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【徹底比較】学校教員と塾講師、選ぶならどっち?

2021/12/17

教員と塾講師の働き方、違いはちゃんと分かりますか?

皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田一輝です。

現在塾講師をされている皆様は、多かれ少なかれ教育に興味をお持ちかと思います。
そして中には「塾で働くのが大好き!」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、大学3,4年になると、就職活動を行う中で

・塾業界はブラックだからやめておいたほうがいい。
・塾はこれから少子高齢化で安定しないよ。公立教員のほうがいいんじゃない?

などと色々な方からアドバイスされ、塾業界から離れる…という方がとても多いのです。
そこで、この記事では“学校と塾の徹底比較!”を行っていきたいと思います
これらの噂が果たして本当なのか、一緒に確認していきましょう!

そもそも教育業界にはどのような企業があるの?

教育業界、と一言で表してみても、その領域は様々です。
例えば対象者を考えてみても
生後間もない子供:保育園(公教育・私教育)
幼稚園児~高校生:幼稚園・小中学校・高等学校(公教育)塾・予備校(私教育)
大学生~社会人:大学・大学院(公教育・私教育)資格予備校・英会話学校(私教育)
社会人:カルチャースクール(私教育)

といったように、実に幅広く展開されています。

矢野経済研究所によると、全体の市場規模は2兆5253億円と膨大です。
(これは新聞業界や、化粧品業界と同程度です)
そのうち、学習塾が9400億円、資格予備校が1900億円、英会話学校が3100億円、通信教育が2500億円程度と推計されています。
いかに学習塾が大きなウエイトを占めているのかが分かりますね
 

出典:https://www.yano.co.jp/press/pdf/1449.pdf

その中で、今回は多くの塾講師が検討するであろう、
学校教員
塾業界(予備校講師を除く)を徹底比較を行っていきたいと思います!
※本記事では主に公立教員の話を中心に行います。それは、私立教員自体の割合が少ないことに加え、労働環境や給与が、学校法人によりかなり異なるためです。

学校教員

職種の概要

言わずと知れた、教育現場の最前線に立つ仕事。
教育を行う人、と聞かれたら、誰もが真っ先に教員を思い浮かぶのではないでしょうか。
教員の仕事は多岐にわたり、授業はもちろんのこと、小学校なら給食やPTAとの対応、遠足のルート作成なども行います。
中高生なら部活動の顧問に加え、進路指導も行わなければなりません。

平均年収・年齢・勤続年数

意外かもしれませんが、教員の平均年収は337.4万円
これは、正規雇用以外で働く臨時教員が多いことが原因です。
古いデータで恐縮ですが、H23において約16%が非正規講師でした。
現在では更に増え、20%近くにのぼると言われています。

 
出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/084/shiryo/
__icsFiles/afieldfile/2012/06/28/1322908_2.pdf

とはいえ、正規雇用になれば安定した昇給が確保されています
小学校教員の場合、平均年収は693万円。50歳になれば800万円程度になると言われています。
勤続年数は約14年程度で、安定して働くにはとても良い環境と言えるでしょう。
参考:
http://next.rikunabi.com/journal/entry/20160129_S1
http://heikinnenshu.jp/other/teach.html

良い点と悪い点

公立教員は安定した環境のもと、教育のプロフェッショナルとして人生を送ることになります。
営業活動等はしなくて良いため、ひたすら生徒のためを思って動くことが出来ます
また他の仕事と異なり、学年を持つと数年間、ほぼ毎日同じ生徒たちと向き合うことになります
その中で毎日成長していく生徒を見守る楽しさは、他の働き方では得られないやりがいに繋がるでしょう。

しかし、教職調整額制度により、給料月額の4%だけが残業手当を支給しない代わりに渡されるのみで、実際の労働時間はかなり長いと言われています
文部科学省初等中等教育局によると、日本の教員の1週間当たりの勤務時間は世界最長(週あたりの労働時間は日本53.9時間 、平均38.3時間)。
特に教頭・副校長は約63時間残業していると考えられており、実際には過労死ラインの月80時間を超えることもあるそうです。
近年は教員に対する要望も増える一方のため、残業時間が増えても、減る可能性は少ないといえます。この点について、納得できるか…が重要でしょう。
また、生徒を選べないため、モンスターペアレンツや問題のある生徒と向き合う必要があります。
学校の教員になる方の多くは、学校が好きな方です。
しかし、実際の業務は不登校や問題・障碍児など、学校に通うことが難しい生徒の対応で多くの時間が割かれることになります。
この点についても、理想と現実とのギャップに屈しない、強い心が必要です。

実際の声
・子どもたちの成長を間近で見られること、また、その成長の喜びを分かち合えること。
・ある程度は自分で教材等を考えて仕事ができる。放課後は職員室で子どもの話や雑談をしながら、色々な仕事ができて楽しい。
・色々な感動が多い。涙もろい人(私もそうですが)は注意が必要。子どもは素で泣けることをしてくるから困る。
午前7時から出勤して、退勤するには平均して午後8時半〜9時。忙しい評価の時期になると夜の11時を超えるのは普通、帰って次の日の準備。時間外労働は時期にもよるが月120時間くらい。一応出退表はあるが、月の時間外労働が100時間を超えると精神科に行けと言われるから、書類上は残業時間は70時間としている。だって、そんなことで休日が潰れたら仕事ができないから。
授業準備は勤務時間には到底不可能。朝か夜に睡眠時間を削って行う。
これって必要?と思う書類・業務が多い。休日でも地域のお祭りの仕事や、市の取り組みに使われることがある。もちろん、手当てはない。

