【公立中学:数学】先生になりたい人必見!講師業務と教育実習~共通点と相違点から利点まで~
教育実習の一般的な内容と塾講師業務
前回の記事では,将来,教育者を志している方に対して磨いておいて損はない塾講師業務をまとめました.
この記事では,一般的に教育実習で行われるであろう内容と心構えを記載し,最後に塾講師の経験が現場にどう活きるのか?
このことをお伝えします(一般的な話になってしまうのは,教育実習においては守秘義務が課せられるためです).
また,教育実習ならではの点も最後に追記しています.
ただし,学校や地域によって内容が異なることもあるので,あくまでも参考にしていただければと思います.
教育実習の一般的な内容とその心構え
授業関連
授業見学
教育実習に行ったとしても,いきなり授業は行いません.
しばらくはほかの先生方の授業見学を中心に行います.
ここで,現場の先生がいろいろな工夫をして生徒と接していることにあなたは驚くはずです.また,あなたがこれまで理想としていたことと異なる対応をする先生も中にはいるかと思います.
しかし現場の先生は理由があってその対応をとっています.その点も含めて,この期間にしっかり吸収しクラスごとにどのような生徒さんがいるのか.生徒の様子もしっかり見ておくことをお勧めします.
授業計画書の作成
授業の前日にいきなり計画を練るようなことをしてはいけません.授業見学をしながら,自分の授業はどうするか.しっかり考えておきます.
もちろん,授業ごとに授業計画を立てます.また,同じ単元でもクラスによっては教え方を変えなければいけないですし,進捗のスピードも異なります.
授業
実際に授業を行います.後ろでは担当の先生があなたの授業評価をしています.
この緊張感は,塾講師機関にはないものです.そして,あなたを担当している方からの助言は,演習時間の心得や工夫など,塾では学べない様々なことを学ぶ機会になります.
大切な機会ですので,悔いのないように準備をして臨みましょう.
生徒とのやりとり
熱心な生徒さんはわからないところを質問に来ます.また放課後の補習講座を担当することもあるでしょう.
先生と話したくて質問に来てくれる生徒もいます.
この時に意識しておいて損はないことがあります.
「あなたはほかのどの先生よりも生徒と年齢が一番近い存在」です.
勉強の質問に答えるのも大切ですが,色々と話を聞いてみるとよいです.生徒のことや,友人関係などが見えてきます.例えば,担当するクラスの生徒が誰と誰が仲が良いのか,などです.
このような1対1の対話が,集団授業でも生きてきます.そういう生徒のほうが授業中もいろいろと質問をしてくれたり,積極的に答えてくれるようになる可能性が高いからです.
その他
朝の学活や給食,帰りの会などを運営します.また,教育実習先によっては体育祭など,行事が実習期間に重なることがあります.その場合は,実習の一環として行事の運営や役員として参加させてもらえます.
教育実習と塾講師
さて,これまで教育実習の内容について述べてきました.
ここではまとめの意味でも教育実習において塾講師の経験が生きてくる利点と,塾講師との相違点を列挙します.
結論から先に書きますと,塾講師で鍛えられた経験がある分,多くのことを実習で学べる機会が増えた。私はこう考えています.このことをこの節では述べたいと思います.
塾講師経験者の利点
初めに塾講師経験者が持っている未経験者と比較した利点を列挙します.
授業
皆さんのご想像通り,ここで塾講師経験者と,未経験者で大きく違いが出ます.
実際,私は,初回の授業で「塾の先生とかの経験者?」と言っていただきました.
一度見ただけでわかるほど大きく違いが出るのです.私はこれだけでも塾講師をやっていてよかったと思いました.教材研究にも時間をかけましたが,未経験者と比較するとこういった利点のおかげで,その分,部活動見学や,生徒とのコミュニケーションに時間を割くことができました.
生徒とのやりとり
塾講師を経験したあなたは,生徒との接し方に対しても利点を持っています.
生徒が喜ぶ会話の内容や,話し方などを経験によってある程度わかっているはずです.中学生や高校生と初めて接する実習生よりも,明らかに利点となって表れるでしょう.
他の先生方との接し方
教育実習では,実際に教員の方から教師というお仕事について学びます.したがって,目上の方と接する機会も多いです.保護者さんと接してきた塾講師での経験はこういったところで生かされたと感じました.
目上の方との接し方や言葉遣い,挨拶の基本などは,保護者さんと接してきた塾講師経験者なら,少なからず身についているはずです.
塾講師との相違点
一方で,塾講師とは異なる点があります.私は「生徒の多様性」と「生徒と過ごす時間」の2点だと思っています.
生徒の多様性
教育実習で初めて接する生徒がいます.
