入試で狙われる助動詞のポイントとは!?
助動詞で特に狙われるポイントは
・助動詞+完了形
・that節中の(should+)原形
・used to V
の3つです!
それぞれ解説および例文を紹介していきます。
※例文を用いた学習について
これから紹介する単元の中には文脈判断も必要な分野があります。
すなわち、語彙力が必要とされる問題も出題されます。
そのため、紹介する単元に関連しているだけでなく連語を含んだ例文を紹介していきます。
この例文を理解し、記憶することによって単元の理解が進むだけでなく語彙力の強化が期待できます。
この記事では文法をひと通り習い終えた受験前の学生を想定して例文を選定しています。
生徒のレベルに合わせて例文選びを慎重に行いましょう。
助動詞+完了形 (1)
I can't find my glasses. I ( ) them behind in the train. (東北学院大)
①may have left ②may leave ③might be leaving ④might leave
第1文は問題なく訳せるでしょう。
「私の眼鏡が見つからない」ですね。
また、選択肢から判断できるようにleave ~ behind (置き忘れる) ということから、
2つ目の文も「電車の中に置き忘れた」のような意味になることが分かります。
そして、どの選択肢にもmay(might)がついていることから、正確には、
「電車の中に置き忘れたかもしれない」となります。
したがって答えは①になります。教える時のポイントは2点です。
might は may の過去形だが、表すのは現在の意味
~したかもしれない ・・・ may have 過去分詞形~
might はmayの過去形でmayと同じように「~してもよい、~かもしれない」という許可と推量の2つの意味がありますが、ほとんど推量の意味で使われます。
mayとの違いは推量の実現の可能性が低いということです。
とはいえ、may とmightの意味の区別は、日本語でもほとんど変わらないので教える場合は「mayの過去形がmightだけれど、意味はほぼ同じ」と説明しても問題ありません。
また、「助動詞+完了形」の形は、mayに限らずmust, can't の場合は以下のようになります。
・現在から過去を推量する場合
must have 過去分詞形~ ・・・ ~したにちがいない
can't(couldn't) have 過去分詞形~ ・・・ ~したはずはない
この「助動詞+完了形」が入試で狙われる理由は、
「全体の文脈を読まないと正解を導くことができないから」です。
問題文を全部訳す必要はありませんが、前後の文で時間がずれているかどうか理解できているかで正解できるかどうか変わります。
全部訳さずに必要な部分だけ読み取り、正解を導く練習を積まなければ問題に正解できませんし、時間もロスしてしまいます。
多くの大学の入試問題で時間をかけるべき分野は長文読解ですので、文法問題はいかに速く正確に解くかがカギとなります。
以下にmightや「助動詞+完了形」の形の例文を紹介します。
・She might be in London by now.
( 彼女はもうロンドンにいるのかもしれない。)
※by now: もう,今では
・He might take you for a boy.
(彼はあなたを男の子と間違うかもしれない。)
※take A for B: AをBと思う
・You cannot have seen Tom in Osaka yesterday. He is still in England.
(あなたが昨日大阪でトムに会ったはずがない。彼はまだイングランドにいる。)
※否定文、疑問文の「まだ」はyet
・She looks very happy. Something good might have happened to her yesterday.
(彼女はとても幸せそうに見える。昨日何かいいことがあったのかもしれない。)
※good something ではないことに注意
助動詞+完了形 (2)
We had a great time at the party last night. You ( ) come. (上智大)
① had to ② must have ③ might have ④ ought to have
第1文は「昨晩パーティーはとても楽しかった。」となります。
楽しんだのは"We"なので次の文の主語である"you"は来なかったことになります。
したがって、実現しなかった過去を表すshould(ought to) have 過去分詞形 の形をとる④が正解です。
ポイントは2点です。
must have とshould(ought to) have を混同しないこと
文脈を読み取ること
should have , shouldn't have (ought not to have) の意味は以下のようになります。
・実現しなかった過去を表す場合
should have 過去分詞形~ …~するべき(はず)だったのに(~しなかった、~していない)
shouldn't have 過去分詞形~/ought not to have 過去分詞形~ …~するべき(はず)でなかったのに(~してしまった)
must have~は「~したにちがいない」という意味なので、ひっかけの選択肢としてよく出てくるので注意しましょう。
そのためにも(1)でも説明したように文脈を読み取ることを生徒に徹底させましょう。
また、以下の例文のように by now (今頃は) とセットでshould have の用法は使われることが多いです。
・"I just called her home. She left over an hour ago." " Well, she should have got here by now, then."
