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理科の最強指導法10 ―地学編― 「地震」

小学生

2021/12/17

地震をイメージさせながら教えるコツをつかもう!

講師の皆様こんにちは!
前回は地層の動きについて扱いました。
(参考:http://www.juku.st/info/entry/1112
今回は続きとして「地震」をテーマに扱っていきます。

 

特に生徒がやってしまう失敗

地震の基礎的な単語を知らない

地震が2種類の要因により発生することを知らない

地震の計算問題に必要な“考え方”を理解せず、問題を解いてしまう


地震分野は入試でも頻出のテーマとなります。
そして多くの生徒が“漠然と”理解したつもりになりがちな部分でもあります。
確かに地震は日本人にとって、身近な現象です。
ですが、そのメカニズムは非常に複雑であるため、生徒が混乱してしまいがちです。
このかい離をしっかり埋めてあげるのが、私たちの役割になってきます。
(※本稿では計算問題は扱わず、理論と知識をお伝えしていきます。計算問題は次回に扱います)


授業で伝えるべきポイント及び伝え方

地震の原因を知る

まず、地層の動きが激しく起こることが、地震の本質であることを伝えましょう。
(いきなり発生するものではありません!それは体感だけで、実際には少しずつ地層が動いていることを忘れないようにしましょう)
そのときに、一番重要な「地震の原因」について扱うとよいでしょう。
地震の原因は大きく分けて、2種類に分けることができます。

1.プレート境界地震(海溝型地震)
2.大陸プレート内地震(断層型地震)

海溝型地震は本などで読んだ経験もある生徒が多く、比較的説明がしやすい分野かと思われます。
その際、100均などで販売している、やわらかい下敷きを2枚もって説明するとわかりやすいでしょう。
生徒の下敷きを安易に使わないように!曲げて折れてしまうと大クレームになりかねません)

ですが、断層型地震はどうしてもイメージしづらいようです。
そこで私は「スカイツリー」を例にたとえながら、以下のように説明しています。
(あえて雰囲気をつかんでいただくため、口語調にしております)

だいたいプレートってどれぐらいの厚さがあると思う?
実は100kmぐらいあるんだよ!地殻だけでも5~50kmもあるんだ。
先生は最初に「地殻は5~50kmに対し、マントルは2900kmある」といったよね。
これで君たちはこうやって勘違いしちゃう。「地殻って薄いんだねー」って。
とんでもない!
一番薄いところ(5km)だとしても、スカイツリー何個分になるのかな?
…そうだね、5000÷634=約7本分にもなるんだよね!
すごく厚いことがイメージできるかな?
でさ、地殻って1つの地層でできているんじゃないんだよね。
仮に1つの層が1mだとしたら、実に5000枚もの地層が重なってる!
5000枚分のミルフィーユ、おうちで作るとどうなる?すぐ崩れちゃいそうだよね。
で、しかもプレートによって少しずつ動かされていると、隙間ができそうじゃない?
これが断層型地震なんだ!

…いかがでしたでしょうか。
生徒に「5kmが厚い」と数字で伝えても、残念ながらイメージはなかなかできません。
そして、それが少しずつずれることにより、大きな地震が発生することもわかりにくいようです。
講師は “わかりにくいことを、わかりやすく” 説明することが仕事です。
ぜひイメージを沸かせるよう、そしてワクワク楽しんでイメージできるような話を作ってみてくださいね。

なお、余力があれば具体的な地震とその被害について触れると、より話を膨らませることができます。
海溝型地震ならスマトラ島沖地震・東日本大震災、断層型地震なら阪神淡路大震災やハイチ地震などを具体例に挙げるとよいでしょう。

 

地震による災害と、そのメカニズムを知る

次に扱うのは地震の災害が起こるメカニズムです。
「具体的にどのような災害が発生するのかな?」と聞けば、すぐに答えは返ってきます。
ここで盛り上げておいたあと、「では、どうしてそのような災害が発生してしまうのだろう?」と問いかけていくと、良い授業になっていくかと思います。
以下に代表的な説明を取り上げてみましたので、ぜひご活用ください。

