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理科の最強指導法8 ―地学編― 「火山のはたらきと火成岩」

小学生

2021/12/17

最強の地学指導法!-火山について-

講師の皆様こんにちは!
前回は地層のでき方を、主に水のはたらきからお話ししてきました。
(前回記事:http://www.juku.st/info/entry/1054
今回は引き続き、火山のはたらきと火成岩を学んでいきます。

特に生徒がやってしまう失敗

火山活動への興味・関心が薄い

火成岩の特徴をきちんと覚えていない

火山の種類と火成岩を別々に覚えてしまう

日本は世界で最も火山が身近な国と言っても過言ではありません。
なぜなら全世界の0.28%しかない、小さな面積しかないにもかかわらず、なんと世界の7%(10%ということもあります)もの活火山が集中しているからです。
(参考:http://www.jice.or.jp/quiz/kaisetsu_09.html
更に、活動的な火山のうち30%近くが日本列島周辺に分布している、とも言われています。
大体どの地方にいても、車で数時間移動すれば活火山を間近で間接できる国は、日本以外ないことを、まず伝えてあげてください。
火山を身近なものに捉えられるようになると、一気に覚える苦痛が少なくなります。

授業で伝えるべきポイント及び伝え方

火山活動に興味を持ってもらう

そもそも、なぜ日本は火山が多いのでしょうか。
理由は「日本列島の地下でマグマが大量に作られているから」です。
このことは多くの先生方も理解されていないケースが目立ちますが、非常に重要なことです。


そもそも火山とは、マグマが地表または水中に噴出ことによってできる、特徴的な地形を指します。
そのため、山の形ではない、カルデラのような地形も火山と呼ぶことになっています。
この点をきちんと理解していれば、火山が多い理由もきちんと説明できるでしょう。

なお、意欲的な生徒なら「どうして日本の地下ではマグマがたくさん作られているのだろう?」と疑問に感じてくれることがあります。
やや難易度は高いですが、このような視点こそが、地震・火成岩に興味を持ってもらうポイントです。
あえてすぐに教えず、生徒に考えさせるとよいでしょう。
ぜひご覧いただいている皆様も、ご一緒に考えてみてください。
(答えは最下部にご用意してあります)

また、もし上記のような生徒が現れなかった場合は、より身近な例を使って説明しましょう。
具体的には「火山のメリットとデメリット」を考えさせるとよいでしょう。
(ただし、地熱発電についてはかつてハイコースのみで教えればよい発展的内容でしたが、今は全コースに教えることを強くお勧めいたします

 メリット  デメリット

・温泉に利用できる

・地熱発電に利用できる

・地震が起こる

・噴火が起こる

デメリットはすぐに生徒が答えられるでしょう。
ただ、地震は火山のせいだけではなく、断層型もあることを一言伝えておくと、地震の単元で無用な混乱を招くことがないかと思います。
また、火山=悪者、という考え方をする生徒がいたら、それは改めさせるようにしてください
長い歴史から考えて、火山があることによって地球の肥沃な大地が生まれていると考えられているためです。

メリットの温泉、地熱発電にはいずれも注意が必要です。
実は、温泉には「火山性温泉」と「非火山性温泉」があり、一概に火山活動が温泉を生み出しているとは言い切れません。
この点だけは、補足しておくとよいでしょう。
もし余力があれば、温泉成分とは何か、温泉がなぜ体に良いと考えられているのかを一緒に話し合っても面白いかと思います。

また、地熱発電は東日本大震災以降、注目を浴びている発電方式です。
今後の入試問題で問われる可能性が高まっているので、ぜひ押さえておきましょう。
最大のメリットは「燃料を使わないため、二酸化炭素を排出しない」ということです
これは地球温暖化対策に大きく寄与することができます。
また、燃料を必要としない・日本が有数の火山国であるということから、安定したエネルギー源になりうるという、日本ならではの大きなメリットがあります。
原油の価格はシェールガス等の新エネルギーや経済動向・消費量など外部要因に大きく動かされ、国民生活に大きな影響を及ぼします。
地熱発電はこのような問題に対し、解決策を与えることになります。
つまり、エネルギーを一か所に依存しない、という意味で、外交戦略に有利につながるわけです。


