特に、小中学生で歴史が嫌いになってしまう生徒の多くは、因果関係を無視した暗記による学習が原因である場合が多いと思います。特に弊害があるのが単語カードによる学習です。その問題点と効果的な使用法について考えてみたいと思います。
そもそも単語カードは理解や暗記のためのツールではない
講師含めかなり多くの方が勘違いしているのですが、単語カードは理解や暗記には向いていません。単語カードは、すでに理解し覚えた内容を「チェックするため」のツールです。順番をばらばらにして「テスト」出来るようになっているんですね。ばらばらにする必要があるのは「完璧に覚えているかどうか試すため」なんです。最後の最後にする仕上げ用というわけです。
反面、歴史の学習は順序がとても大事です。因果関係は当然時間軸に沿って理解する必要があります。ですから、まだ理解してもいないうちから順番がばらせるカードを使用してしまうことで、出来事同士の繋がりが頭に入らなくなってしまうんですね。その結果、当然忘れやすくもなります。
どうしてもカード化するなら大きめのカードにテーマ別で
それでもカードスタイルの学習が好きだという生徒もいます。その場合、僕が勧めているのはテーマごとや時代ごとに大きめのカードを作り、一枚の中にある程度の情報を書き込んでしまう方法です。記憶というのは、イメージや場所に紐付けられることが多いですから、関連事項や、その時代に起きた出来事をまとめてカード化することで、視覚的にセットで覚えられるというメリットがあります。
また、ノートほど沢山の情報を詰め込めないカードにまとめるというのは、高度な編集が必要な作業です。情報を選択し、短い言葉でまとめ、あるいは矢印で繋ぎ、カードにタイトルをつける。そういう作業を通して理解をし、同時に覚えることも出来ると思います。
「教科書→ノート→カード」の順が最も効果的
もう一つ気になるのが、ノートを作らずにいきなりカードを作る生徒です。もちろん、カード同様ノートにも相性がありますから必ずそうするべきだとは思いませんが、まずは教科書を読んで理解し、分からない言葉などを調べてノートにまとめ、それらを覚えた上でカード化をすることで情報を整理し、かつちゃんと覚えているかどうかばらばらにしてチェックする、という方法が王道的でしょう。
生徒が自分なりに論理やポリシーを持ってやっているならば無理強いは良くないですが、なんとなくカード学習をしている生徒には、カード学習の意味と効果を説明してナビゲートすることで、成績向上の糸口が掴めるのではないかと思います。