決戦の冬の到来の前に!受験シーズンまでに講師が生徒に徹底させたいこと
受験が近くなったときに伝えたいこと
受験合格へ向け歩んできた生徒を指導してきて気が付けば、今年も残りわずか。
もうすでに複数年勤めていらっしゃる講師の方も、今年初めて塾講師として勤務なされている方も
今年一年間の仕事はいかがだったでしょうか?
本格的な冬のシーズンが到来し、街は年末独特の高揚感に包まれています。
筆者は毎年この時期、本当に時の流れはあっという間だなと感じます。
今の受験生と授業で一緒に勉強できる期間も残りわずかと寂しい気持ちになるからです。
塾によってはもうすでに、センター試験までのカウントダウンを掲示板などに貼っている運営の方も
いらっしゃると思います。
塾講師という職業はある意味この時期が最も神経質になる時期かもしれません。
というのも、頑張ってきた生徒の背中を押せる最後のチャンスだからです。
言い換えれば、頑張ってきた生徒を志望校に導くための最後の踏ん張りどころです。
もう何かを新しく大きいことをする時間が残っていないこの時期、最後の受験本番までに向けて生徒に
どのようなことを気を付けさせればよいのでしょうか?
本稿では、試験直前のこの時期から
①受験までに生徒に意識させたいこと
②受験までの間どのような勉強をしていけばよいのか
の2点について講師が指導するべきポイントをご紹介します。
勉強方法
まずは、受験が近くなった時の勉強法についてです。
最初にお断りしておかなければならないのは、
受験前だからこれをすれば効果的というような特効薬はないということです。
あくまでこれまで積み上げてきた勉強をいかにより効果的に積み上げていくか。
この視点から述べていきたいと思います。
入試問題、過去問からの分析
まずは、自分が合格するまでにあと何が足りないのか。ここを分析するところから始めましょう
具体的には、生徒のこれまでの模試の成績表と生徒の志望校の入試問題との比較をすることです。
ここでは個別具体的な事例として紹介します。
生徒の志望校やその他の併願校の入試を数年分解かせてみると、生徒が得点源としているところ、苦手なところがはっきりと出てきます。
例えば、日本史であれば、江戸時代の問題を生徒がよく間違えていることを発見することが
あったりします。
そこで、その生徒の模試の成績表を見てみましょう。
有りがたいことに模試は、時代に偏りをできるだけ持たせないよう幅広く出題しています。
なので同じ日本史の江戸時代の部分を見てみると、その生徒が特に江戸時代の3大改革
を苦手としていることなどが見えてきます。
ここで、講師としては、2つのポイントを見極めることが出来ます。
①生徒が江戸時代の具体的にどこを苦手としているか(例:3大改革)
②江戸時代のその部分を苦手としているということはその先の時代もつまずいていないか
というように、生徒の苦手な部分を分析するということは、
講師が指導しなおさなければならない部分を明確にするという大事な役割を果たしているのです。
また、これを最終的には生徒ができるように指導をしましょう。
生徒1人1人に最後までつきっきりでこうした分析を行ってあげることは物理的に不可能です。
最後の授業が終わってから、入試本番までの時間は生徒は1人で「ここは本当にわかっているのか」
自問自答しながら確認するよう指導してあげると良いでしょう。
この指導の仕方は、講師の皆さんの裁量なのですが、一例をご紹介します。
筆者は受験時代に苦手分野専用のノートをつくってこの時期繰り返し繰り返し復習をしていました。
生徒に伝える際にはこれを指導材料として紹介をしたところ思いのほか好評だったので
参考までにお伝えしました。
基礎知識の確認
次に、基礎知識の確認を生徒に徹底させましょう。
というのも、入試の過去問を解いていると生徒は難しい問題が解けず、危機意識を持つ
事が多いからです。
しかし、ここであまり難問ばっかりに意識を傾けすぎると大事な基礎の部分が抜け落ちます。
例えば、日本史ではたまにとてもコアな知識が問われることがあります。
Ex.「1954年、教育二法を制定した際に文部大臣を務めていたのはだれか?」
というような、本当にその分野を研究していない限り、知らないような名前を聞いてきたり
することがあるのです。
これを知っておけば、生徒たちは他の受験生と差をつけることが出来ますが、逆に言えば
