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【塾講師必読】ありきたりな例をぶち壊せ!

2021/12/17

例、使ってますか?

英語・数学、特にこの2科目は、例を使う場面が多いと思います。

例を出すことで、生徒の問題への理解を深めることができます。

特に、数学に至っては、その例がそのまま問題になったりしますよね。

確率の問題で「袋の中に赤い玉3つと白い球5つが入っていて~」というようなものです。

 

例があることはとても大事です。

英語の文章にしても、文法だけを言われてもさっぱり分からないことが殆どでしょう。実際に文章を見て、やっと言われている事を理解することがどれだけ多いか、想像するまでも無いことだと思います。

 

ですが、その例。ちょっと見直してみてください。

 

その例は「正しい」ものだとは思いますが、「生徒が聞く気になる」、もっと言うと「生徒の印象に残る」ものでしょうか。

例を出しても印象に残らず、生徒が後からそれを思い出せないのなら、例としての効果は半減してしまうと言えるでしょう。

なぜなら、例は「理解の助け」になるばかりでなく、「忘れてしまった時の懐刀」にもなるものだからです。

まずは、それについて簡単にお話ししましょう。

 

例の意義 

 

つまらない例ですが、英語の一般動詞の例として

You play baseball.

You don’t play baseball.

Do you play baseball?

 

という例を使ったとしましょう。これによって、

「一般動詞の否定文は動詞の前にdon’tを付ける。疑問文になったら肯定文の文頭にDoを付ける。」

という事が分かります。そのルールをしっかりと覚えているのなら、試験で一般動詞の文章を書かされても問題無いでしょう。

しかし、どうしても度忘れはあるものです。忘れてしまった時に、例の文章が記憶に残っていれば、そこから「playは動詞だから、その前にdon’tを置こう」等と思い出す事が出来る訳ですね。

 

私は、例というものはそうあるべき、度忘れの時の助けになるべきだと思います。

 

ですから、出来る限り同じような内容の文章を例に使うと良いでしょう。

 

You play baseball.

You don’t like study.

Do you eat breakfast?

 

というようにばらばら単元の物では、覚え辛いですし、あまり意味がありませんから。

 

例を出す時に 

そして、本稿の本題に入ります。

先の例に出した一般動詞のように、非常に簡潔で単純な物ならば、極めて工夫の無いような例文でも良いかもしれません。

しかし、

内容が複雑になり、多様化していった時はどうでしょうか

 

例えば、whenを接続詞「~の時」として使う文章はどうでしょうか。ずっと疑問詞として文頭にしか現れなかったwhenがいきなり異なる意味で、しかも文の途中に出てきたという事で、英語が苦手だった筆者は非常に苦戦した記憶があります。しかも、同様の使い方で文頭に来ても良い…とあっては、生徒が混乱しても無理はないのではないでしょうか。

さて、この時出て来る文章の例は大方

「○○がX歳だった頃、△△だった」

というようなものですね。

もちろん、それで十分だという生徒もいるでしょう。しかし、苦手な生徒はそもそも英語に対してマイナスイメージからスタートしています。つまり、頭がそれを覚えるのを拒否している状態なのです。(ゲームは覚えるのに勉強はすぐ忘れる、というアレです。)そこにこんな堅苦しい(いかにも勉強という様な)例を出されても少なくともプラスの効果が見込める度合いは薄いのはご理解いただけると思います。

ですから、思わず「え?」と英語嫌いも見直すような例文を作るという手段が実は使えるのです。ちょっと例文を一捻りしてみましょう、ということですね。

 

I jump under the box when I want to break the one.

もしくは、

When I want to break the box , I jump under the one.

