「指導力」の正体
こんにちは!塾講師歴はや33年、お婆ちゃんの知恵袋的な小話が得意なプロ講師の平山(♀)です。
本日は、ご家庭が塾選びの際に必ずと言って良いほど検討する項目の一つに入る「講師の指導力」について、どういった要素を実現すれば「指導力のある講師」として評価してもらえるのか、について、これからベテランを目指す若手の皆様にお話ししたいと思います。
目次
・指導力=指して導く力
・「解説」は「指導」ではない
・「自力での課題解決を促し、自力で目標達成できるよう仕向ける」ことが「指導」
・塾講師は職人である
・おわりに
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指導力=指して導く力
指導力とは、その言葉通り「指して導く力」のことを言います。
「指す」とは、ここでは「学習における目標」です。通常は、生徒さんや保護者の方との面談から聞き出したご希望の成績や進路をそのまま目標とすることが妥当かつ現実的かどうか、といった観点からアドバイスをしつつ、極力原型に近い形で目標として据えることです。
「導く」とは、ここでは「相談の上据えた目標に到達するには、いつまでに何を行えば良いかを経験から逆算し、一つ一つの作業のやり方を提示しながら生徒と二人三脚で進んで行くことです。
「解説」は「指導」ではない
「指導」には、実は一つ一つの問題の解法の提示は入っていません。
一つ一つの問題の解法の提示は「解説」と言い、ときにはどの参考書を調べても載っていない事柄について、それを知らなければ次の作業に進めないけれど、生徒自身に調べてもらうには時間の制約があって間に合わない(例えばテスト前日など)場合に応急処置として行うことはありますが、解説が授業時間の大半を占めるという構図は「指導」から外れてしまっているように私は常々感じて来ました。
それはなぜでしょうか?
「解説」では問題解決力は身につかない
実は「解説」では問題解決した人の体験談を聞いているだけで、自分の問題解決力を身につけることは出来ません。
なぜなら、思考回路というものは、どの教科でも自分で試行錯誤して答えにたどり着いた時に初めてその事柄に対する回路が開通するからで、「アハ体験」と言われるものと共通している脳の仕組みです。
しかし、学習における据えた目標から逆算してのやるべきそれぞれの作業で共通しているものは、「その学習項目を自力で解けるようになる」ことですね。
だとすると、必要なことが自ずと見えて来たではありませんか!
「自力での課題解決を促し、自力で目標達成できるよう仕向ける」ことが「指導」
目標に到達するために自力で解く力を生徒につけてもらうために、講師は一つ一つの作業に対して細かくそのやり方を示し、習得してもらうように工夫しなくてはなりません。
その際、ただ口で「自分で考えてやりなさい」というだけでは何のためにお金を払って塾に習いに来ているのかわからなくなってしまいますので、講師が自身の経験や指導して来た中で発見した「これは良い!」というやり方を例示して真似をしてもらう、というのが最もシンプルでわかりやすいと思います。
例えば、
- 楽な暗記のやり方(全教科共通)
- 知らない単語が含まれていても文意が読み取れる英語長文の読み方
- 問題演習の繰り返しでは決して上がらない現代文の成績の上げ方
- 寝ながら出来るリスニング対策
- 絶対に成績アップする数学のノートの作り方
などなど、難しい学問上の知識提供ではなく、「小学生にでも真似が出来る簡単な工夫で楽しく学習して成果を出す」ものであることがお分かりいただけると思います。
私は、これらの知恵を提供して上げることが、本当の意味での「指導」だと考えて実践して来ました。
はじめの1〜2回は解説がないことに戸惑う生徒がゼロではないですが、入塾後間も無く生徒の表情が変わって、明るい表情で楽しそうに「今日はどんな工夫の話が聞けるのかな」と通って来てくれるようになり、それの伴って必ず成績も上がって来ます。
ですから、特に勉強においては、「仕向ける=楽しく行うコツを伝授する」ということなのではないでしょうか。
塾講師は職人である
そういう意味では、教室で工夫の仕方を実演して見せたり、自分が磨き上げて来た勉強の技術を弟子に伝授する仕事なので、塾講師は職人であると言っても過言ではないでしょう。
自分が発見・開拓し、磨き上げて来た勉強の技術を誰かに共有することで、その誰かが勉強に成果を出した時、それは真の優れた技術であると認定されたことになり、また一歩、熟練の職人へと踏み進めて行くのです。
したがって、指導技術の話からは少しずれるかもしれませんが、塾講師とはただ教えてお金をもらうだけの単調な仕事ではなく、生徒とともに自分をも毎度成長させ、仕事の成果を毎回目の前で確認することが出来る、喜びと充実感が満載のとても素晴らしい職種である、ということはこの場を借りて声を大にしてお伝えしたいと思います。
おわりに
指導技術についてお伝えしたいことをもう一度簡潔に述べて、本日のお話は終わりにしたいと思います。
- 指導や「解説」ではない
- 勉強のエキスパートとしての職人技を伝授することが指導である
- 最終的には生徒本人に伝授したことを実践してもらう必要がある
ご静聴(読)ありがとうございました!
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