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理科の最強指導法20 -植物編ー 「季節の特徴(春)」

小学生

2021/12/17

暗記分野!季節と生き物の関連性を、どうやって効果的に教える?

講師の皆様、こんにちは!

前回の記事『理科の最強指導法19 -植物編ー 「種子のつくり」』に続き、“中学入試ならでは!”といえる、観察を中心としたテーマを扱います。

 

 


 

2回目は「季節による植物・動物の変化(春)」です。

 

特に生徒がやってしまう失敗例

季節の変化と植物・動物の動きの関連性がわかっていない

植物・動物の名前を聞いても、季節をイメージすることができない


そもそも、どうして中学受験でこのような“季節と生き物”について出題されるのでしょうか。

(高校受験・大学受験ではほとんど出題されないテーマです!)

 

 

まず、その理由を考えてみましょう。

 

多くの受験生は小4・5から塾に通い、受験対策を行っていきます。
(学校の勉強だけでは到底受からないのが、中学受験の世界です)

しかし、中学校としては、

 

「単にお勉強ばかりしていた生徒ではなく、本当に知的好奇心を持った生徒がほしい」

 

と思っています。

 

もちろん受験勉強を否定するわけではありません。

 

ただ「嫌々勉強させられて覚えている生徒」と「純粋に興味があり、いろいろ覚えた生徒」なら、後者のほうが伸びる可能性は高いですよね。

 

そのため、植物名の穴埋め問題はずいぶん減り、代わりに、”実際に見たことがあるか”を問うてくる出題が増加しています


このことを講師は理解して教案を作りましょう。

 

加えて、手がかりを元に考えることができる「思考力」も問われるようになってきました。

例えば、紅葉は多くの生徒が実際に見たことがある現象です。

 

ただ、どうして紅葉を行う必要があるのか、どうして赤色になったり、黄色になったりするのか…。

手がかりをある程度与えたうえで、考えさせる問題などが挙げられます。

 

これらの問題に立ち向かうためには、暗記では不十分です。

単にテキストを丸暗記させるのではなく、ぜひ興味関心を広げるような授業を行うように心がけましょう

 

 

本記事でも、できる限り生徒の興味を引くことができるような、参考記事を盛り込みました。
時間の都合上、全てを扱うことは難しいとは思いますが、できる限り取り入れて頂けると、良い授業になるかと思います。

 

(参考) 植物名はひらがな?漢字?カタカナ?
特に指定はないが、学術的な場合はカタカナ、一般的にはひらがなで書きます。
本記事では「カタカナ(小学生でも、漢字で書けなければならないものは漢字)」で表記しています。

 

授業でのポイント・伝えるテクニック

春の植物・動物

草本類の様子

冬の間に枯れなかった植物(樹木や多年草植物)は、春に花を咲かせるものが多いです。

 

代表例としては、タンポポ、ナズナ、ハルジオン、シロツメクサ、カラスノエンドウ、サクラ(ソメイヨシノ)が挙げられます。

 

これらは名前を聞いた瞬間に「春の植物だ!」と気づけるようにしなくてはいけません。

生徒には、イラストとともに覚えるようにしましょう。
(インターネットや辞書を活用すると効果的です!)

 

また、春に芽を出す植物として、キクやススキ、ホウセンカは覚えさせましょう。

 

 

さて、花が咲く理由はもちろん受粉するためですが、どうして春なのでしょうか。

これには大きく分けて2つの理由があります。


1つは、花粉を運んでくれる昆虫が動き出すこと。

花を咲かす=虫媒花である、ということになりますが、昆虫は変温動物であるため、ほとんど冬に動くことができません。
だから、花は春~秋に集中して咲くことになります。



もう1つが、日照時間の変化。

春になると気温上昇とともに、日照時間が伸びていきますから、植物の生育にとって非常に都合がよい状態になっていきますね。

そのため、春に一斉に花を咲かそうとするのです。

 

(参考)開花条件
開花はいくつもの条件がそろって初めて行うことができます。
(詳細はいまだ不明な点もありますが、植物ホルモンが関与していると考えられています)
その条件の多くは、日光・温度のいずれかを測定して、開花を決めていることが観察によりわかっています。
なぜそのような仕組みが必要なのでしょうか。
ぜひ生徒の気持ちになって、考えてみましょう。(答えは最後尾にあります!)

