【塾講師対象】先生がサボってる!?指導中の空き時間はこう使え!
生徒が問題演習の時間は、講師の休憩時間ではありません。
一通り、講師が生徒に解説をしたあとで、生徒に問題演習の時間を取る必要があるシチュエーションは多々あります。授業で教わったことが、ちゃんと身についているかを確認するためにも、授業時間内に、実際に、手を動かして問題を解いてみることは、学習の定着にとても効果的です。
しかし、ここで、問題が起きる時があります。集団指導の大手塾などで働いている講師は、その塾によって、問題演習の時間内にするべきことが決まっている場合が多いでしょう。生徒の宿題のチェックや、報告書の記入、連絡ノートの対応など、やるべきことが決まっている場合は、そのとおりにしていて問題ありません。
問題が起きるのは、ひとりひとりの生徒に合わせた個別指導や、家庭教師などの場合です。個別指導の塾講師や家庭教師は、保護者から、生徒と年齢の近い、お姉さんやお兄さんのような講師を希望される場合が多いのです。必然的に、学生アルバイト講師や、経験が少ない講師が担当する場合が多くなります。
この時、生徒が問題演習をしている間、講師がほとんど何もしてくれない、というクレームが起きる場合があります。学校の宿題を仕上げなくてはいけない場合や、単純な計算問題の特訓が必要な場合など、授業時間内にほとんど講師が解説を行わない場合などがこれにあたります。講師としては、そういう場合もある、としか言い様がないシチュエーションもありますが、生徒側に、先生がサボっている! と思わせてしまっては最悪です。
ここでは、生徒が問題演習をしているときの、講師が取るべき行動を、紹介します。
携帯電話は絶対ダメ!
言うまでもありませんが、家庭教師の現場などでは、実はとてもよくあるクレームのうちの一つです。さすがに、生徒が問題を必死に解いている横で、スマートフォンでネットをやっているような非常識な講師は、そうそういないと思います。
しかし、メールが届いた瞬間などに、一瞬携帯電話を見て、内容を確認してしまう講師は案外よくいるようです。携帯電話は、必ず電源を切るか、サイレントモードにするのは、授業中の常識です。また、携帯電話で特に気をつけなくてはいけないのは、生徒自身にマナーを教える姿勢です。今時の生徒は、中学生にもなれば携帯電話を持っている子が多いです。授業時間の間ずっと、LINEのグループチャットの通知がひたすら鳴り続けている生徒も、珍しくありません。
携帯電話はどんな場合でも絶対に授業中は手に取ってはいけない、という講師のスタンスを徹底しないと個別指導、家庭教師の際は、生徒がまったく集中できません。生徒に、きちんと指導をできるようにするためにも、講師の携帯電話の使用は絶対にNGです。
ただボーっとしている、内職、本を読む……どれも、生徒は全部気付いています。
これは、題名通りです(笑)問題演習をしている際、生徒はとっても苦労しています。学校の授業をなんとなく聞いているよりも、塾で講師の説明を聞いているときよりも、実際に頭を使って手を動かしている瞬間は、のんびりやり過ごすことができないので、一番大変です。
そんな時、傍らの講師がほっと一息をついていたら、その状況はすぐに生徒にバレてしまいます。モチベーションが低い生徒は、常に「この塾に行っても意味がない」と保護者に主張する機会を狙っています。実際、個別指導や家庭教師で先生の変更を希望される場合、ほとんどが講師のやる気を疑われているこのパターンです。
「先生が熱心すぎて、疲れるから嫌だ」という理由での講師の変更の希望は、今まで聞いた記憶がありません。生徒の前で、講師は絶対にスキを見せてはいけません。では、この生徒が問題演習を行っている間の時間、講師は何をしていたらいいのでしょうか?
まずは生徒の手元をじっと観察。単純な計算問題でも「効率の良い解き方」を毎回アドバイス!
