講師のキャリアについてちょっと考えてみませんか?
みなさん、こんにちは。国語科・小論文科の光武です。
長く講師生活を続けていると、後輩の講師から
「講師として生きていくには何をすればいいんですかね?」
なんて質問を受けることが増えてくるものです。年を取ったなと痛感する瞬間でもありますが、改めて考えてみると、講師としてのキャリア形成ってお手本になる存在が見えにくいものですよね。先輩に聞こうにも、意外と答えが見えないものです。
そこで今回は講師のキャリアについて僕なりの視点でまとめてみようと思います。
目次
・そもそもキャリア形成とは?
・ゴールを設定する
・20年後に向けて身に付けてほしい3つのこと
・さいごに
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そもそもキャリア形成とは?
そもそも個人事業主という雇用形態が主流の塾・予備校講師にとって自分のキャリアについて見通しを立てることは少ないものです。なぜなら、講師にとって目の前の生徒の合格に自分のリソースの大半を注いでしまうため、自分の人生について長期的な視野を持つことが少ないからです。
そこで重要となってくるのが、「キャリア形成」という視点です。
「キャリア」とはなんでしょうか?
厚生労働省が出した報告書によると、『職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念』と定義されています。なんとなく「キャリア」=「仕事」のように大雑把にとらえるのではなく、時間的な幅を持った継続的なプロセスととらえなければいけないようですね。
この視点を踏まえてみると、「キャリア形成」とは、自分の人生のゴール(なりたい自分)を設定し、そのために今、何をするべきなのか計画立てることに他なりません。どの時期にどんなスキルを身に付けておくことが大切なのか、どんな経験を持っていれば自己実現が可能なのかをしっかり考えて行動することが重要となってくるわけです。
では、塾・予備校講師にとって20~30代ってどんなことをするのがいいのでしょう?そのあたりをこれから一緒に掘り下げてみましょう。
ゴールを設定する
どんな計画もそうですが、まずゴールを明確にしなければ途中過程で何をすればいいのかが決められません。
ここで一つ質問です。皆さんはどんな講師になりたいと考えていますか?
一昔前であれば、人気講師になって一攫千金!!!なんてことがまことしやかに語られたものですが、少子化が進む中、なかなかその道を進みたいという人も少ないと思います。実は、多くの方が「教えることが好きだから」と仕事の面白さを答えるようです。
かくいう私もまさにその通りで、今は自分で起業したり、ベンチャー企業にジョインしていろいろなプロジェクトに参画しているのですが、やっぱり講師の仕事は面白いのでどうしても講師の仕事を一部残し、細々と続けているんです。
その理由は明確で、学び手の成長を目の当たりにする瞬間は何にも代えがたいやりがいを感じるからです。そうした能力を開花させた瞬間に立ち会えることがこの仕事の本質であるように思います。
そこで、今回のゴールは「20年後も講師として活躍していける人材」と考えてみましょう。教育業界は縮小しているとはいえ、需要がなくなることはありません。コロナが蔓延する中でも塾・予備校に通いたいと望む学生がいたことからわかるように、業界としてはシュリンクしていくかもしれませんが、優秀な講師の需要は残り続けるのです。
20年後に向けて身に付けてほしい3つのこと
社会常識
私がこの業界に身を置いて痛切に感じたことが、業界全体の狭さです。業界全体が狭く顔見知りの状態で働くことになるので、ちょっとした噂がすぐに広まる傾向にあります。もちろんいい評判であればいいのですが、
「あの先生は仕事が遅い」
「締め切りを守らない」
「営業成績が悪く、生徒評価もイマイチ」
こうした悪評もまたすぐに広がってしまうものです。
このような環境で大切なことは、社会人としての常識を身に付けることです。
社会常識を身に付けないことが講師としてのアイデンティティであるという時代はとうの昔になりました。僕の世代であれば、集客力のある講師の意見が強く反映され、経営や人事に口を出すこともありましたが、今はかつてと状況が異なります。人材不足とは言われるものの、少子化の影響もあり講師は過剰な人材として整理の対象となっているのです。だからこそしっかりと社会常識を身に付けることで、講師としてのキャリアを積み重ねることが出来るようになります。
「そんなこと当たり前だ」と仰る方が多いことも事実です。その一方で、報連相が出来ない、締め切りが守れない、指定教材を使わずオリジナルプリントで講義をする、所属する組織の批判を行うなど、当たり前のことが出来ない方も一定数いるのです。
まず社会人としての自覚を持ち、当たり前のことをできるようにする。それだけで、所属する塾・予備校からの評価は大きく変わってくるものです。
指導科目のユーティリティ
次に指導科目についてです。これは指導学年などによっても変わってくる部分があるかと思いますが、大切なことは指導可能な科目を増やしていくことです。そのための教材研究に時間を使うことはとても大切です。
なぜ指導科目が多い方がいいのか。専門性を追求することが大切なのではないか。
このような疑問が浮かぶのは当然です。もちろんあえて指導科目を絞り、徹底的に専門性を追求することで自分のブランドを確立する方法もあるでしょう。
ただ忘れてはいけないのが、進み続ける少子化です。
この影響で毎年受験生は減り続けています。その結果、講師間の競争は年を追うごとに激化しており、前年度比でプラスにすることの難しさを皆さんは実感しているのではないでしょうか。
この厳しい環境は講師だけにのしかかっているわけではありません。運営サイドもまた経営に苦戦しています。
そこで視点をちょっとだけズラして運営サイドの立場に立って考えてみましょう。
人材採用にかかるコストという観点から考えてみると、英語と数学の講師を二人採用するより、英語・数学両方指導可能な講師一人採用する方がコストの面で楽だという視点が見えてきます。
もちろん採用は単純に割り切れるものではないでしょうが、明らかに指導科目に関してユーティリティを持たせることが経営サイドから見たときに有効に働くという視点は忘れないようにしてほしいです。
少子化の時代だからこそ、一人で何役もこなすユーティリティを求める塾・予備校は増加しています。競争が激化していく中で生き残っていくためには、指導科目の幅を広げ、運営サイドにとってコストパフォーマンスの高い人材を目指すことが大切なのではないでしょうか。
ITスキル
教育業界自体はシュリンクしているかもしれませんが、コロナ禍をきっかけにして飛躍的に成長した分野もあります。
それはICT教育分野です。
売り上げの面で塾・予備校はその業績を落とし続けている一方で、アプリ開発・Webや映像コンテンツの制作に対する投資は過熱し続けているのです。
今後教育に対する投資は継続するものと予想されます。ですが、この流れに対応することが出来ない講師が多いのもまた事実です。業界自体が非常に狭く、特殊なスキルで成立しているため、他の業務に対する応用が難しい点が理由として考えられます。
ですが、自分の経験と成長産業が隣接しているにもかかわらず、その知見を活かすことが出来ないのは非常に勿体ないと私は思います。少しアプリ開発の知見を持つだけで、コンテンツ開発の仕事に携わることが出来るにもかかわらず、それを行わない講師が非常に多い。私はこの状況を心から残念に思います。今20代、30代の皆さんは是非挑戦してみてもいいのではないでしょうか。
さいごに
いかがだったでしょうか。
少し説教臭くなってしまった部分もありますが、「20年後も講師として活躍していける人材」という視点から、20代、30代の皆さんに是非取り組んでほしいことをまとめてみました。参考にしてもらえたら何よりです。
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