タンポポ

特に注意するべき植物として、タンポポが挙げられます。

 

まず、タンポポは小さな花(舌状花と呼びます)が集まって1つの花になっている、合弁花であることを理解させてください。

 

以下の図を書いて説明するとわかりやすいかと思います。

 

また、1日の間に花や葉が開閉する特徴があることも伝えましょう

 

タンポポの開花は光により決まるため、雨の日は昼間でもほとんど開きません。

ハイレベルであれば、チューリップは温度を上げることで開閉をしていることを伝えてもよいでしょう。

 

最後に、余力があれば春の七草を覚えさせてもよいでしょう。
(近年は出題頻度が減っており、無理をして覚えさせる必要はありません)

 

セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ

その際、春の七草粥の歴史や効能についても、触れてあげると生徒は喜びますよ!
(参考)http://www.kikkoman.co.jp/homecook/college/10shoga/nanakusa.html

 

 

樹木の様子


続いて、樹木を扱いましょう。
冬芽(ふゆめ、あるいはとうがと読みます)で冬を越した芽は、暖かくなると花を咲かせたり、新しい葉を出していきます。

サクラ

サクラを教える際は、開花のメカニズムと開花前線を必ず伝えましょう。

開花は、冬と春の気温差と春の訪れの時期の二つの条件によって決まります。

 

細かいことを教える必要はありませんが、


・温度差が重要であること(ただ暖かいだけでは開花しないこと)
・いっせいに開花することで、受粉の確率を上げる工夫であること

 

この2点を伝えてください。

次に、開花前線を教えていきます。


(出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%9C%E5%89%8D%E7%B7%9A

 

上の図が開花前線(桜前線とも呼ぶ)です。

この図から、概ね南から北へ、開花が起こることを表しています。

例えば東京だと3/25、広島なら3/31に開花することになりますね。

 

なお、4/5の部分が極端にUの字になっているのは、山脈があるためです。

 

生徒に開花前線を書かせると、ついまっすぐ書いてしまいがちです。
ハイレベルな生徒でもよく間違えているので、受験生には抜き打ちテストとしても良いでしょう。

 

 

最後に「どうしてサクラはみんな同じ時期に咲くと思う?」と聞いてみましょう。

 

実は、ソメイヨシノという栽培品種は、自然に増えることができません

 

元々1本だったものを、接ぎ木で増やし続けた結果、日本中で見られるようになりました。(いわば「クローン」と同じです)

 

ここから、「クローン=悪いこと」という漠然とした固定概念は誤っていることを伝えてあげましょう。

なお、イチョウやイロハカエデもこの時期に花を咲かせています。


裸子植物も花を咲かすことを知らない生徒がいますので、復習させるとよいでしょう。

 

 

昆虫

春になると昆虫は一斉に活動を活発化させます。
最初に、冬越しの仕方を確認しておきましょう。(ここは暗記単元です!)


成虫:ミツバチ・テントウムシ
さなぎ:モンシロチョウ、アゲハチョウ
卵:バッタやカマキリ、コオロギ



(参考)同じチョウでも食べ物が違う!
モンシロチョウ・アゲハチョウはいずれもよく入試に出題されますが、注意してほしいのは卵・幼虫の時期。

 

モンシロチョウ

アゲハチョウ

細長い

丸い

幼虫

キャベツやアブラナを食べる

カラタチやミカンを食べる

それぞれの違いを押さえておきましょう!

 

また、昆虫は変温動物ですから、温度が高いほど、活発に活動することができます。

 

そのため、以下の特徴があることを教えてあげるとよいでしょう。

・朝から昼にかけて活動し、夕方はあまり活動しない
・晴れた日のほうが活発に活動する

時間に余裕があれば、恒温動物との比較を行うと、より授業の深みが増します。

 

その他の生物

春になると「夏鳥」と呼ばれる、繁殖のために南の国から渡ってくる鳥がやってきます。

夏鳥は“夏を日本で過ごし”繁殖期が終わると再び越冬のために南の国に渡って行きます。

代表例として、ツバメを覚えるようにしましょう。

 

また、カエルやコイも冬眠からさめて、活動を開始します。

生徒は意外と魚類・両生類が冬眠していることを忘れているものですから、触れるだけで良いので確認してあげましょう。


(参考)冬に種子が発芽しないのは、日照時間が原因!
日照の長さ、温度変化はだいたい比例していきます。
だから暖かくなってきたころに一斉に芽をだし、少しでも多く光合成を行おうとするわけです。
実は温度が高いから発芽するのではなく、温度が高い=日照時間が伸びる、と植物は考え、発芽するのです。
なお、一気に競争して戦うと負ける植物はどうするのでしょうか?
秋や冬に開花したり、発芽するわけですね。

まとめ

自然観察はなるべく、知的好奇心を刺激できる授業を心がける

春の植物・動物は分けて説明すると分かりやすい

気温変動と、日照変動が、動植物の動きを左右していることを理解させる

 

解答
植物は同じタイミングで咲く必要があるから(同種の花粉ではないと受粉できないため)
なお、種子が「水の有無」により発芽を決めることも、自然を察知する仕組みと言えますね。
生徒は植物=生き物である、という感覚を掴めていません。
人間と同じように、周りの世界を感じることができるんだよ!と伝えてあげると、植物に対する見方が変わりますよ。

 

 

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