地理の山場!気候区分について一からすべて解説!!
さて、今回は第5弾として気候区分について細かく解説していきます。
気候区分はアルファベットで表現したほうが意味を捉えやすく、分かりやすくなります!
今回はそれぞれの説明をしつつ、最後に実際に出題された大学入試問題で確認ができる形式をとっています!必見です!!
ケッペンの植生分布による分類
ドイツ人ケッペンは世界の植生分布が気候条件に大きく影響されることに着目し、植生分布に大きな影響を与える気温と降水量の値を用いて、世界を5気候帯、12気候区に区分しました。
そのため、植生によって形を変える農牧業を中心とした人間活動をみるには便利なものになっています!
ポイント
気候帯は主に緯度が低い順にA ~ E まで分けられている!
気候区は小文字のアルファベットを気候帯の記号に組み合わせて表現!
さて、まずは「樹林」があるかないかで気候を分けると以下のようになります。
樹林のある気候 |
熱帯(A・・・Af, Aw) 温帯(C・・・Cs, Cw, Cfa, Cfb) 亜寒帯(冷帯)(D・・・Df, Dw) |
|
樹林のない気候 |
乾燥帯(B・・・BW, BS)、 寒帯(E・・・ET, ES) |
それでは強調しておくべきポイントをまとめます。
乾燥帯・寒帯には樹林がない!
乾燥帯は樹林が育つのに必要な水がありません。また、寒帯は寒すぎて水が凍るので樹林は水が得られないので樹林は育ちません。一方で冷帯でも樹林は育つことは強調しておきましょう。実際、ロシアでもタイガと呼ばれる針葉樹林がシベリア地方にあります。
樹林のない気候の表記は大文字のみ!
BW,BS,ES,ET の4つは樹林のない気候で大文字の組み合わせで表現されています。わざわざ強調するまでもなく気づくかもしれませんが思い出すきっかけにもなり得るので教えておきましょう。
乾燥気候と湿潤気候を分類する
乾燥気候と湿潤気候の分類は年降水量及びその季節配分と年平均気温によって決まり、特に乾燥気候かどうかの判定は少し複雑です。まずはアルファベットそれぞれの説明をしていきます!
① s・・・夏季少雨(冬雨型) (冬の最多雨月降水量>夏の最少雨月降水量×3)
② w・・・冬季少雨(夏雨型) (夏の最多雨月降水量>冬の最少雨月降水量×10)
③ f・・・乾季なし(年中湿潤) (sでもwでもないもの)
厳密な定義は降水量の割合に依存するのですが、まず知っておくべきことはこれです!
夏(Summer)雨が少ない → s が用いられている!
冬(Winter)雨が少ない → w が用いられている!
あとはsでもwでもないものは年中雨が降るf!と考えれば楽に覚えられますね!
乾燥気候
それでは乾燥(B)気候の求め方を学んでいきましょう。ある観測地点の年降水量をR(mm)とし、年平均気温をt℃とします。次の気温の式に当てはめて得られた値r(乾燥限界値)を、その観測地点の年降水量Rと比較して判断します。
①s(夏乾燥)の場合・・・r = 20t
②w(冬乾燥)の場合・・・r = 20(t+14)
③f(年中湿潤)の場合・・・r = 20(t+7)
R(年降水量)とr(乾燥限界値)を比較して、r>R なら乾燥(B)気候、r<Rなら湿潤気候(B以外)である。B気候でのBW(砂漠気候)とBS(ステップ気候)の区分は乾燥限界値の2分の1の値で区別します。つまり、
となります。この式を用いた計算は複雑ですので2次試験でも地理を使う人向けです。センター試験のみの方は雨が降らなければ乾燥、といった程度でも大丈夫でしょう。
湿潤気候の分類
つぎにB以外のA, C, D, E について分類していきましょう。気候帯は最寒月平均気温、最暖月平均気温によって以下のように分類されます。
ポイント
18℃、 10℃、 -3℃ という境界の気温を覚えておく!!
Aは熱帯と分かっていれば一番寒い月でも平均18℃を下回らないと推測できるはずです。したがって、-3℃はCとDの境界であること、10℃がDとEの境界であることを意識しておけば間違えることはないでしょう。
注意!
樹林のない気候がB,E であって、乾燥気候はBのみです。氷という状態とはいえ、水は存在するということでEは湿潤気候に分類されます!!
ところで冷帯で樹林は育つのか?