生徒が問題演習を行っている時に、講師がまずするべきことは、生徒の手元をじっと観察していることです。その際、計算問題などで、一問一問、答えが合っているかどうかを横で見て確認している必要はありません。ここで講師が見なくてはいけないのは、答えではなく、解く過程です。
単純な計算問題ひとつとっても、123-234 のような面倒な計算を暗算でやろうとしてみたり、方程式の途中式を極端に省略して、途中式は省略すればするほど良いと勘違いしていたり……。生徒のクセを見ていると、ミスが起きるポイントが、明確にわかる場合があります。
ちなみに余談ですが、私の経験からすると、数学が嫌いな生徒のノートは、「すごくノートを節約して使っている」ということがあります。筆算はどこにもないか、あっても極端に小さい字で殴り書きのように書いてあります。途中式も省略されていて、ひどいものになると、式さえも書かずに答えだけが書いてあったりします。こんな状況では、今後、記述式がメインになる高校数学には対応できません。
塾講師は特に数学においては、とにかく早い時期にミスが少なく、相手に自分の考えていることを理解してもらう答案を作るよう、習慣づけなくてはいけません。この解き方のポイントを講師が一度説明して理解するような生徒は、特に数学が得意でもっと自分の力を伸ばしたいと思っている生徒のみです。大多数の生徒の場合は、講師が一度説明をしただけでは、絶対にその通りにはできません。
問題を解く生徒の手元をひたすら監視して、一問ごとに適切な解き方ができているかをチェックし、できていなければやり直すように指示します。思わず自分なりの解き方をしてしまった生徒が、「このやり方だと先生に怒られる!」と、講師の方から指摘する前に慌てて自分から直すようになったら、成功です。
ただ、このやり方は生徒には常に緊張を強いられて、ストレスも大きいようです。適度に量を調節したり、ちょくちょく休憩を摂ったり、指摘するときの言葉は極力柔らかくしたりなど、生徒が、いつ講師に怒られるかと常にビクビクしてしまわないように、注意しましょう。
講師は、授業時間はすべて生徒のために使う!
次に、英語や国語の長文読解の最中など、講師が生徒の手元を見ていても意味のないような状況の時にはどうすれば良いでしょう?私は授業中は「この時間は、すべて生徒のために使う!」ということを、常に心がけていました。なので、完全に講師が、その瞬間の生徒に対してできることのない場合は以下のようなことをするようにしていました。
別の教材を使って、生徒に効果的な宿題を探す。
→塾の備品のテキストや生徒の学校教材などを使って、いま勉強しているところと同じ範囲でより効果的な宿題を探しました。ただ「このページを家でやってきてね」と言うのではなく、その生徒の得意な問題、苦手な問題をバランスよくピックアップした宿題を出すことで、より生徒の理解は深まります。
チェックテストを作成する。
→問題演習の時間を利用して、定期テストの暗記科目用のチェックテストを生徒に代わって作ってあげる場合もありました。具体的には、生徒に、あらかじめ社会や生物などのノートをコピーしたものを用意しておいてもらい、講師が緑のチェックペンで、暗記しなくてはいけない重要なところをチェックします。
その範囲を初めて勉強する生徒にとって、どれがテストに頻出の重要用語なのかを知るのは難しいです。講師がそれを代わりにやってあげることで、生徒の定期テスト勉強はそのまま赤いチェックシートで暗記すればよいだけなので、とても楽になります。これは、とても生徒に喜ばれました。
「講師が自分のために真剣になってくれている」と生徒が思ってくれれば、生徒は必ず真剣に問題演習に励むでしょう。今のところ講師側が必死に生徒の宿題作成やチェックテストを作る作業の最中に、「問題演習なんかやりたくない!」と言い出したり、眠くなってしまった生徒は、いません。
塾講師とは、こちらの熱意がそのまま伝わる仕事だと考えて、常に、講師は生徒の成長のために全力投球してあげたいものだと思います。