塾講師バイト必見!授業の準備はこれでダイジョウブ!
初授業に向けて何を準備すれば良いのだろう?
応募→面接→採用。念願かなってやっと塾講師生活がスタートだ!研修も終わって間もなく生徒との本番授業が始まる。あれ、研修では10分間の模擬授業をやったけど・・・これから受け持つ授業に向けて何をしたらよいんだろう?
研修も終わり、いよいよ受け持つ担当のクラスが決定すると、これから毎週コンスタントに生徒に対して質の高い授業を提供していかなければなりません。研修をやって、たくさんのアドバイスを先輩の講師の方から頂いても「百聞は一見に如かず」実際に授業をやってみると勝手が全く違うものです。授業準備では扱うテキストだけを予習すればよいのだろうか?この説明でわかるだろうか?色々な不安と向き合いながら準備を進めていくと思います。
本稿では初めて塾講師をする方を対象とした「本番の授業で焦らないようにするための具体的な準備方法」をご紹介します。
学習指導案を作ろう!
私が、講師研修でおすすめしているのが「学習指導案」です。
「学習指導案」って何?と思われる方も多いかもしれませんね。簡単にご紹介します。
「学習指導案」:教師が授業をする際に前もって準備する授業1コマの全体図を紙面化したもの
学校現場などでは「指導案」と略称で呼ばれたりもします。時には「学習プログラム」とも呼びますが、大体は「学習指導案」が主流です。中学校や高校などで教育実習などを経験された方はこの言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか?
簡単に説明しましたが、ますますわかりづらくなってしまったかもしれません。実物を用いて詳しく説明しますね。上記の画像は実際に私が使ったものです。
この画像を用いて具体的に何を書くのか中学校社会科公民分野を例にご紹介しますね。
①単元の目標
ここが一番重要なところです。今日の授業を通して何を生徒たちに教えたいでしょうか?この目標を明確にすることによって使う教材や、教え方が全くと言って良いほど変わってきます。
噛み砕いて言えば自分がこの単元を教えたとき生徒たちが「何を学んでいて欲しいか」これが目標に書く内容です。
私の指導案TPPを題材として目標を以下のように設定しました。
「現在、日本で大きな政治争点になっていると同時に決断を迫られているTPPについて関心を持ち、TPPに参入する事が何故問題なのか政策過程の段階から関心を持ち、様々な視点から捉え、日本はTPPに参入するべきかどうか根拠をもとに意見を主張する事が出来る。」
です。実際に書く際には「TPPを理解する」と言ったような漠然としたものではなく上記のように具体的に目標を設定するようにしましょう。
②単元設定の理由
まずはじめに「単元設定の理由」です。担当するクラスで社会科の政治分野のことを教えることになったとき、塾で使用する教材を見て「何で教えなければならないのか」をまずは明確にします。
「授業をするだけなのになぜここまで書かなければならないのか?」と思う新人の塾講師の方もいるかもしれません。しかし、授業において最も大事なことは「その授業を通して何を教えたいか」です。
講師側が授業をする前にしっかりとした軸を持っていなければ、生徒たちにそれが伝わりません。自分がこの単元を通して何を教えたいのか。目に見える形で1度文章にしてみましょう。
より細かく言えば、「指導観」(何を教えるのか)と「教材観」(目標達成のために何を教材とするのか)もかけると良いですね。
③単元指導計画
次に、単元指導計画です。この単元指導計画は後に示す「本時案」(詳細後述)という1時間の授業の計画に対して、その単元全体を展望するものです。簡単に英語で例を示すと単元指導計画が「時制」、本時案が「現在進行形」のようなイメージです。
話を戻します。今回自分はTPPの指導案で次のような計画を立てました。「学習のねらい」だけ抜き出します。
<単元指導計画のねらい>
1時:TPPとは何かについて理解する。
2時:.<前半>TPP交渉の論点となっている貿易はどのような仕組みについて理解する。
<後半>国際取引と国内取引との違いを理解する。
3時:TPP交渉の開始までの経緯を確認する。