冷帯は最寒月平均気温-3℃以下ですから、冬以外にも氷点下の気温になる可能性はあります。したがって、水が長期間凍ることもあります。実は冷帯の樹木は生長に必要な水分は夏場に溶ける地下の永久凍土層から供給しています。したがって、水が凍っても樹林は生長することができます。
A気候の分類
A気候は年中高温で、気温の年較差が小さく、日較差のほうが年較差よりも大きくなります。
したがって、夏冬で雨量の差が出にくいので最少雨月降水量、年降水量でAf(熱帯雨林気候)、 Am(弱い乾季のある熱帯雨林気候)、 Aw(サバナ気候)の3つに分類します。以下の図のように最少雨月降水量が60mm以上ならAf, 60mm未満なら年降水量に応じた最少雨月降水量を見てAm, Aw を区別します。
C,D気候の分類
C気候は降水の型からs・w・f、さらに気温からa・bに分類されます。Cs(地中海性気候), Cw(温暖冬季少雨気候), Cfa(温暖湿潤気候), Cfb(西岸海洋性気候)に分類されます。CfaとCfbの基準は最暖月平均気温が22℃以上かどうかであり、22℃以上であればCfa、22℃未満であればCfbとなります。
a・・・最暖月平均気温22℃以上
b・・・最暖月平均気温22℃未満
D気候はDf(亜寒帯湿潤気候)、Dw(亜寒帯冬季少雨気候)に分類されます。
E気候の分類
E気候は夏季だけ地表の凍土が溶けて地衣類・こけ類がはえるツンドラ気候(ET)と1年中氷雪に覆われた氷雪気候(EF)に分類されます。E気候の区分は以下のようになります。
最暖月平均気温が
0℃以上10℃未満・・・ET(ツンドラ気候)
0℃未満 ・・・EF(氷雪気候)
高山気候(H)
これはケッペンの気候区分には含まれていませんが、高山地域に現れる特有の気候です。気温の年較差は小さく、日較差のほうが大きくなっています。エクアドルのキトやアンデス山地、ヒマラヤ山地などが例です。
雨温図による気候区の判定
気候区分の判定には雨温図で判断または気候表で判断の2パターンがあります。ここでは雨温図を紹介し、入試問題で気候表の解き方を紹介していきます。
それでは以下の雨温図を例にどの気候区か実際に判定してみます。
まずは最高気温と最低気温に注目します。最低気温が5℃あたりであることから気候帯は月最低気温が-3℃以上18℃未満のCであることが分かります。
次に降水量に注目して、降水の型を判定します。気温が低い時に降水量が少ないことから冬に少雨であることが分かります。8月の雨量が1月の10倍以上であればwとなりますが、グラフからは500mm以上にはなっていないことがわかるので、fであることが分かります。最後に、Cの分類で最高気温が22℃以上であればa,22℃未満であればbということであるからこの雨温図はCfa を表していることが判定できました。
ちなみに、この雨温図は実は東京の雨温図を表しています。
ポイント
気温の変化に注目
降水の型を分類
尚、気温の変化を見る場合、南半球だと12~2月頃が気温が高くなり、折れ線グラフの形が上のグラフとは逆の形となるので注意しておきましょう。
入試問題に挑戦!
それでは実際の入試問題を解いてみましょう。今回のテーマは気候区分の判定ですので都市名が分からなくても気候区だけでも判定してみてください!
次の気候表について後の問いに答えよ(駒澤大(改))
問1 表中の(a)~(d)の都市名として最も適切なものを次の①~④からそれぞれ一つずつ選べ
① ロンドン ② ケープタウン ③ ラホール ④ ホンコン(香港)
問2 表中の都市(b)の気候は、ケッペンの気候区分ではどのように表されるか。最も適切なものを次の①~④から一つ選べ。
① Cfb ② Cw ③ BS ④ BW
答 問1 (a) - ② (b) - ③ (c) - ① (d) - ④ 問2 ③
解説
問1
(a)は1月に気温が高く、7月に気温が低いことから南半球にある都市であることが分かります。この時点でラホールが北半球の都市であることが分かっていれば②のケープタウンしか南半球にないことで②を選択できますが、ラホールは頻出の地名でもなく、知っている人は少ないと思いますのでケープタウンと特定するところまで考えてみましょう。
気候表から冬の降水量が夏の降水量の3倍あることが分かるので、Cs,すなわちケープタウンと分かりますね。ちなみに、ケープタウンはCs(地中海性気候)という気候を利用してワインなどの原料となるブドウを栽培するなど頻出の地名ですので覚えておきましょう。
ケープタウンは南半球の南アフリカ共和国の都市で、Cs!
次にb~dを見てみましょう。いずれも最低気温が-3℃より高いので温帯気候と考えられますが、bは年平均気温が高い割には降水量が低いので乾燥気候とも考えられます。
夏の降水量が多いことから年降水量Rと乾燥限界値rを湿潤気候と乾燥気候の区分の式、r = 20(t+x)で比べます(t:年平均気温)。R>rなら湿潤気候、R<rなら乾燥気候です。夏の降雨が多いことからx=14とし、表よりt=24.5を代入するとr=20×38.5 = 770となります。
年降水量R = 648.7より、乾燥気候になることが分かりました。ロンドン、香港共に乾燥気候でないことから消去法でbは③のラホールであることがわかります。cは降水量の年間変化量が小さいので西岸海洋性気候Cfbであり、①のロンドンであることが分かります。dは夏に降水量が多く、冬に少ないことから温暖冬季少雨気候Cwであり、④の香港であることが分かります。
香港 ・・・ Cw ロンドン・・・Cfb
問2
問1まででbはBであることが分かっているので、BSかBWかの判定を行います。乾燥限界値r=770mmであることからBSとBWの境界値は385mmです。ラホールの年降水量は648.7mmなのでBSとなります。したがって、③となります。
入試問題は解けましたか?このように膨大なデータから読み取る問題が地理では頻出ですので慣れておきましょう!また、地名が出てくると場所が分かっていないと解けない問題があるので日ごろから地名を覚える癖をつけておきましょう!!