引用http://honne.biz/job/q1010/

 

塾講師

職種の概要

読者のほとんどの方が勤務されているであろう、塾業界。
講師としての仕事の他、事務を担当したり、エリアフランチャイズの責任者を行ったりと、仕事の幅はとても広いのが特徴です
詳細については、以下の記事をご覧ください。


【個別指導or集団指導?】講師業アルバイト徹底比較!
http://www.juku.st/info/entry/1162

塾業界レポートvol.4「就活と塾業界」
http://www.juku.st/info/entry/1744

平均年収・年齢・勤続年数

塾講師の平均年収は373万、平均年齢は35.5歳、勤続年数は7.3年となります。
この数値は決して悪いものではありませんが、公立教員と比べると見劣りするのも事実です。
特に勤続年数は教員の半分以下であり、離職率は高いといえるでしょう。
参考:http://nensyu-labo.com/syokugyou_jyuku_kousi.htm

良い点と悪い点

塾講師の良い点は、多数ある企業の中から、自分の意志で勤め先を選ぶことが出来る!という点でしょう。
自分の考えに合った企業を選ぶことが出来るのは、ランダムに移動がある公立教員よりも働きやすい環境と言えます。
例えば、熱血系でどんな生徒でも中堅校に受からせる指導をする塾と、とにかく高い合格実績を追い求める塾では、来るお客さま(生徒)は全く違います。
自分が教えたい生徒を集め、そこに向かって指導が出来るのは塾ならではですね

また、公立教員に比べ、指導の自由裁量の幅が大きいこともメリットです。
教員にとって、授業は“数多くある業務のうちの1つ”であるのに対し、塾講師にとって授業は“サービス(=お金をいただく理由)”です。
そのため、高クオリティを求められる反面、生徒の成績を上げられれば、自分の好きな方法で授業を組み立てることが許される企業が多いです

しかし、業界としてまだまだ未成熟な面もあり、中には労働環境が整備されていない企業もあります。
業界内競争も激化しており、これからは潰れる塾ブランドも増えていくでしょう
そして収益構造上、どうしても労働集約的になるので、講師として働くだけでは、あまり給与が上がらない…という欠点もあります。
給与は上げたい、でも現場を離れたくない…という方にとっては、ジレンマになるかもしれません
加えて夜型の生活になったり、休日が出勤日になることは覚悟しておかなければなりません。

実際の声(どこかから引用する)
・人生の大きな節目に向けて努力を一緒にすることで、生徒と共に講師も成長できる。
・生徒の伸びが成績の数字で明らかになったり、勉強だけでなく学校・家族の悩みを話し合ったりする中で、生徒や保護者の方との信頼関係を築けると、とてもやりがいを感じる。
・平社員でしたが、教えることだけでなく、教材作りや宣伝広告、経理なども携わる機会があったので、どれも打ち込むと楽しかった。

引用:http://honne.biz/job/q1170/

生徒を集めるのも正社員の仕事で、体験授業と面談はとくに重要です。生徒が集まらなければ、学校前だけでなく、住宅へのチラシ配布も社員が行っているところがあったりします。
こうした仕事をこなすためには、仕事を家に持ち帰ったり、休日に仕事をしたりすることになります。睡眠時間を削ることも多々ありました。(…中略…)以上、塾講師の仕事の実態を見てきました。ただ、他の仕事は楽かというと、そんなこともありません。正社員として働くということは、大なり小なり厳しさをともなうものだと思うのです。仕事の実態をきちんと把握したうえで、それでもその仕事が好きで、長く続けられそうな就職先を選ぶのがいいと思います。

引用:http://d.hatena.ne.jp/rakkochan+jikopr/20130921/p1

まとめ 塾業界だって悪くない!

さて、ここまで公立教員と塾講師を比較してきました。
一見すると似た仕事をしているように見えますが、その目的も、求められるスキルや内容、そして働き方も全く異なることが、ご理解いただけたのではないでしょうか

ですから、冒頭に申し上げた

塾業界はブラックだから辞めておいたほうがいい。
塾はこれから少子高齢化で安定しないよ。公立教員のほうがいいんじゃない?

については、必ずしも正しいとは言えません。
いずれも“その人の価値観による”ということがご理解ください。
他にも、公教育と私教育なら、公教育が良い(正しい)!と一方的に主張したり、塾講師の定年は35歳!と勝手に決めつけている記事が散見されます。
確かに昔はそうだったのかもしれませんが、現在は違います。

自分がどのような仕事をしたいのか、どのようなキャリアを歩んでいきたいのか。
よく自己分析をして、将来を決めるようにしましょう。
本記事が、その一助になれば幸いです。

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