれば進めましょう]
正解は、③は「過去の能力」、④は「過去に実行したこと」という違いです。
実行するかどうかで使い分けるなんて英語って面白いですね。
まとめると、
could: 過去の能力 was[were] able to: 過去に実行したこと
となります。
過去の能力を表す場合はwas[were] able to を使っても大丈夫です。
(生徒が混乱しそうなら言う必要はありません!余裕がある場合にのみ話しておきましょう。)
~してもよい
次に「~してもよい」を表す助動詞mayを見ていきましょう。
<例文>
⑤May I use your bathroom?
(トイレをお借りしてもいいですか。)
⑥You may not enter the box.
(あなたはこの箱に入ってはいけません。)
⑤の文、bathroomがトイレを表すという事をよく覚えておいてください。トイレはtoiletから来ているのですが、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでしか通じませんし、そもそもtoiletは「便器」を表す意味ももつので、あまり好まれません。アメリカだとtoiletではまず通じないでしょう。
さて、⑤のmayは疑問文で「~してもいいですか。」と相手の許可を求める形になっています。⑥では否定形です。「~してもよくない」ということは「~してはいけない」ということで不許可を表します。
mayは特に May I ~ の形で相手の許可を求めることが多いのでしっかり覚えておきましょう。まとめると、
may: 相手の許可を求める場合(~してもいいですか)によく使う助動詞。否定形では不許可を表す。
となります。
~すべきである
さて、だんだん強制力が強くなります。次は「~すべき」を表す助動詞shouldを学習します。
<例文>
⑦You should do your homework now.
(あなたは今宿題をやるべきだ。)
⑧My parents should be in Hawaii by now.
(私の両親は今頃ハワイにいるはずだ。)
shouldは⑦のように義務や当然の行動を表し、「~すべき」と訳します。宿題をやるなんて当然の行動ですよね。
また、⑧の場合「両親はハワイにいるべきだ」という訳し方が変な場合、推量の訳し方で「~のはずだ・きっと~だ」という訳し方もあります。まとめると、
should :義務や当然の行動を表す(~すべきだ)。「~のはずだ」と推量を表すこともある。
となります。
~しなければならない
さあ、最も強制力の強い表現はやはり、「~しなければならない」でしょう。これは助動詞mustで表します。また、助動詞を使わなくても have to でも表すことができます。
<例文>
⑨You must come to the library by nine.
(あなたは9時までに図書館に来なければならない。)
⑩I have to go to see a doctor.
(私は医者に診てもらわなければならない。)
mustは⑨のように現在(あるいは未来の場合もある)の義務や必要なことを表します。mustの部分にhave toを入れれば⑩のように同じ意味になります。
have to は一般動詞のように主語が三人称単数の場合は、has toとなるので注意しておきましょう。
また、過去の義務、必要なことを表したい場合はmustに過去形がないのでmustは使えません。haveの過去形hadを用いてhad toを使います。
⑨を過去形にすると、
You had to come to the library by nine.
(あなたは9時までに図書館に来なければならなかった)
となります。
では最後に⑨、⑩をそれぞれ否定形の英文にしてみましょう。
⑨' You must not come to the library by nine.
⑩' I don't have to go to see a doctor.
must とhave to で否定にするとき、注意することがありました。覚えていますか? それぞれを訳すと
⑨' あなたは9時までに図書館に来てはいけない。
⑩'私は医者に診てもらう必要はない。
となります。
つまり、must not は「~してはいけない」、don't have toは「~する必要はない」という意味を表します。肯定文では意味が一緒だったのに、否定文では意味が異なります。
まとめると、
must 肯定文:~しなければならない。 否定文:~してはいけない。 過去形×
have to 肯定文:~しなければならない。 否定文:~する必要はない。 三単現注意! 過去形○
となります。
これら4つの助動詞は中学英語で学習済みのはずですが、思い出してきましたか?
ちょっとした許可を求める時から相手にやれ!といいたい時まで絶対必要な助動詞ですからしっかり覚えましょう!
まとめ
それでは今日学習した助動詞の復習です。
- can:~することができる (= be able to)
- may:~してもよい
- should:~すべきだ、~のはずだ
- must:~しなければならない (= have to)
また、助動詞の基本的な性質も確認しておきましょう。
助動詞の基本的な3つの性質
- 肯定文を作るときは [助動詞+動詞の原形] の形
- 否定形を作るときは [助動詞+not] の形
- 疑問文は [助動詞+主語+動詞の原形] の形
①は主語がhe やsheなどの三単現でも助動詞や動詞にsがつくことはないということも意味しています。
助動詞、思い出してきましたか。しっかり身に着けていきましょう。
先生方への授業時の注意事項
今回は平均的な高校1年生に初めて助動詞の授業をする時の一例を紹介しました。
助動詞は数が多く、細かく説明しようとすると膨大な時間がかかるので、細かく区切って適宜練習問題を解かせるほうが効率がいいと思います。
まずは、助動詞の意味を覚えさせることを優先させましょう。
今回、couldとwas able toの違いを一応説明しましたが、実際のテスト、入試問題で狙われることはほとんどありません。生徒に聞かれた場合に教える程度で十分でしょう。mayとcanは意味が近いのではないか、はっきりさせたほうがいいのではないか、などと思う人もいるかもしれません。
ですが、実際の授業中に初めて聞いてそこまで目の届く生徒はほとんどいないはずです。「うわっ、こんなに覚えなおさないといけないのか」と助動詞の決まりや意味を覚えるだけで精一杯のはずです。生徒のレベルに合わせた授業を心がけましょう。