今回は世界史でも有名な大航海時代について紹介します。大航海時代といえば、「ヴァスコ=ダ=ガマがインド西岸のカリカットに到着して…」とかそういう類の話です。
理解できてると感じている人が多いかもしれませんが、皆さんは正確に、大航海時代が後世に及ぼした影響を生徒さんに説明できるでしょうか?意外と難しいのではないかと思います。
今回は歴史の大きな流れの中で大航海時代がどのような意義を有していたか、について2点にまとめて紹介します。
大航海時代って何?
大航海時代は、ヨーロッパ人による探検・航海の時代のことです。例えば以下のような人物が有名です。
・バルトロメウ=ディアス…アフリカ南端喜望峰到達
・ヴァスコ=ダ=ガマ…インド西岸のカリカットに到達
・コロンブス…カリブ海のサンサルバドル島に到達。その後アメリカを「発見」
(※「発見」というのはあくまでヨーロッパの人々にとってであり、大航海以前から当然存在しているので一種ヨーロッパ中心主義的考えが表れています。)
・マゼラン…スペインを出発し、世界を一周してスペインに帰還
(※正確にはマゼラン自身はフィリピンで戦死し、彼の部下が帰還しています。)
といったところになります。ヨーロッパ人がこうして世界の様々な場所に進出し貿易に参入してくるのが大航海時代です。
大航海時代の意義① -商業革命-
一つ目の意義は商業革命です。これは中世のころ繁栄を極めた東方貿易から三角貿易やアジアとの貿易への転換と言えます。図で表すと下図のようになります。
従来はイスラーム世界の仲介によって香辛料貿易が行われていました。
主にイスラーム商人は地中海から来るので、地中海に面したイタリアの諸都市が繁栄していました。
しかし、大航海時代になり自力でヨーロッパ諸国がアジア・アメリカに到達できるようになると、イスラームの仲介の必要性は無くなり外海に直接出ることが可能な大西洋沿岸のほうが地理的に利点が大きくなります。
こうした貿易方法の変化に伴い、ヨーロッパ内での貿易中心地も大西洋沿岸に移ります。以上が商業革命です。
大航海時代の意義② -西欧・東欧の分業体制の確立-
2つ目は西欧と東欧での分業体制の確立です。
先ほどの商業革命の箇所で紹介した通り、貿易の中心地は大西洋沿岸(特にヨーロッパ北西部)に移動しました。
すると商業資本が発達します。商業資本とは「産業資本が生産した商品資本の流通を媒介すること自体を商品とすることにより、利潤を得る資本」です。
一方東欧は貿易の中心地から外れることになります。
そこで東欧は穀物や原材料の供給地としての意義を強めていきます。
だからこそ、この時代グーツヘルシャフトと呼ばれる農奴制が強化されるのです。(少し先の時代の教科書を読んでいれば、プロイセンにユンカーと呼ばれる地主貴族がいたり、ロシアでも農奴解放の話題が出てくることが想起されるでしょう)