(「今彼女の家に電話したよ。彼女は1時間以上前に家を出たそうだ。」「うーん、じゃあ今頃ここについてるはずなのに。)
※by now は今前後の話であればどの時制で用いても良い
・You should not have gone out without my permission.
(あなたは私の許可なく外出するべきではなかった。)
※permission: 許可
that節中の(should+)原形
He proposed that another meeting ( ) held next week.
① was ② be ③ will be ④ would be
propose(提案する)に続くthat節の後の文は「来週もう一度会議を開く」という意味になります。
hold(開く)の過去分詞形が後ろにきていることから「会議が開かれる」ということで、
(should +) 原形 + held を満たす②が正解です。
このように
「要求・勧告・提案」など「人に何かをさせよう」という意味を持つ動詞の後ろのthat節では (should + )原形
になります。
多くの問題では上の問題のように原形のみが選択肢に出ていることが多いです。
「要求・勧告・提案」を表す動詞で頻出なものは、それぞれ、
demand(insist), recommend(require,request), propose(suggest) の7語だけですので、
これらの単語を覚えさせてしまってもいいでしょう。
・I recommend that she should see the professor.
(私は彼女にその教授に会うように勧めた。)
・He proposed that I should come to the meeting.
(彼は私がその会議に出ることを提案した。)
※「ひとに何かをさせる」の意味がない時は原形ではないので注意が必要です。
・I suggested that you are wrong.
( 私はあなたが間違っていると遠まわしに言った)
また、itを用いる形式主語構文でも「要求、勧告」の意味を間接的に持つ文では同じようにthat節中は (should +)原形 になります。
この場合、以下の例文のように形容詞はnecessary , essential が狙われやすいので覚えさせましょう。
出題される形はこの場合も原形のみの場合が多いです。
・It's necessary that you (should) see a dentist.
(あなたは歯医者に行く必要があるよ。)
・It is essential that every child have the same educational opportunity
.(すべての子どもが同じ教育の機会を持つことは必要不可欠だ。)
※every~ の後は単数だが、essential があるのでここでは原形が使われている
used to V(原形)
used to を用いた文は以下のような3通りのパターンがあります。この3つはused to の部分の訳出がどれも異なります。
・My father used to play golf twice a week, but now seldom plays at all.
(私の父は週に2回ゴルフをよくしていたものだが、今はめったにしなくなった。)
・This car is used to carry their baggage.
(この車は彼らの荷物を運ぶために使われる)
・I'm used to going abroad for a long time.
(私は長い間海外に行くことになれている。)
used to V(原形)・・・よくVしたものだ(今はVしていない)
be used to V(原形)・・・Vするために使われる
be used to V-ing・・・Vすることになれている
助動詞としての用法は1番目の例文のused to V(よくVしたものだ)になります。
そのひっかけとして2番目の受け身の形が選択肢にあるので文脈でどちらか判断しましょう。
また、3番目の文のtoはto不定詞のtoではなく、前置詞のtoなので動詞の進行形が後ろに続いていることから判断することができます。
終わりに
いかがでしょうか。それでは最後に確認問題です。講師のみなさんもまずは問題を解いてみて理解できているか確認してみましょう!
次の文を英訳しなさい
1.君は彼の誤りを笑うべきではなかった。(ought to を使って)
2.彼女があの光景を見てびっくりするのも当然だよ。
正しい選択肢を選びなさい
3.My father is used to ( ) late every night.(摂南大)
①work ②have worked ③be working ④working
4.He insisted that she ( ) to the meeting.
①came ②comes ③come ④coming
答
1.You ought not to have laughted at his error. (ought not to の形に注意!)
2.It is natural that she (should) be surprised at that sight.
3. ④(私の父は毎晩遅くに働くことに慣れている。)
4.③(insist は要求を表す動詞ですので(should+)原形の形です。sheにつられて②を選ばないように!
頻出の単元に共通することとして「意味を丸暗記しているだけでは正解を導くことはできない」ということです。
すなわち、「文脈で判断すること」が必要です!
文脈で判断できるようになれば長文読解、リスニングなど様々な分野で応用できますので生徒に身につけさせるようにしましょう!