しかし、現実は日本の総発電量のわずか0.2%しか担うことができていません
これは、観光地(温泉地)や景観への問題が大きく、なかなか土地が確保できないことが大きな要因となっています。
また、開発コストがとても高いことも、阻害要因となっています。
とはいえ、今後日本国内で原子力発電所を作ることは難しくなってくるでしょう。
その時に地熱発電を活用していくことは、理科的に考えると大変理にかなった戦略です。
まだまだ一般的に普及しているとは言い難いからこそ、私たち理科を教える先生たちが、客観的な視点で知識を伝えていくことも、大事なことだと個人的には考えています。

火山関連の基礎的知識を暗記させる

さて、火山活動に興味を持ってもらったら、その知識をベースに暗記部分を伝えていきます。
特にここで教えていただきたいのが「火山の形・マグマのねばりけと火成岩の関係性」です。
以下のように整理して教えるとよいでしょう。

 


火山の形は大きく分けて3種類に分けることができますが、どうしてそのような形になるのかを、生徒に考えさせるとよいでしょう。
(難しくないので、大半の生徒は答えることができます)
もちろん、答えは「マグマのねばりけが違うから」です。
マグマのねばりけが強いほど、縦に伸びる、というのは感覚的に理解しやすいようです。
そこから、噴火の激しさも同様に考えさせます。
水は、ちょっとの隙間が空いたらそこから少しずつ漏れていきます。
ここから、たて状火山では、隙間があれば強い圧力がなくても噴火が起こる、ということがわかります。
それに対して、粘度が高ければ高いほど、圧力が強くなってしまう、ということを伝えましょう。
ちょっと下品ですが「たて状火山の噴火は、地球のおもらしみたいなものだね!」と伝えると、すぐに覚えることができるようです。

 

次に、火山岩と深成岩の違いは必ず暗記させて下さい。
火山岩は「地表近くで急に冷えて固まった岩石」で、深成岩は「ゆっくり冷えて固まった岩石」です。
そして、急に冷えて固まると、大きさが不ぞろいな結晶ができるのに対し、ゆっくり冷えると大きさが揃い、一般的に大きな結晶ができることになります。
化学で結晶のでき方を学んでいれば復習になりますので、ぜひ生徒に問いかけてみてください。
また、火山岩と深成岩をあわせて、火成岩と呼びます。
このあたりがこんがらがってしまう生徒が多いので、注意して伝えるようにしましょう。

ここで火成岩の名前は丸暗記させるのですが、覚え方は頭文字をとって、「新幹線はかりあげ」と覚えさせるとよいかと思います。
重要なのは性質まで丸暗記するのではなく、マグマのねばりけと関連して覚えさせること。
ですから、表のようにマグマのねばりけと火山岩・深成岩が揃うように教えましょう。
次の授業までに、この表を何も見ずに書くことができれば、この単元の暗記部分は最低限できている、と言えます。
最後に余力があれば、具体的な地名と、火成岩に含まれるキーワードを覚えさせましょう。
【キーワード】
火山噴出物…火山ガス、火山灰、軽石
鉱物…セキエイ、チョウ石、クロウンモ、カクセン石、キ石、カンラン石

まとめ

火山活動に興味を持ってもらうよう、イメージしやすい質問を投げかける

火成岩と火山の形はまとめて一気に覚えさせる

(解答)日本の地下でマグマがたくさん作られる理由
マグマとは、プレートが溶けることによって生成される、どろどろした液体です。
日本はプレート同士がぶつかり合う場所にあるため、常にプレートが地球内部に引き込まれています。
これがマントルの熱に溶かされることによって、マグマが発生します。
よって常に日本の地下ではマグマが作られ、定期的に噴火という形で地表に流れ出ることになります。 

【併せてお読みいただくと効果的な記事】
・理科とはどのような学問か
http://www.juku.st/info/entry/657

・どうやって地学に興味を持たせるか
http://www.juku.st/info/entry/981

 

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