 

意味は、「私はブロックを壊したい時、その下でジャンプします。」

 

これは今ふと筆者が考え付いた文章ですが、皆さんご存知の赤い帽子の土管工をイメージしています。任○堂のマリ●ですね(笑)

こんな文章をちょっとしたイラストと共に黒板に書いたら、生徒はどうなるでしょう。興味を持つか持たないかは流石に生徒次第ですので分かりませんが、

 

『いったいこの先生はいきなり何を言い出してるんだ?』とはなるのではないでしょうか。

 

こんな例文である必要はありませんが、「少なくとも絶対に学校の先生が作る問題や受験の問題には出てこない」類のものにはある効果があります。

 

それは、「勉強に見えない」という効果です。

 

特に、1人2人などの少人数を見ている先生方は、生徒の好みを聞く機会も多いのではないでしょうか。生徒が好きな漫画やゲーム、アニメやドラマなどを自分が知っていればしめたものです。それを知っている、あるいはやっているからこそ通じるネタで文章を作ってみたら、それは参考書そのままの文章よりずっと、興味を持ってもらえる可能性が高くなるのではないでしょうか。

 

数学にはそういうアプローチが難しい、と感じられるかもしれませんが、そんな事はありません。数学にも「普通とはちょっと異なる例での」アプローチは色々と出来ます。

というのも、変に難しく考える必要は無いのです。「タケシ君は消しゴムをx個買い、」というような文章の主語を大統領に変えたり、買うものを家に変えたりとするだけで、十分に「思わずもう一回聞き直させてくれ」というような文章になるはずです。

 

何が良いのか 

では、そういった「思わず聞き返したくなりそうな例」にはどのような効果があるのでしょうか。もう少し詳しく見ていきましょう。一つずつリストアップしていきます。

 

  • 勉強に見えない!

先程書いた通り、ゲームキャラクターが出てきたり登場人物がおかしかったりする文章は(生徒がそれを面白いと思ったら)その瞬間に勉強からエンターテイメントに変わります。ただの娯楽です。もちろんその娯楽から勉強に引き戻さなければならないのは事実ですが、それは別に生徒にとって厳密な勉強である必要はありません。

「ついつい耳に残ってしまう文章」であれば、英語の例文としては十分に役割を果たしますし、「解答の課程にストーリーやビジュアルが想像できる」なら数学の例としても役割を果たしています。いざ類似の問題が出てきた時に解き方を創造できる、ということですね。

 

  • 覚えやすい

例を出すのは、そもそも、例を出すことで覚えやすさを得ることが出来ると思われているからです。ただ、よく利用されている例(見れば分かる内容を聞く不自然な英文や値段の分からない買い物をさせる方程式など)は、現実的な感覚からは離れてしまっていませんか。事実、数学の例文を面白おかしく小馬鹿にするようなものを見かけたという人は少なくはないでしょう。動く点P、等は最たるものでしょうか。

であれば、初めから身近に寄せる気の無い物の方がある意味では受け入れられるのではないでしょうか。ゲームが全くの異世界を描いていても大ヒットすることがあるように。

 

  • 想像しやすい

「彼女は5歳の頃泳げなかった」というような文章を想像しようと思ってもあまりピンとこないでしょう。先程の接続詞whenを用いる文章でよく使われるものです。せいぜい、小さい女の子が溺れそうになっている、といった感じでしょうか。

しかし筆者が先程例に挙げた某ゲームの主人公のブロックを壊す場面であれば非常に明快なビジュアル化が出来るでしょう。主人公がブロックの真下まで走っていき、真下に到着するや否やジャンプ(特徴的な効果音が鳴る!) そしてブロックは壊れます、という一連の流れが分からない人は、相当少ないのではないでしょうか。

ゲームや漫画などを題材にしているとすれば、キャラクターが既に頭の中に存在します。であれば、こういった想像を作り上げるのが非常に簡単になるのです。

 

最後に 

いつも使っている教科書的な例にひと工夫加えてみると、たくさんの効果が期待できます。とても真面目な生徒さんには合わない(嫌がられてしまう)手法ですが、多くの生徒(特に中学生)には結構面白がってもらえる方法です。

これが直接の成績上昇点数上昇にはならなくても、少しずつ勉強に対する堅苦しい構えを解いていくきっかけにはなっています。

「例を問題に応用できない生徒」や、「どうしても勉強に対して苦手意識を前面に押し出してしまう生徒」などに一度試してみて頂けると幸いです。

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