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高校・大学入試指導で使える整数問題② -約数の数と素因数分解-

中学生

2021/12/17

同じ整数問題の記事に関しては指導で使える整数問題① -問題文の条件を式で表す!-がありますので、ぜひそちらも参考にしてください。今回は主に素因数分解の整数問題における重要性についてです。

問題:n³/135とn⁴/80が共に整数となるような最小の自然数nを求めなさい

これは東大寺学園高校の入試問題です。

今回の問題には素因数分解が絡んできます。素因数分解って何?という人もまずはこの問題を8分考えてみてください。

解答

135=3³×5 ,80=2⁴×5の分母はそれぞれ素因数分解されるので、それぞれの分子がそれぞれの分母の素因数をもてばよい。

n³/135の場合、分子はn³なのでnが素因数3を1つもてば、n³は素因数3を3つ持つ。従って、整数になるためにはnは3×5=15の倍数であればよい。

n⁴/80の場合、分子はn⁴なのでnが素因数2を1つもてば、は素因数2を4つもつ。従って、整数になるためにはnは2×5=10の倍数であればよい。

以上をまとめると、10と15の最小公倍数である30が求める答えである。

この問題では、3³とn³,2⁴とn⁴という風に分母の素因数分解の指数と分子の指数が一致していましたが、例えば次のような場合はどうなるのでしょうか?

類題:n⁴/135とn³/80がともに整数となるような最小の自然数nを求めなさい

分子をただひっくり返しただけですが・・・

解答

n⁴/135の場合、分子はnの4乗なので、nが素因数3を1つもてばnの4乗は素因数3を4つもつ。従って、整数になるためにはnは3×5=15の倍数であればよい。

n³/80の場合、分子はnの3乗なので、nが素因数2を1つもてばnの3乗は素因数2を3つもつ。従って、nの4乗が素因数2を4つ、素因数5を1つもつためにはnは4×5=20の倍数であればよい。

以上をまとめると、15と20の最小公倍数である60が求める答えである。

135,80の素因数分解の部分等重複している部分は省略しました。nが素因数2を1つしか持たないとき、nの3乗は素因数2を3つしか持たず、分母の80は素因数2を4つ持つことから不適である。その結果、nは4の倍数であるという条件が前問に比べて追加されています。

このように問題文を少し変えて解いてみると、自分が本当に理解できているかどうかが分かるので、ぜひやってみてください。次の問題に進みたいと思います。

問題:8個の約数をもつ最も小さい正の整数を求めなさい。

これは筑波大付属高校の入試問題です。ある整数を素因数分解すれば素因数分解の形から約数の個数が求められますが、今回は約数の個数が先に決まっています。完答するには意外と手間がかかります。今回の制限時間は15分です。ヒントを少し下に載せておくので見たくない人は見らずに解いてください。

ヒント:もっとも小さいということは最も小さい素因数2を使いそうですね。ですが使いすぎると・・・

解答

素因数の個数で場合分けをする。

①素因数が1つの場合、最も小さい素因数2で構成される整数は2⁷

 2⁷の約数の個数は(7+1)=8個である。2⁷=128である。

②素因数が2つの場合、の形になる。このとき、約数の個数は(b+1)(d+1)個になる。(3+1)(1+1) = 8 より、指数は3,1と決まる。このうち、最も小さい数は素因数2,3を用いて 2³×3=24である。

③素因数が3つの場合、の形になる。このとき、約数の個数は(b+1)(d+1)(f+1)個と表される。(1+1)(1+1)(1+1)=8より、指数は全て1である。このとき、2×3×5=30 である。

素因数が4つ以上の場合、約数の個数は8個より多くなるので考えなくてよい。

①~③をまとめると、24が答えとなる。

少し寄り道

 さて、何気なく書かれた解答の中に数学と算数の違いがわかる一文があります。それは・・・

「素因数が4つ以上の場合、約数の個数は8個より多くなるので考えなくてよい。」

この一文によって、素因数が1から3個の時まで調べるだけで十分だということが説明され、実際に1~3個の時で調べた時の最小の数が求める答えという事が分かります。小学校までの算数では過程はどうであれ、答えが合っていれば正解という傾向にありましたが、中学校からの数学ではどうしてそのような答えになるのかという過程も説明しなければいけません。中2で習う合同や、中3で習う相似の証明問題、文字を使った説明問題はその典型例です。「~の部分が合同条件、相似条件を満たしているので~」が説明にあたります。

解答が答えのみの記入であれば問題ないのですが、難関高校の問題や、大学の入試試験(主に2次試験)では概して記述式の問題が多く出題されるので、今のうちから説明する能力を養うことはとても大事です。

さて、この一文がなぜ成り立つのかわからない人のために説明を加えるならば、

「素因数が4つある数は素因数を含むかどうかで2通りあり2の4乗が16であることから、少なくとも16個の約数をもつので」と付け加えてもいいかもしれませんね。

この問題のポイント

話が逸れてしまっていたので本題に戻りましょう。この問題から分かるように、約数の個数が決まっていて、その中で最小の数を求めるためにはしらみつぶしで探すしか方法がないことが分かりました。数え上げの問題でも同じようなことが起こりますよね。答えをしらみつぶしでも探すことができる力も必要ですが、出てきた答えがどうして正しいのかを説明できるようになれるとさらに数学の点数は伸びます。

それでは今度も類題を解いてみましょう。

問題:10個の約数をもつ最も小さい正の整数を求めなさい。

約数の個数が増えましたが、難しくなったのでしょうか?簡単になったのでしょうか??

やり方は基本的に同じなので制限時間8分で解いてみましょう。

解答

①素因数が1つの場合、最も小さい素因数2で構成される整数は2⁹。

実際、の約数の個数は(9+1)=10個である。である。

②素因数が2つの場合の形になる。(4+1)(1+1) = 10 より、指数は4,1と決まる。このうち、最も小さい数は2⁴×3である。

③素因数が3つの場合、の形になる。10=2×5より、2以上の3整数の積が10となることはない。同様にして、素因数が4つ以上の場合、約数の個数は10個にならないので考えなくてよい。

①~③より、48が答えとなる。

説明、という点でポイントは③です。③で素因数が3つ以上のことは考えなくてよいということを述べるわけです。これがきちんと説明できれば素因数が1つのときと2つのときをしらみつぶしに探せばよいことが分かります。

こうした約数の数と素因数分解に関係する問題は多いので、ぜひ生徒さんにも解けるように指導してあげてください!


 

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