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【健全な教室運営のために】授業の質を高めるたった1つの心がけ=「フィードバック」

2021/12/17

生徒だけじゃなく、講師も授業の復習を

講師が講師として活躍するためには様々な過程があることでしょう。

 

最初は教室のルールを知り、教え方の基本プロセスを学び、そしてだんだんと慣れてきて、1年ぐらいたってようやくベテランになってくるものです。

 

しかし、その“ベテラン”の状態はあくまで慣れきっているという意味であって、本当の意味でプロの講師になるにはさらなる工夫が必要とされます。

 

特に集団指導においては、

教師ひとりの行動・仕草が大きな影響を子どもたちに及ぼすので、細心の意識が払われる必要があります。


では、さらなる工夫とはどのようなものでしょうか。



それは、フィードバックと呼ばれるものです。


フィードバックは当たり前?

フィードバックといえば、

学期の最後に生徒に配られるアンケート用紙を思い浮かべる方が多いでしょう。

 

これは塾に限らず、公立・私立の学校、そして大学においても実施されていることですので、目新しい感じはしないかもしれません。

 

 

さて、日本人からしたら当然とされているフィードバックですが、実は世界的に見たら頻繁に実施されているわけではありません。

 

以下はTEDのビル・ゲイツのプレゼンテーションですが、彼は教師のフィードバックの重要性について語っています。個人的に面白いと感じたのは、フィードバックシステムを実施している国はそんなに多くないということです。 


 

 

フィードバックの種類

ではフィードバックとはどのようなものがあるでしょうか。

フィードバックとは単純なアンケート用紙ではなく、講師の授業を振り返る行為全般を指します。

 

私が考えますに、フィードバックの方法は大きく3つにわけられます。

 

それは、調査・ビデオ・観察の3つです。

 

以下ではそれぞれの手法についての簡単な説明と、それを実行するための簡単なプロセスをご紹介します。

 

調査について

これは皆さんが一度は見たことがあると思います、アンケート用紙を指します。

 

アンケート用紙は生徒が普段の授業をどのように感じているのか、あるいは何を求めているのか、そういった生徒の内面を明らかにするのに優れています。

 

しかし、アンケート用紙をきちんとフィードバックの素材とするためには、質問に工夫を凝らさなければなりません。


例えば以下の項目はどうでしょう。

「普段の授業に満足していますか?1〜5段階で評価してください。もし何かあれば、理由も書いてください」

 

自分が怠惰な性格と仮定して、このアンケート用紙を受け取った場合を想像していただけたらおわかりだと思うのですが、きっとこの質問はもったいないです。

 

 

 

①“満足”の定義が曖昧

まず満足とは何でしょうか。

講師の言っていることがわかりやすければ満足するのでしょうか?それともわかりやすさは無視で、親しみのある講師だったら満足するのかもしれません。

確かに生徒の満足は重要ではありますが、講師の本当の目的は、生徒の成績を上げることですから、その目的に直結した質問でなければなりません。

 

 

②理由を生徒に“考えさせている”

生徒が本当に強い意見を持っているのであれば、理由を書いてくれるでしょう。

しかし基本的に文を書くというのは面倒なものですから、たいてい白紙で提出されてしまいます。

ですので、「あなたが1にする理由はこれですか?」という理由を列挙した項目を別に作成することが求められます。

 

言葉の定義をはっきりさせる、項目を目的に直結させる、面倒な質問にしない、いくつかの工夫を凝らせば、十分に効果のあるフィードバックになります。

もちろん重要なことは、そこから何を読み取るかなのですが、これについては最後に述べます。

 

 

 

 アンケート用紙は、生徒の内面を調査するために用いられる

質問項目はよく考えよう

 

観察

観察とは、別の人が授業を後ろから見て、直接フィードバックする方法です。先輩講師が新人講師の授業を後ろから観察するという方法はよく取られる方法ではあると思うのですのが、新人講師が新人じゃなくなるとあまり用いられることがなくなります。しかし、ベテラン講師が他の講師の雰囲気を直接感じることができるという点からも、最も有効なフィードバックといえるので、定期的にこれは用いるべきです。

 

私のかつての職場では、エリアマネージャーがたびたび教室を訪れ、社員講師の評価をしていることがしばしばあります。評価と直結しやすい観察ではありますが、これをフィードバックの一環として定期的に時間講師を対象に実施することもありではないでしょうか。

 

しかし現状のところ、塾業界ではどこも人不足であるという話を聞きますので、社員の何倍もいる時間講師を対象に観察をしょっちゅう実施することは現実味のない話ではあります。そこで、観察とは別の手段として、次の方法が取られています。

 

 

ベテラン講師が直接授業の雰囲気に触れるので、最も有効なフィードバック方法

しかし手間や人員が必要なため、あまり用いられることがない

ビデオの場合

これを実施しているところはグループ指導、集団指導をしているところではないでしょうか。

授業風景をビデオにおさめ、それを後に自分で見返して、何が良いのか、何が良くないのかを考察するという方法です。

ビデオですので他人に見てもらってアドバイスをもらうということも可能です。 

 

一般的に、ベテラン講師の授業をビデオで学習するというのはありますが、自分の授業をビデオに収めるということはあまりないようです。

ですので、もし時間がありましたら是非この方法を取ることをお勧めします。

 

自分の声の大きさ、雰囲気、それらに対する生徒の対応が全て見れますので、フィードバックを行うには最適といえます。 

 

繰り返し見られる、時間に関係なくベテラン講師に確認してもらえるなどといいことだらけのように思えるフィードバック方法ですが、一つ注意しておかなければならないことがあります。

 

授業をビデオに収めるということは、そこに生徒の顔が映る可能性があるということです。

近年、個人情報の扱いについてより慎重になるべき時代になっていますから、肖像権等の問題に細心の注意を払う必要があります。

ゆえに、ビデオを活用したフィードバックを行う場合には、教室長の確認が必須になります。

また、場合によっては保護者・生徒自身の承諾が必要となりますので、ご注意ください。

ビデオは自分の授業を何度もフィードバックできる最も汎用性の高い方法

しかし肖像権には細心の注意を支払うべき

まとめ

少し変化球をかけた記事でしたが、いかがでしたでしょうか。

個人的な感想ではありますが、フィードバックをきちんと体系化し、それを講師に反映させている教室は少ないように思えます。 


どこの教室も“満足度調査”というものを行っていると思いますが、それがどのように活用されているのか把握している講師はどれだけいるでしょうか。

 

システム自体は優れていて、素晴らしいフィードバックを生み出してくれたとしても、それを活用しない限り良い結果は生まれないことは確かです。

 

もしあなたが所属している教室がフィードバックを活用しているように思えなければ、自分なりのアンケート調査を実施したり、教室に提案をしたりすることをお勧めします。

 

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