心理変化から探る! 応募者が集まる求人の勝ちパターン
1.採用活動がうまくいくとき、いかないとき
1-1 集まらないケース
せっかくそれなりの費用をかけて求人広告を出稿しても、なかなか採用活動がうまくいかないケースがあるかと思います。
①応募者が集まらない
求人を出してもなかなか応募者が現れない、といったことを経験された方は多いのではないでしょうか?しかし一口に応募者が現れないと言って諦めてしまうのは、まだ早いです。集まらない原因次第では、ひと手間加えるだけで改善が期待できるかもしれません。
②採用したものの、全く勤務をせずに(あるいは勤務開始後間もない段階で)退職してしまった
せっかく採用までたどり着いたのにいざ勤務を始めようとなると、求めていた人物と一致していないことが分かった、あるいは相手がそのように感じ退職してしまったというケースも珍しくないのではないでしょうか?こちらのケースも原因次第でちょっとした工夫で改善が期待できるかもしれません。
今回は、①のケースについて考えて見ます。②については、「塾講師の長期間の定着を図る秘訣とは?②」をご覧ください。
1-2実は、うまくいくときはいくつかの条件を通過している
うまくいかなかった事例だけを見ていると、なかなか原因を考えても様々な要因が関係しているようでひも解くのは難しいです。しかし、うまくいった事例を見て、なぜ最後までうまくいったかを考えると、うまくいかなかった事例の原因がわかってくることがあります。実は、うまくいく事例というものは、然るべきいくつかの条件を通過している、といった構図になっているものが多いです。
2.AIDMAモデルを応用してみる
2-1 AIDMAモデルとは
突然ですが、AIDMAモデルというものをご存知でしょうか。これは消費者行動モデルの内の1つです。消費者行動モデルというのは、消費者の購買行動を、0ベースで消費者が購買行動に到達するまでの過程を想定し分析するものです。Aは注目(Attention)の略で、ある製品やサービスについて消費者から認知されている状態です。次のIは興味・関心(Interest)の略で、注目され、さらにその製品・サービスについて何らかの反応(好感、嫌悪感など)を抱いている段階です。そしてDは欲求(Desire)の略で製品・サービスを欲しいと思うようになる段階です。、Mは記憶(Mind)の略で、欲求が一時的なものではなく、ほしいと思った状態が呼び起され、欲求が恒常化される段階です、そして最後のAが行動(Action)の略で、実際に購買行動が行われる段階となります。このように消費者の購買行動を順序立てて考えることで、それぞれの段階から次の段階へ進むにはどのようにすべきかと噛み砕いて考えることができ、適切な施策を実施する手助けとなります。
2-2実用例
例えば、ペットボトルのお茶で新製品をリリースしたとします。この際、AIDMAモデルになぞらえると、私たち消費者がお茶を購入するまでの流れは次のようになります。
A 注目 テレビや電車の広告などを見て商品を認知する
I 興味 広告を繰り返し見たり、口コミなどを聞いて価値判断を持つ段階です。
D 欲求 興味からプラスの方向に評価され、「のどが渇いた」などの需要と重なってほしいと思う段階です。
M 記憶 その時はいつもの水で済ませたにしても、新製品の存在と購買意欲をたびたび想起します
A 行動 実際に購入します。
2-3応用範囲は広い
こんなもの採用活動には関係ない!と思われたかもしれませんが、実はこの考え方、とても応用が利くのです。目的(ゴール)までの成功プロセスをフロー化し、対象を次のフローへ進ませるにはどうすればいいか?と考えると様々な事例に応用ができます。イベントの集客やWebサイトへの流入などにも応用が可能ですし、もちろん採用活動も然りです。
3.AIDMAモデルを採用活動に当てはめてみる
3-1注目
