【必読】進路アドバイザー達に学ぶ、保護者対応で重要な3つのこと
塾講師が心に留めておくべき大前提
塾講師は主に、"教える”ことが仕事です。
しかし今、それ以上に講師に求められている大きな資質…
それは「コミュニケーション力」です。
講師とは、生徒に対して個別もしくは集団形式で"授業”を行うことがお仕事です。講師としての理想は、保護者に理解を得ている状態で、授業の質向上や生徒のモチベーションアップに集中したいところです。しかし、本来味方であるはずの親がモンスターペアレントとなり、現在講師たちの悩みの種となっているという話をよく耳にします。
両親が教師である筆者は、そういった(愚痴に近い)話をよく聞かされていました。
しかし、どうしても
「あの件について許可をとっておかないとマズい!」
「来週は三者面談で、進路アドバイスをしないといけない、無茶を言われたらどうしよう。」
という場合、どうすれば良いでしょうか?
今回は、某教育系大手企業で保護者向けに進路アドバイザーを担当していた私(年間4,500件のご家庭とやりとりしていた)から、私自身の経験と同企業の営業マンが大切にしていたノウハウを公開したいと思います!
改めて「 コミュニケーション力が大切」ということは当たり前のようですが、
とても重要なことです。
その理由は
- それを実践できていない教師が意外と多いという事
- 親子間においてもコミュニケーション不足が深刻である
ということです。今回はそのコミュニケーションにおいてもっとも大切で
保護者との関係を一回り向上させられる!という要素を3つほどご紹介していきます。
塾講師が保護者との関係を一回り向上するための3ステップ
①ヒアリングをする
保護者は、必ずといっていいほど悩みがあります。
まず、なぜヒアリングが大切かというと「こちら側の改善策を受け入れてもらい易くするため」です。そのためには、まず相手の状況を把握し、適切な言葉で対応することが求められます。私たち講師側の人間同様、保護者の方も子育てはもちろん、日々仕事に従事し、家事洗濯、ご近所付き合いなど、毎日忙しくしています。そんな中例えば、
「子どもが言うことを聞かない」「家の手伝いをしない」
「勉強しなさい!といってもゲームばかりやっている。」
「テスト前になっても、『塾があるから大丈夫』といって遊んでいる。」
「教育費はかけているのに、不満だけが増えていく」
というように、講師たちが知らないところで保護者の9割はストレスを抱えています。(ほぼ全員と考えて良いです)特に中高生を持つ保護者の方はそういった背景がある中で、塾に"自分ではできないこと”を求めてきます。単に物を購入するような求め、ではなく「助けを求める」という表現が近いかもしれません。
その背景を考慮しつつ接してみると保護者が何に不満を持っているか、その本質が見えてくるはずです。また、聞く側(講師側)の聞く姿勢も変わってくるはずです。
②親子間のパイプ役になるということ
さきほども出ましたが、親御さんの9割はストレスを抱えています。その原因の一つに親御さんが"本当に”言いたいこと、を言えていないということがあります。そんなときは、親子間のパイプ役になってあげれば良いのです。
最初は少し手惑うかもしれませんが、三者面談などで、場の設定ができたときがあれば是非試してみてください。例えば
生徒「勉強は苦手だから、受かる高校ならどこでも良いよ…」←本当は好きな学科のある学校にいきたい!!
親「高望みはしません、だって勉強する気もないみたいだし…塾も辞めようかと思っています。」←本当は本人が納得するまで頑張ってほしいけど、言えない!!
こんな状況であれば、あなたならどうしますか?アドバイザーの間ではこういう場合、仮の話をします。
アド「○○くん、もし、成績が上がって○○高校に行けたらどう?嬉しい?」
仮の話であれば、否定はできません。そして、その仮の話がどうであれ、話を深く掘り下げることで親子の本音がでてきます。
生徒「…嬉しいです。」
親「え、、やる気あるの?無理なことは言わないの、どうせやらないんだから。」
アド「お母さんも実際どうですか?○○くんが頑張るとしたら?」
親「それは、私も嬉しいですが、今のままじゃ・・・部屋も散らかってるし…」
アド「であれば、まずは環境から整えましょう!塾だけでなくて、きちんと家でもできることから始めてみれば○○くんもきっとできるようになるはずです。」
親「本当にできたら嬉しいですけどね(笑)○○が後悔のないようにしてくれることが私にとって一番望んでいることです。」
アド「お気持ち嬉しいです。○○くんよかったね。お母さんも応援してくれてるよ。」
生徒「…じゃぁ、がんばってみます!」
親「先生、この子にあった勉強をお願いします。」
・・・後日この面談のお陰で、生徒はやる気のスイッチが入り
更には親御さんから信頼されるようになりました。
という、非常に極端な例を出してみましたが
これは、親子間のパイプ役になることで、一人の人間としての存在が再認識された瞬間です。
③生徒に誠実であるということ
これはテクニック云々ではありません。最終的に、生徒の成長を先生が信じること。それが一番の信頼に繋がります。クレームも出るようなことがあっても多少のことなら親御さんが助けてくれます。(問題がないにかぎりますが、それはなかなか難しいですよね)
誠実になるためには、まず生徒一人ひとりに興味をもちましょう。
事細かに尋ねたりする必要はありません。一つでもよいので自分との共通点、例えば部活やゲーム、習い事など、共通の話題から入り生徒との関係性を構築していきます。そして小手指のテクニックではない、生徒の成長を信じるという想いをもって接してください。そうやっていくと自然とクレームやトラブルは減っていき、気づけば理想の環境に一歩近づいているはずです。
最後に
塾講師も学校の先生も、子どもの成長に関わる大人として子どもの将来に大きく影響するお仕事です。将来、「あの先生と出会って良かった!」や「先生のお陰で人生変わりました!」とまではいかなくても、
「あの先生に子どもを見てもらって私(親)もスッキリした!」
「○○先生、今何やってるのかな。」
と、少しでも記憶に残ってもらえるような人物になれると講師生活がちょっとだけハッピーになるかもしれません。
コミュニケーション力は、よく企業でのプレゼンや商談において大事といわれていますが、実は子どもの成長に関わる分野においても非常に重要な要素となっています。親子間の関係修復に努め、信頼を得ること、そして生徒を信頼することが講師生活をより楽しいものにすると私は信じています。
筆者紹介:うっちー
元教育系企業で進路アドバイザーを担当。年間4,500件のご家庭とやりとりし、親子間のコミュニケーション不足によるストレス改善から、各ご家庭にあった進路プランをアドバイス。
現在は、フィールドを広げオンライン上でより多くの方に喜ばれる教育コンテンツを配信する。