音と音の伝わり方
普段私たちが聞いている音。それは音を発する物体、音源が振動し、それに応じて空気が振動して私たちの耳に伝わります。
このように振動が次々に伝わっていく現象のことを波といいます。
音の速さは約340m/s (340メートル毎秒と読みます)です。この音の速さは気温や気圧によって変わります。実際、南極では遅くなり、砂漠では速くなります。生徒に教えるときもこのように具体的な話を盛り込んだほうが実感をもたせることができます。また、音の速さをマッハ1と呼びます。音速の2倍であればマッハ2、音速の3倍であればマッハ3となります。
さて、音の速さとよく比べられるのが光の速さです。光の速さは秒速30万kmです。数字の大きさ、単位がkmとmと違うことからとても速いことが分かりますが・・・もっと分かりやすい説明があります。それは
「光は1秒間で地球を7周半する!」です。
地球1周は約4万kmですので、7周半は約30万km で計算は合いますね。
プールで泳いでいても外の音が聞こえるように、また、糸電話で紐を通して音声が伝わるように音は固体中や水中でも伝わります。固体の粒子、水の粒子が振動することによって音が伝わるからです。音の速さは気体中、液体中、固体中の順で大きくなります。
水中でも音が通るのを利用して、音響測深というのがあります。船の底から音をだし、海底から反射して戻ってくるまでに何秒かかるかを計り、水深を測るというものです。このような話も出してみるのもいいですね。
真空の場合の音の説明
音の問題でよくある問題は「音源の周りを真空にするとどうなるか?」です。
問題集に載っている答えには「音が小さくなる」のほうが多いので「聞こえない」ではダメな理由をいくつか紹介しておきます。
①真空容器は固体なので、容器に当たれば固体を通して少し音が漏れるから
これは容器に音源が当たる場合(発砲ポリスチレン球が飛び跳ねる時など)に有効な説明です。
②真空は空気がほとんどないことを表すので、わずかな空気が音を伝えるから
実際、真空という言葉を調べてみると、圧力が大気圧より低い空間状態のこと と書いてあります。
空気がない=圧力が0 ということで、圧力0はありえないから、と説明するのもいいかもしれません。少し説明が長くなってしまいますが。
共鳴
音といえばあとは共鳴ですね。共鳴とは音源が自分の出す音と同じ高さの音を受けると振動を始めることを指します。音さの共鳴などを実演、または映像で見せることなどが考えられます。
共鳴は共振という事もあります。振動することによって音はなるわけですから、本質を捉えるならば共振という言い方が適切かもしれません。ただ、教科書などには共鳴と書かれていることが多いので、共振は軽く触れるだけにしておくべきでしょう。
音の大きさと高さ
音は振動によって発生しています。
音には 高さ と 大きさ があり、振動には 振動数 と 振幅 があり、それぞれ対応しています。
つまり、音の高さを決めるのは振動数であり、音の大きさを決めるのは振幅です。
- 高い音ー振動数が大きい
- 低い音ー振動数が小さい
- 大きい音ー振幅が大きい
- 小さい音ー振幅が小さい
となります。
振動数とは、音源が1秒間に振動する回数です。単位はHz,ヘルツと読みます。人の耳に聞こえる音は20~20000ヘルツであり、これより大きい振動数のことを超音波といいます。イルカやコウモリが発するものですね。実は超音波は数中では非常に遠くまで届くので、イルカは超音波の声を出して、自分の存在を仲間に知らせます。また、音響測深や魚群探知にも超音波が利用されます。
弦の振動
弦の振動では右図のようなモノコードがよく用いられます。
高い音が出る時、すなわち振動数が大きいのは
- 弦の長さが短いとき
- 弦が細いとき
- 弦を強く張るとき
となります。ここで縄跳びで具体例に考えてみましょう。普通に一人で縄跳びするときと長縄跳びをするときを比べた時、長いほうが縄を回すのが大変ですよね?また、長縄のほうが太く、回しにくいですよね?つまり、短い縄、細い縄のほうが振動させやすい、つまり、振動数が大きくなるのです!したがって、弦の長さが短く、細いほうが振動数が大きくなり、高い音が出ます。
また、弦を強く張ったほうが、はじいたあとすぐに元の場所に戻ってきますよね?つまり、振動数が大きくなるのです!したがって、弦を強く張るとき、振動数が大きくなり、高い音が出ます。
モノコードの場合、弦の長さは「ことじの位置」によって決まり、弦の張る強さは「弦の端に吊り下げるおもりの重さ」によって決まるので、同じことであることを説明しておきましょう。
このように、振動数を変える方法はいくつもあります。
一方で、大きい音が出る時、すなわち振幅が大きいのは
弦をはじく強さが強いとき
の場合のみです。音の大きさと音の高さの違いをはっきりさせて説明しましょう。
オシロスコープ
音の波形を見る方法としてオシロスコープを用いる方法があります。
音の波形でよく間違えるポイントは
山の高さが高いほど振動数が大きい
と勘違いすることです。正しくは
山の高さが高いほど振幅が大きい
です。山の高さが高い を 谷の深さが深い と説明しても同じことです。
では振動数はどうやって決まるのか。答えは「1秒間当たりの山の数が多ければ多いほど、振動数が大きい」です。山が多いということは何回も振動した形跡がオシロスコープに写っているんだよ、などと説明してみるのもいいかもしれませんね。
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