”文章力”は授業でどう役立つ!?本や新聞から学べる3つのポイント!
社会人に必要不可欠な力
こんにちは。
早いもので10月も中旬に差し掛かり、ようやく暑い日が少なくなってきましたね。
大学生1年生で4月から塾で働いている講師のみなさんは、大分教えることに慣れてきたでしょうか?
これまで行ってきた授業実践で至らなかったと思う点については省察して今後につなげ、成果を感じられたところも今後さらに伸ばしていけるよう研鑽を積み重ねていただければと思います。
さて、塾講師に務めている皆さんの中には、
大学生のアルバイトとして学業と両立をしている方も多いのではないでしょうか。
「大学生」という時間はサークル、飲み会、そして恋愛など学業以外にも様々なことに盛んな時期です。
そして、様々なチャレンジができる自由な「場所」でもありますよね。
ただ、4年間の時間の使い方はすべて自分次第。
この4年間を「人生の夏休み」と捉えるのか、はたまた「社会人になるための準備をする最後の時間」と捉えるのか。
筆者は大学を卒業してまだ2年ですが、下線部のうちどちらの捉え方をするかで社会人になってからの成長スピードが全然違うなあと感じることが多々あります。
個人的な感想になりますが、やはり塾講師や家庭教師などを学生時代にしっかり頑張ってきた人は、社会人としての資質もすでに備わっている人が多い印象があります。
なぜなら、
・難解な用語や経緯を自分の力でわかりやすく説明する力を身につけている
・生徒や保護者、塾の上司など様々な立場の人とコミュニケーションをとる力がついている
・聞き手を飽きさせないためのプレゼン力が身についている
ような人が多いからです。
もちろん、塾講師全員このような力がついているというわけではありません。
しかし、きっちりとこういったことへの指導が行き届いている塾や、意識してきた学生が多いのではないかと思います。
「文章力」を身につけよう
せっかくこれだけ働くことにメリットがある塾講師なのだから、筆者はさらにこれを利用してほしい、と思うことが1つあります。
それは、「文章力」を鍛える勉強をしてほしいのです。
なぜ、筆者がここで「文章力」を磨くことを推奨するのか。
それは、
①社会人になってからも必要となる力であるから
です。
企業に勤め、働いてみるとすぐにわかるのですが、この「文章力」というのは、常日頃から問われる力となります。
たとえば、ある事業を終えた時、その事業が次のビジネスに活かせるよう「事後レポート」にして提出が求められる時があります。
さらに、年数を重ねれば、事業そのものを一任されることもあるでしょう。
そうなると、事業を実行するにあたっての「企画書」というものを上司や社員が納得するように書かなければいけません。
説得力のある文章を書くことが求められるわけです。
②「文章力」を鍛えることは授業にも役立つ
具体的な方法については、本論で詳しくご紹介しますが、「文章力」を磨く勉強を積み重ねることは、授業をより魅力的にするのに役立ちます。
論理的な文章表現を日ごろから鍛えていれば、授業での説明にも説得力が増しますし、優れた文章の技法を読み解くことで、読者をいかに楽しませるかを学ぶことができます。
塾における授業も、やはり教える内容をいかに魅力的に伝えるかどうかで生徒の乗り出し具合も全く変わってきますよね。
そうした点でも「文章力」をつける勉強は役に立つのです。
具体的に何をすればよいか
ここまで「文章力」を身につけることの重要性をお伝えしてきましたが、そもそも「文章力」とは何か。ここで定義しておきましょう。
文章の書き手に必要な力の具体的な中身としては、
①語彙力:適切な用語を的確に選び取る力、またその前提知識
②表現力:感情や描写などを的確に読み手にイメージさせる力
③構成力:全体の中で抽象と具体のバランスをとる力
④説得力:文章を通して主張したいことを読み手に「なるほど」と思わせる力
の4点とされています。皆さんがこれまでに出会った小説や新書などを思い出してみてください。
あまり読んだことがないという方は、高校の頃などに教科書で読んだストーリーでも構いません。
皆さんが「この本はいいな」「この本の説明はわかりやすい」「なんと面白くて飽きない本なのだろう」
と思えたような作品は、上記のような4点が備わっていませんでしたか?
