小論文の指導法とは?
受験、特に推薦枠で受験する場合に課せられることがあるのが小論文です。
また、国公立の大学を目指す場合にも、必要になることがあります。
小論文についてしっかりと教えられる人は少ないのではないでしょうか。
先生方の中でも書いたことが無いという方も決して少なくはないでしょうし、
実際、小論文が必要な人は多いものではありません。
しかし、先生自身が書いたことが無かろうと、ほとんどの人にとって不要であろうと、
必要な生徒にとってそんなことは問題ではありません。
「今、自分にとって、小論文が必要である」
その事実が現実としてのしかかり、誰もそれについて教えてくれないとなれば、
重圧は大きなものになってしまうのではないでしょうか。
そもそも、小論文は、
「条件に沿って自分の考えを分かりやすく簡潔に、筋道立てて、かつ説得力を持って伝える」
ものです。
大学生の先生であれば、ご自身のレポートなどにも使えるでしょうし、
何よりも、「伝える」というのは先生の仕事に不可欠なものです。
小論文の書き方を通して、自分自身の授業の仕方にも取り入れる事が出来る部分があるはずです。
そのようなことを考えながら、本稿を読んでいただければ幸いです。
小論文には、意見が必要だ
小論文では、特定のテーマに対して自分の考えを記述する必要があります。
ということは、自分の意見が存在しなければ書くことが出来ません。
普段から本を読んだりしている生徒には、特に困難が無いことが多いです。
しかし、日頃文章と接するのは勉強の時だけという生徒も少なくありません。
そういった生徒は、突然、自分の意見が必要だと言われたら、困惑してしまうでしょう。
こればかりは付け焼刃でどうにかなる代物ではありません。
目指す方向の中に小論文の必要性が少しでも垣間見えているのなら、
生徒には、文章を読み、自分なりに考えるという習慣をつけさせましょう。
新聞の投書欄などは共感しやすかったりしますので、そういったものから始める
と良いかと思います。
中学生くらいの子が真剣に社会問題について投書していることもあるので、刺激になるのではないでしょうか。
では、実際に問題を考えながら、方法を伝授していきます。
結論の書き方には3つのパターン存在するが、使うべきものは決まっている。
事前にテーマが知らされている場合もありますが、今回はそうではないと想定します。
消費税増税について書け、という小論文であるとしましょう。
書き手が、つまり、生徒が「消費税増税には反対だ」という意見を持ったとき、当然、小論文には
・反対であるということ
・反対であることを納得させられるだけの根拠
を書かなければなりません。
ここから、小論文3パターンをご紹介します。
ズバリ、「反対である」という結論をどこに書くのか、でパターンが分かれます。
1 初めに書くパターン
原稿用紙ではもちろん、右から書き始めますから、右側が論文の頭です。
初めに「増税には反対です」と述べた後、その根拠を説明することになります。
2 終わりに書くパターン
結びに持ってきます。
初めに色々な根拠を述べ、「だから、私は増税には反対です」と述べることになります。
ただ、私は、この2つを良いパターンだとは思いません。
理由を述べます。
これら2つは、小論文作成に向いていないのです。
日ごろから文章を書き慣れており、自分で自分の文章をしっかりとコントロールできる生徒に限ってはその限りではありません。
ただ、このパターンを扱うのは難しいのです。
1つ目のパターンは初めに結論を述べてその根拠を後に述べていくものですが、
どうしても合間合間に自分の意見を入れることになります。
それらが少しずつ重なり合って、じわりじわりと初めに述べた意見とはニュアンスの異なる主張をするようになってしまうのです。
「消費税増税には反対です。何故なら、生活に困窮している人にとってそれは非常に大きな打撃になるからです」と初めに述べたとしましょう。本論の中で、「税金の無駄遣いがニュースになっている」と論を展開したことに引っ張られ、論文の終わりごろには「だから、まずは無駄遣いを失くしてからにするべきだ」といった方向に進んだり、ましてや「無駄遣いが無くなってからの増税にすべきだ」などと結論が変わってしまえば、初めに述べていた生活に困窮している人を置いてきぼりにしていたりするということになってしまうのです。
2つ目の場合も同様です。
極端ではありますが「増税は絶対に駄目だ」という結論を出すつもりで根拠を書き始めていたのに結論の辺りでは「それでも駄目なら増税も仕方ない」というような流れになっている、というのは珍しいことではありません。
生徒に文章力が無いとか、忘れっぽいとか、そういう原因によるものではないのです。
読者の方も試しに、小論文を書いてみてください。
意識していないと意見や結論がもやっとした文章になってしまうことに気付く方が多いと思いますよ。
スタート地点が無いと、どうしても書いている内にゆらゆらと動いてしまう。
ゴール地点が無いと、途中で道に迷ってしまう。
だからこそ、3パターン目を使う必要が出てきます。
3 初めと終わりに書くパターン(←推奨)
初めと終わりで結論を述べるのです。
「私は増税には反対だ」と述べ、その根拠を論じた上で最後にもう一度「~であるから、私は増税に反対なのである」として締めるのです。
では、こうすることでどのような効果が見込めるのでしょうか。
まずは、
書く量が減るという効果があります。
書く量が減る、というのは別に「楽が出来る」という訳ではありません。
先程述べたように、根拠を述べている間に自分の言いたい意見からゆらゆらと離れていってしまうことで論文としての出来が悪くなってしまいます。
書く量を減らせば、そのゆれてしまう範囲を減らせますね。
そして、
結論に書く内容が決まっているというのも大きな効果になります。
初めに述べた内容からずれていってしまっても、
最後に再び結論を述べる際にそのズレを自分で認識することが出来ます。
特に小論文の書き始めの頃は慣れずについつい意見と結論とがずれてしまうかもしれませんが、
書いている最中に小論文の冒頭を見返すようにしていると、
「これだと冒頭に繋げられない」ということにより早く気付くことが出来ます。
自分の意見を言葉にできるようになること
論文の初めと終わりで結論を2回述べること
単純ですが、これをふまえて小論文の練習をすると、完成度が高くなります。
授業に活かす
そしてこれが分かっていると、授業にも活かせる部分があります。
最初に述べたとおり、何よりも、「伝える」というのは先生の仕事に不可欠なものです。
科目にもよると思いますが、
初めに答えを述べる→しっかりと根拠を説明する→もう一度その答えになること言う
これなら、生徒達はゴールを見据えたうえで根拠を聞くことが出来ますから、
最後の答えに納得できるはずです。
上手く活かして、生徒の小論文も、先生の授業も完成度を上げていきましょう!
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