今回は地理でも頻出のテーマ"人口問題"について特に日本に焦点を当てて紹介したいと思います。
日本の人口関連統計まとめ
まずは日本の人口に関する統計をまとめて見てみましょう。
・総人口…1.2779億人
・人口密度…342.7人/km²
・人口増加率…-0.2%
・高齢者率…23.3%
・合計特殊出生率…1.41(2012年)
そして将来の人口推計は以下のようになっています。
2025年…1.2065億人→2055年…9193.3万人→2065年…8135.5万人
(出典:総務省統計局ホームページ http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm)
上の将来人口推計を見ると分かるように人口は減少していくと考えられています。これは単純に死亡数>出生数の傾向が続くと考えられているからです。上の表で合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の数)が1.41で2未満(両親の死亡数)であることからわかると思います。
日本の人口問題 少子高齢化
日本でよく「少子高齢化が問題である」と言われていますが、なぜこのような問題が発生してしまうのでしょうか?3つに分けて説明したいと思います。
日本の高齢化の特徴
なぜ高齢化が進行しているのでしょうか?基本的には「寿命が延びたから」と言えるでしょう。経済水準の向上と同時に、医療・公衆衛生・社会保障が普及しました。先ほど紹介した統計でも高齢者率が23.3%と、かなり高い数字になっていることが分かると思います。さらに日本の高齢化には地域性があります。日本の中でも特に高齢者の割合が高い地域では、人口流出と中・高年層の加齢が同時に進行しています。すなわち、高齢化と過疎化が同時に進行しているのです。理由としては2つあります。
①三大都市圏からの遠隔地である
②地元の産業開発が遅れている
つまり、働き場所を求めて若年層が都市部へ流出してしまうので高齢化と過疎化が同時に進行するのです。このような地域は都道府県別にみると以下のようになります。
<都道府県別高齢者率>(2009年)
1位:秋田県 28.7%
2位:島根県 28.5%
3位:高知県 27.7%
4位:山口県 27.0%
5位:山形県 26.9%
少子化の原因と対策
少子化、つまり出生率の低下はなぜ起こるのでしょうか?理由は主に2つで
①養育費の上昇
②女性の社会進出
です。①は経済水準の高まりと同時に起こったものです。対策として社会保障給付の増額が考えられます。②に関して、ここで有名な女性労働力率の年齢的特徴について触れてみましょう。以下の図を見てください。女性の年齢階級別労働力率を表しています。有名なM字カーブというものです。
(出典:総務省統計局「労働力調査」)
このようなM字カーブを描く理由は、女性が20代後半になると結婚することが多く、家事や育児のために離職し、それらが一段落した30歳代後半から40歳代前半にかけて復職する傾向があるからです。女性の社会進出が進むとこのM字カーブの谷は浅くなることになります。すると晩婚化が進むので出生数は低下することになります。これらの対策としては育児保険・育児休業制度を充実させるなど、育児と労働の両立を可能にする仕組みが必要になります。
少子高齢化によって発生する問題
少子高齢化が進み人口が減少するとどのような問題が発生するでしょうか?想定されるものとして
①国内市場規模縮小、国内労働力の減少による経済力低下
②1人当たりの社会保障費用の負担増加
が挙げられます。対応として、例えば労働力の減少に対しては外国人労働力の導入が考えられます。しかし、文化的摩擦の発生もあり得ます。また国内市場規模縮小に関しては、関税同盟など地域的経済統合(TPPをイメージしてください)を形成するという手段も考えられます。しかし、TPPでも農産物といういわゆる"聖域"に関しての条件交渉が絶えず協議は難航しています。なかなか人口減少に伴って発生する問題を解決するのは難しいと言えそうですね...。