答えられなくても差はつきません。
それよりも、例えばこの時期の中心テーマである朝鮮戦争や55年体制など、その時代を理解する
ための基礎的かつ大事な部分を復習しておく方がよっぽど生産的です。
応用問題までは基礎を利用した問題です。
基礎を定着させ、ある程度それを利用する練習を繰り返すことで答えることが出来るのです。
なので、これらの基礎もちゃんと確認が終わり、余裕があったらこうした難問にも対応できる
よう追い込みをかけていく、この順番を間違えないよう指導していきましょう。
難問のことについての補足です。
上記の例で「その分野を~していないかぎり」と説明いたしましたが、
実は大学入試の場合、その大学の出題しているであろう分野の教授の研究内容を見れば、
出題傾向をつかむことが出来ます。
例えば、日本古代史で「荘園」を専門としている教授がいる大学では、古代から中世までの
土地制度の変遷など、土地に関わる何かが出るのではないか?というような予測を立てること
が出来ます。これは結構的中させやすいのでよければぜひ試してみてください。
「難問」というのは、その教授が特に興味を持っている研究分野指標として見やすいのです。
(故に、大学入試レベルでも出題してしまうそうです)
こうした分析をする際に参考となるのが、日本の研究者の論文を掲載している
「Cinii」(URL:http://ci.nii.ac.jp/)というサイトです。
ここでその大学教授の名前を打ってみれば研究の概要がつかめるので是非ご利用ください。
生活リズムの作り方について
さて、年明けからいよいよ受験直前に向けた生活リズムも意識させなければなりません。
受験までの日数がいよいよ限られてくると、生徒は最後の踏ん張りどころと夜遅くまで
勉強を頑張ってしまう傾向があります。
筆者は、授業の中でも10分だけでもよいので、生徒に受験前の生活リズムについてガイダンスすることを
おすすめしています。
その際に、筆者は生徒に以下の様な一例を提示しています。
あくまで筆者が受験生時代だった頃の一例なのですが、実際にこれを実行した生徒から思いの外
好評だったので紹介させていただきました。簡単にポイントをご紹介します。
①実際の試験と同じ時間割で生活している
まずは、試験と同じ時間割を体に染みこませることから始めましょう。
これを約1ヶ月続けるだけで、「この時間にはこの勉強(試験)をやる」というのが身体に馴染んできます。
本番は、そうしてはいけないと分かっていても緊張するものです。
なので、試験特有の時間割に身体を慣らせておくことで、こうした緊張状態からリラックスさせられるよう
指導していくとよいでしょう。
②朝型のリズムを作る
これは、もう鉄板の内容なのですが、あえてもう一度振り返っていただきたいのでご紹介します。
朝型のリズムを作るというのは、何故重要なのでしょうか?
もちろん、生活リズムにメリハリがつく、最も脳が活性化する午前中から頭を働かせるということもそうなの
ですが、最も大切なのは
①同様、「試験の時間割を身体になじませる」ということなのです。
どの大学も必ず午前中、ないし午後の早い時間から始まります。
こうした生活リズムを作り、万全の体制で挑めるようにするためにもこうした生活リズムを紹介する
意義があるのです。
まとめ
ここまで、受験期直前のこの時期から生徒に意識させたいことについて3点ご紹介してきましたが、
いかがだったでしょうか。
最後に紹介した生活リズムの部分は実は非常に議論が分かれるところです。
「いろいろな生徒がいるのに、本当にそのようなリズムが正解なのか」
こうした意見もあるからです。
しかし、筆者がここで強調したいのは、大事なのは「正解」ではなく、「考えさせること」です。
筆者が指導した例の生活リズムを見て、生徒が「これは自分には当てはまらない」と思ったら、
「では自分はどうやってリズムを調整していけばよいのだろう?」と試行錯誤しながら
自分だけの効果的なリズムを見つけていけばよいのです。
こうした指導を通して、生徒がこれまで積み上げてきた勉強成果を遺憾なく発揮するための
準備のお手伝いをする、これも講師の大事な仕事の1つであると考え本記事を執筆させていただきました。
指導の際の参考にしていただけたら幸いです。以上です。ここまで長文ご精読ありがとうございました!