まずは対象(採用基準に当てはまるターゲット群)に求人情報を認知してもらわねばなりません。ここで多く求人広告という手段が使われますが、自社のWebサイトや、既存講師の知り合いへの口頭伝達といったケースもあるでしょう。この段階で大事なのは、できるだけ多くの対象へ認知してもらうということです。なぜなら、このモデルではこの段階からゴールに向けて対象はどんどんフローから離脱していきます。今後対象が増えるということは期待できませんので、できるだけ母集団を多くしておくことが成功の鍵です。母集団を増やすにはそれぞれの塾に見合った適切な求人媒体を利用するのが効果的ですが、詳しくは~をご覧ください。
3-2興味関心
注目してもらう段階から、さらに興味関心を持ってもらう必要があります。そのためには、ありふれた求人広告ではなくて、どこかで他の求人との差別化が必要です。例えば給与がいいといった条件であったり、職場の雰囲気がとてもよいのであればその点を押し出すと良いでしょう。また、塾の指導法がユニークであれば、そういった内容を押し出しても効果が期待できるかもできません。
3-3欲求
欲求を持ってもらうには、採用側だけではなく応募者側の需要(仕事を探している状態)も必要ですので、すべてこちら側でコントロールできるわけではありません。しかしそれでも採用側に多くの裁量があることは確かで、たとえば3-2の興味関心が悪い方向での興味関心であれば欲求にはたどり着きません。極端に時給が低かったり、長時間の労働を要求しているなど、マイナスイメージを想起させる要因はないか確認をしましょう。
3-4記憶
求人広告は通常の消費財よりも消費者(求職者)と接触できる機会が少ないのでこの段階が最も難しいかもしれません。働きたいと思っていて、何度か求人を見たことある人に想起してもらう段階です。この段階への有力なアプローチとして塾講師ステーションでは急募設定や、特定の条件の求職者へ応募喚起ができるオプション機能を用意していますので、こちらを活用すると良いかと思います。
3-5行動
最後に実際に応募してもらう段階ですが、「記憶」段階までいったらあとは求職者の応募を阻害する要因がないかどうかが大事です。応募後の流れがよくわからず不安なのでやめておく、であったり、選考フローが不明なのでやめておく、といったように、求職者の応募意欲を減退させる要素がないか確認することが必要です。
4.AIDAMモデルから考える応募者アップの秘訣
「注目」のフローを辿るにはマスメディアに取り上げられたり、何らかの求人媒体に掲載することが先決かと思いますので、ここでは求人掲載をしているという前提で、そのあとの流れ、「興味」「欲求」「記憶」の3つの感情行動を起こす工夫について考えて見ます。前章でも述べたとおり「興味」~「欲求」まではいかに求職者を引き付けて、母集団の数を増やせるかどうか、そして「欲求」~「記憶」(~「行動」)まではいかに母集団から離脱していく障壁をなくすかということがカギになります。したがって、この3つのステップを踏んでもらうには、「求職者を引き付ける工夫」と、「求職者を引き離さない工夫」の2点が必要になります。
まず大切なのは何と言っても他の塾との差別化が必要になります。もし他の塾と求人条件も職場の雰囲気も同じであるならば、求職者にとってはその塾に応募する必然性が低くなります。時給でも、職場の雰囲気の良さでも、生徒の活発さでも、何でもよいので「ほかの塾にはこれだけは負けない!」というものを一つ押し出せると良いでしょう。そして2点目に大事なが、求職者にとっての応募障壁をなくすということです。曜日の制約や、シフトの変えずらさ、応募後のフローの不明瞭さ、(塾講師未経験者が)研修内容に感じる不安、など、数ある塾の中から1つ応募先を選ぶ求職者にとっては少しでも障壁があると感じただけで他の塾へ応募を切り替えてしまう可能性が高いです。
5.まとめ
さて、応募者が集まらない要因を消費者行動モデルを応用してやや詳しめに考えて見ましたが、いかがでしたでしょうか。今回はチェックポイント(AIDMA)はそのままの形で当てはめてみましたが、使用する媒体や、それぞれの塾の状況次第でポイントを考えることでさらに正確な分析が可能です。