筆者は活字大好き人間なので、新聞、新書、小説など様々な文章を毎日読んでいるのですが、振り返ってみると人気が高く、長く売れているような本、新聞ほどこうした4点がずば抜けているように思います。
また、上記の下線部「本」のところを「授業」に置き換えても同じことが言えます。
「この授業はいいな」「この授業の説明はわかりやすい」「なんと面白くて飽きない授業」なのだろう。
そう思えるような説明にも、やはり語彙力、表現力、構成力、説得力は必要になってくるはずです。
それでは、こうした力を身に着けていくために私たちは何から学べるのか。
ここから述べていきます。
本や新聞から学べる2つのこと
それでは、いったいどのように文章力を身につけていくことができるのか。
活字のみで勝負をしている本や新聞から学べることを考えていきます。
①タイトルから学ぶ
まずは、タイトル面から学べることをご紹介します。
塾講師を務めている皆さんは、大学生以上だと思うので、すでに授業で使う教科書など日ごろ本を読む機会は多いですよね。
授業やゼミで使うもの以外にもぜひ興味がある本は大学生の間にたくさん読んでください。
経験上、読んで得はあっても、損はありません。
「お金がかかる」と思う方もいるかもしれませんが、今は図書館などのネットワークが非常に充実しています。
お金をかけなくとも読みたい本が読める環境はきっと皆さんのまわりにあるはずなので、興味がある方はぜひ利用しましょう。
話を戻します。
こうした本などから学べることは、「読み手をいかに惹きつけるか」ということです。
書店に並んでいるヒット作などを眺めるとわかるのですが、面白い本はタイトルのつけ方、まえがき、帯書きなど外面のどれをとっても読者が興味を持ちそうな言葉を並べています。
そして、そのタイトルで惹きつけた期待を裏切らない(もしくは期待以上)内容も備えているため、ヒット作となるわけです。
本屋のランキングコーナーや、おすすめコーナーにある本のタイトルをよく見ることで授業のタイトルづけの勉強にもなりました。
以前、筆者が授業で「バブル景気」を教えたことがあったのですが、
「バブル景気とは何か?」
というタイトルにした時よりも、新書のタイトルなどを参考に、
「タクシー初乗り2Kmで1万円!?バブル景気の謎を追え!」
というタイトルにしたときのほうが、導入段階で生徒が興味深い顔を示してくれました。
本稿を読んで下さっている皆さん、本屋に寄った際には是非この視点を持って見てみてください。
きっと、自分の授業にヒントにできる部分があるはずです。
②コラムに注目
次に、コラムから学べることを考えてみます。
文章力を鍛えるために筆者が最もお勧めしたいのは、新聞の一面にあるコラムです。
新聞の一面の下には、各新聞社ごとに編集委員が毎日コラムを書いています。
このコラムは各新聞社の立場で、社会や政治状況のことについて感想や意見を述べる場となっています。
ある時には政策を歓迎したり、またある時にはそれを憂いたり。
読み比べると新聞社の見方の違いがわかる非常に興味深い部分なのです。
いずれも記者の名前は明かされていませんが、各新聞社を背負って立つような選りすぐりの記者が書いているそうです。
と、ここまでコラムの概要を説明しましたが、筆者が塾講師の皆さんに注目してほしいのは内容よりもその技法です。
コラムには文章を磨くためのヒントがたくさん詰まっているからです。
どういうことか、具体化しましょう。
まず、前提として新聞というのはコラムに限らず決まった枠(字数)の中に、文章を納めなければなりません。
コラムにおいてはだいたい500~600字の範囲が与えられています。
決して多くはないこの範囲の中で、記者は社会状況を軽快に説明し、その上で自ら(新聞社)の意見や感想もスマートに伝えています。
たとえば、選挙によって政権交代が起こった次の日には、「負けに不思議の負けなし。されど勝ちに不思議の勝ちあり」という有名な兵法の引用から入って、大勝利をした政党への疑問を投げかけます。
文章の入りで「おや?これは何について話すのかな?」と読者をワクワクさせ、読み終わった後に「こういうことを言いたかったのか」とすっきりした読後感を与えてくれます。
こうした技法は授業にも参考にできるはずです。
タイトルで惹きつけ、さらに授業の中身の説明でも、「おや?これは何の話だろう?」と生徒に疑問を持たせ、終わった時には「ああ、これはこういうことだったんだな」と思わせたいですよね。
新聞のコラムはこうしたことの具体的な技法へのヒントを毎日与えてくれるわけです。
社会状況を知り、皆さんの教養にもつながるのでぜひ読んでみましょう。
③教訓とできること
ここまで、本や新聞を最大限利用する方法について皆さんに提案してきましたが、逆に何か教訓とできることはないのか。
最後にその点について考えてみましょう。
視点を新聞・そして学術的な本に絞ります。
こうした勉強のための文章を読んでいると、たまに「専門的なことを専門的に話している文章」に出会うことがあります。
たとえば、新聞において、リーマンショックの説明を
「アメリカで住宅バブルが崩壊した後に、大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産。結果としてニューヨーク株式市場は大暴落。今後の経済への影響が懸念される※」
※筆者作成。実在している記事ではありません。
としていた記事に出会った場合、皆さんはこの説明についてどう思いますか?
・「住宅バブル」ってそもそもどんなことが起こっていたの?
・「大手投資銀行」って何?銀行との違いは?
・それが株式市場の大暴落とどう関係あるの?
・経済への影響って具体的にどういうことが起こりうる?
という疑問を抱かないでしょうか?
これはおそらくこうした経済事情に専門的な知識を持っている人が、アメリカ経済について前提知識のない読者を想定していないがゆえに起こるのだと思います。
私たち塾講師においても、常に気を付けなければならないことですよね。
教え手である自分がわかっているゆえに、難しい言葉を難しく伝えてしまう。
しっかりと意識をしていないと、陥りやすい出来事です。
なので、こうした文章を見かけたときには自分への教訓とすることができます。
日ごろから「どうしてこの文章はわかりにくいかな?」と疑問を持ち、自分であったらどう説明するか。
どうすればこの事件について、前提知識がない生徒にもわかりやすく伝えられるだろうか?と考察を重ねることができるのです。
こうした日ごろの積み重ねは、きっと皆さんに大きな成果を与えてくれるはずです。
まとめ
ここまで、本や新聞から文章力をつけるために学べることは何か。
そして、その学んだことをどう授業にも活かすことができるのかについてお伝えしてきました。
最初に述べた「文章力」の4点
①語彙力:適切な用語を的確に選び取る力、またその前提知識
②表現力:感情や描写などを的確に読み手にイメージさせる力
③構成力:全体の中で抽象と具体のバランスをとる力
④説得力:文章を通して主張したいことを読み手に「なるほど」と思わせる力
は、本稿で伝えような3ポイントを意識しながら勉強すれば、きっと皆さんの語彙力、表現力、構成力、説得力の下地になるはずです。
塾講師ではこうしたことを学び、かつ実践ができる。その点を最大限利用できる方法を皆さんと一緒に考えたいと思い、提案いたしました。
長くなりましたが本稿は以上です。ここまでお読み下さりありがとうございました!
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