4時:TPP交渉参加への政策形成に向け国内では何が議論になっていたか理解する。
5時:TPP交渉参加までの政治的プロセスを理解する。
6時:前時までの内容を踏まえ、TPP交渉参加が日本にもたらした影響(政策評価)と、決定した今日本が直面している新たな課題は何か考察する。
7時:TPP問題における「重要5品目」の関税は今後どのように扱うべきか、根拠をもとに根拠を持ち、ルールなどを確認しながら討論する。
8時:前時の討論においてデータ不足など、主張しきれなかった部分を補足するために各グループでデータを集め次時の際討論に備える。
9時:第7時での議論を踏まえ、TPP問題における「重要5品目」の関税は今後どのように扱うべきか、再討論する。
10時:前時の討論の内容を復習し、農業分野において日本の国益を維持・増進するためにはどうすればよいかについて最終的な自分の意見をまとめる。
いかがでしょうか?この学習の狙いから単元の全体像が見えてきたのではないでしょうか?単元指導計画を練る際のアドバイスは以下の2つです。
①生徒たちの思考の流れを意識する
②単元のねらいを確認しながら作る
①は指導計画を練る際に最も重要な部分です。教える側の教師ではなく、その内容を初めて学ぶ生徒たちはどのような順番で学習すれば興味深いか?そうした事を考えながら作るか否かでは生徒の授業への乗り出し方がまるで変わります。
②の授業のねらいですが、単元指導計画で全体図を作るときに息詰まった時は、もともとの単元のねらいに戻りましょう。自分が何を教えたかったかを確認することでどういう順番で教えれば良いか自然に見えてきます。こうしたことを繰り返し繰り返しやりながら指導計画を作っていきましょう。
④本時案
単元指導計画まで作成することが出来たら次は本時案(1コマ分)を作成します。
本事案を構成する要素は主に以下の3つです。
<導入>:授業の冒頭部分。この部分で魅力的な教材などを提示することで生徒の心をつかみましょう
<展開>:授業の山場です。授業の目的への具体的なステップを踏む時間です。
<整理>:授業のまとめの部分です。導入・展開でやってきたところをどうまとめるか。講師の腕の見せどころです。
以上の3点を時系列にしておくと、授業中に次に何をすれば良かったか?というような焦りや、そこから発生するミスを防ぐことができます。
また、ここで生徒たちがどのような質問をするか事前に予想して書いておくと尚良いです。生徒から質問が来そうな文をあらかじめ考えておくことで自分の説明のわかりにくそうな部分がはっきりします。
⑤板書計画
最後に、板書計画を書きましょう。板書は
”自分の教えたい内容を目で見て最もわかりやすい形で具現化したもの”
でなければなりません。
まず気をつけなければならないことは、どの科目でも根拠を明確に、間違えないことです。
生徒は講師が思っている以上にノートを大事にします。そのため、もし講師が板書を間違えてしまうと間違えたものを間違えたまま生徒は覚えてしまうのです。ミスを防ぐためにも、ちょっとやりすぎかな・・・と思うくらい板書の内容は見直してください。
板書を書く際のアドバイスは1点です。それは
生徒が”項目”で授業内容を思い出せるようにすること
です。例えば、日本史の古代のないようであれば、
大テーマ:「原始」
(1)先土器文化と縄文文化
(2)弥生文化ー身分階級の発生
(3)史料から読む古代日本
というような感じで生徒が後で振り返った際に「今日のテーマは原始で、先土器文化と縄文文化は先生こんな話していたなぁ・・・」と思い出して勉強しやすいように、各項目をカテゴリー化していくとわかりやすい授業となるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?1つの授業を作るための具体的な手段として今回学習指導案を紹介させていただきました。この記事を見るだけでも1つの授業の先にある奥行を感じていただけたかと思います。
みなさんのご活躍をお祈りしております。長文ご精読ありがとうございました!
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