火災

地震で一番怖いこと、それは火災による二次災害です。
インフラが寸断し、混乱した状態で火災が発生すると、多くの人命が失われることになります。
(当然、救急車や消防車が動けないため、足が折れてしまっただけで亡くなってしまうケースもあります…)
原因は家庭での引火のみならず、電気機器や配線(電線など)が故障することにより起こります。

津波

津波の被害は今まであまり騒がれませんでしたが、東日本大震災の教訓から多くの人が意識するようになった災害と言えます。
津波では人命が失われたり、船が壊れてしまう「直接的被害」と、家屋への浸水や田畑の冠水などの「間接的被害」があります。
特に間接的被害に対して、あまり保障や支援がされないケースが多いことが社会問題になっていることも、併せて伝えられるとよいでしょう。
原因は海底での上下運動によるものです。(リアス式海岸などの入り組んだ地形では波が高くなります)

土砂崩れ

強い揺れの影響で、軟弱な地盤や傾斜地に発生しやすい災害です。
他にも、地面が割れたり断層が現れることもあります。
地震の間は動くことができないため、気づいても逃げることが難しいケースも多いようです。

液状化

幕張など、埋め立て地を中心に発生する災害です。
この発生メカニズムは近年よく入試で問われているので、必ず扱うようにしましょう。
液状化現象は、砂の粒と水の粒がほぼ均等に混ざっている場所で起こります。
(言い換えれば、水が地層の一部しか存在しない場合、液状化現象は起こりません。)
この均一な層が、地震による振動で、相対的に軽い水だけが地面の上の方に移動してしまいます。
結果、地盤が液体のようになり、建物が傾いたり、道路が沈んだりすることになります。

なお、時間があれば被害の減らし方についても話してあげるとよいでしょう。
(これは社会科ともつながるテーマのため、社会のカリキュラムを確認することをおススメします。)

 

地震を数値で表す手段を知る

ここから、暗記テーマに入っていきます。
特に生徒が間違えやすい点を中心にお伝えしますので、ぜひ授業では強調して話すようにしてくださいね。

震度

測定地点での実際の揺れの程度を表します。
絶対にお伝えしてほしいのは「これだけじゃ実は被害はわからない!」ということ。
なぜなら、地震が発生している長さがわからないからです。
あくまでテレビで表示されるのは、測定地点での最高震度であり、その前後にどれぐらいの時間、揺れが続いていたかはわかりません。
多くの生徒が震度5以下なら安心だよね、と考えているので、この考え方を直してあげてください。

また、震度は7が最高ですが、段階としては10段階に分かれています。(5,6には弱・強があるため)
これについても必ず触れましょう。
余談ですが、震度はもともと8段階しかありませんでした。
しかし、1996年により細かな被害の判定を行うため、改定されてこのようになっています。

授業では気象庁の概要PDFを持っていくと、より生徒を満足させることができるでしょう。
参考:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/

マグニチュード

地震の規模(エネルギーの大きさ)を表します。
震度と違う点をしっかり押さえさせましょう。
1、震度は場所によって異なるが、マグニチュードは1つの地震で1つだけ
2、震度は直接計測できるが、マグニチュードは推定で求める

震度は地震計があればすぐに計測することができますが、マグニチュードは直接計測することができません。
そのため、地震計の記録などから推定して求められています。
(東日本大震災が当初M8.8だったものが、M9.0に変更になったのは生徒も知っています。このことから、正確な値を求めることが難しいことを伝えるとよいでしょう。)

また、以下のような簡単な計算問題も併せて演習させるとよいでしょう。
(例題)マグニチュード3から5に増えると、エネルギー量は何倍になるか。
但し、マグニチュードが1大きくなると、エネルギーは32倍大きくなるとする。

(答)32×32=1024倍

地震計

地震の揺れを観測する装置。
地震観測には最低3個の地震計が必要であることを、忘れずに伝えましょう。
(上下・南北・東西方向の3つの軸が必要になります)
なお、地盤が弱い地域では揺れが大きくなり、実際以上の震度が出てしまうこともあります。
ハイレベルであれば、その部分についても言及してもよいかと思います。

 

次回は、地震の計算問題を扱っていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

まとめ

地震の原因は2種類あり、それぞれ異なる特徴を持つ

地震災害は名前より、メカニズムを重視して伝える

震度とマグニチュードの違いは必ず理解させる必要がある

 

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