塾に通わない生徒さんです.
誤解されないように補足しますと,子供は皆,塾に通わなければいけないという意味で言っているのではありません.私がここで列挙したいのはそもそも勉強したくない生徒さんも授業に参加しているということです.
このような生徒さんも対象に授業展開を考えることになります.
塾は,生徒の成績によってクラスが編成されることがしばしばですが,公立中学校の授業は最近は習熟度別になっているようですが,それでも,生徒のモチベーションは様々です.
しかし,塾に通う生徒さんがわかるように解説できないようでは,このような生徒さんがわかるように解説できないと私は自身に言い聞かせています.
どうやったら生徒が理解してくれるか.
この塾講師時代の創意工夫の経験が必ず生きてきます.
生徒と過ごす時間
学校は朝から昼間,夕方までですが,塾に来る生徒さんは学校や部活が終わった後に来ます.
そして,生徒は学校で過ごす時間のほうが圧倒的に長いです.いろいろな生徒と勉強以外の場面で接する機会も多いです.
教育実習では授業中はつまらなそうにしていた生徒が部活ではイキイキしていたりします.
そういうところでもぜひコミュニケーションをとってみましょう.
普段,見えない生徒の意外な一面が見えるかもしれません.
塾講師時代に磨きたいスキル
以上のことを踏まえて,将来,教師になりたい方は塾講師の間にここで示すスキルを意識しておくと,教育実習でより多くのことを学べると思います.なぜなら,再度書きますが,授業準備以外も教育実習の一環だからです.授業に関すること以外を学ぶ時間もとることができます.
授業スキル
最初に述べたように,授業準備,授業,授業後フォローに関するスキルです.
これを磨いておくと,他の実習生が苦労する授業準備が比較的楽になります.
しかし,念のため書いておきますと教育実習では,決して何も学ぶ必要がないという意味ではありません.
学校の授業ならではの工夫箇所もたくさん見えてきますし,色々と実習担当の先生からも指摘をたくさんいただきます.
利点としてとらえて良いことは,教師という仕事をする中で皆が苦労すること:授業計画の狂いの修正や,プレゼンテーション,問題の取捨選択などに関して,すでにあなたは苦労してきているはずです.
実習で初めて苦労する方と,すでに苦労を知っている塾講師経験者に利点があるのは明らかだと私は思います.
問題の取捨選択
1年以上塾講師を続けると,生徒が躓きやすい問題などが少しずつ見えてきます.
生徒が授業時間のみですべての問題を解くことは不可能です.
良い問題の選択はスムーズな授業展開と良い教育につながります.
数学の授業展開においては,どの問題を選んでくるかでその後の授業展開につながります.
どういう問題を授業で使用するか.このスキルを身に着けておくと良いと思います.
実習では様々な習熟度のいる生徒を対象に授業を行います.したがって,スムーズな授業展開をするには,どの問題を扱うか.この課題とは決して分離することはできないからです.
生徒とのコミュニケーション
生徒に限らず,人とのコミュニケーションの取り方は,場数を踏むしかありません.
休み時間など,普段から意識して生徒に話しかけるなどして,機会を多く作ってみてください.
塾講師をしている方はこういう機会に恵まれていると考えると私は良いと思います.
教育に対する熱意
教育に対して熱意があるかどうか.これを一番敏感に感じ取るのは生徒であると私は思っています.
熱意をもって接してくれる先生は生徒さんからの信頼も自然とついてきます.
初めは大変かもしれません.しかし,大変な中でも生徒に喜んでもらえる授業をする.言い換えれば生徒のために苦労するのが教師の仕事だと私は考えています.このことは,教育に対する熱意がないと,簡単にできるものではありません.
実習先での先生の中には,想像していなかったほど熱意を持っている先生がたくさんいらっしゃいます.
その先生の熱意についていけるように,普段から塾講師という仕事に熱心に取り組むと良いかと私は思います.
最後にまとめ
塾講師の経験があると,未経験の実習生が苦労する授業準備は明らかに早く終わります.そして,そうやってできた時間を有効活用して教育実習ではより多くのことを学ぶことができます.
ぜひ,塾講師の間にスキルを磨いて教育実習に生かしてください.
教師とは生徒に物事を教える立場に思われがちです.
しかし,教師は見方を変えれば生徒から様々なことを教わります.
「ここがわからないんだ」,「ここで躓くんだ」,「この一言で生徒が喜ぶんだ」...etc.
しかし,逆にちょっとした一言で傷ついてしまうこともあります.
周りからたくさんのことを教わり続ける存在が教師ではないか.そして,塾講師は将来,教師を志している方がたくさんのことを学べる機会である.私はこう思います.