【体験談から学ぶ】保護者から信頼される塾講師になるには?
保護者対応の研修官も努めました
講師の重要な仕事の1つに生徒に授業を教えるということがあるのは、当たり前ですよね。しかし、多くの塾では生徒のみならず、保護者の対応も任される可能性もあります。
私が所属していた塾では、(保護者・生徒)対(教室長・講師)という形の面談がありました。また、私は、保護者対応の研修官としても仕事をしていました。
本記事ではその経験から得たことをつづります。少しでも参考になれば幸いです。
①常に堂々とすべし
これはかなり重要です。少し考えてみてください。
お金に変えることのできない自分の子供、そして、その子の将来を担っている講師がおどおどした態度で対応してきたら、保護者はとても不安になってしまいます。
あなたが高額パソコンや自動車を買いに行ったときに対応した店員さんが、おどおどしていて自分の目を見て話してくれなかったどうでしょうか。…筆者は絶対に買いません。また、私が航空券をとる際にある会社に電話したところ、たどたどしい日本語で何度もミスをして謝り、しまいには声が小さくなってしまった人がいました。この人にクレジットカード情報を教えたのですが非常に不安でした。そんな大事な情報を教えるに値しない係員だと思いました。クレジットカードの情報や自動車、パソコンの購入でも、おどおどした態度で、信頼を落としてしまいますね。これが保護者と講師の関係であったらどうでしょうか。
子供が、いくら講師を信頼していたとしても、(子供が小さければ小さいほど)保護者の意見に従いますし、最終決定はお金を出している保護者に決定権がある家庭が多いです。そのために保護者対応を行う際には常に堂々としていなければなりません。
これは一朝一夕ではなかなかできません。常に自分の仕事に誇りを持ち、常に全力で授業を行っていなければ不可能です。ある意味、
こちらは全力を尽くしている
これ以上は自分のせいではない
とまで言えるくらいまで様々なことをしなければなりません。
ここで、新人時代の私の体験談をご紹介します。面談の概要を整理すると、
・塾側…教室長/私/講師
・生徒側…生徒は(中学3年生の男の子)/父親
・時期…11月(夏期講習あと初)
・内容…夏期講習の振り返りと講師紹介・冬期講習の説明
という感じです。
そこで、生徒が初めて、2学期中間テストの結果をお父さんに見せたのです。あまりにひどい点数でお父さんはかなり激怒しました。ただ、その怒りは、生徒に向けられたもので、生徒は号泣でした。その上、塾側の人間は、全く言葉を挟めずに、20分ほど父親の説教が続きました。そしてついに、「こんなんじゃ塾に通っている意味はないからやめる」と言い出してしまいました。
これでは、らちが明かないと思い、私お話をしました。
お話した内容は、
・中3なので学校のテスト対策ではなく受験に向けて基礎からやっているということ
・生徒さんはいつも頑張っているということ
です。
授業に関してはすでに保護者にカリキュラムを報告して承諾をもらっている内容でしたので、堂々と伝えることができました。また、模試ではそこまで悪くない点数を獲得していたのでそのことと合わせて伝えました。すると、お父さんの怒りも少しずつおさまり、最終的には冬期講習も引き続きお願いしますということで落ち着きました。
この状況でしっかり話せたのも、やっていることは承諾を得ているという自信、そして、常に生徒に向かい合っているという自信を持っていたからです。このようないわば修羅場なような面談でも、常に真剣に授業を行っているという自信があれば恐れずに向き合うことができるのです。
常に堂々とすべし!
常に準備を怠るべからず!
保護者対応、特に面談のような日にちが決まっている対応の場合はしっかりとした準備が必要です。相手に提示する資料や保護者が知りたがっている情報をしっかりと集めておきます。もちろん、数字を提示するなども重要ですが、生徒本人から集める情報も重要です。
生徒の日頃の授業への取り組みなど講師が観察をしなければならない情報から、生徒の成績やテストの結果学校での生活、そして進路の話までです。この辺の話は特に中学生には重要です。中学生はシャイになる年頃なので家で保護者と話をしていないことがあります。受験生や中学2年、高校2年の春の面談には必ず志望校に関する資料の準備は必須です。
受験生との面談では毎回必ず志望校の話を出してください。その前に必ず生徒と進路についての話をしておいてください。将来どのような仕事に就きたいのかというところから、大学であれば何学部がいいのか、高校ではどのくらいの偏差値がいいのか、何部に入りたいのか、などのリサーチが欠かせません。そのリサーチを基に面談までにいくつかの大学や高校をピックアップしておきます。多くの情報があればあるほどその時に保護者から聞いた希望にも合致した情報をさらに提示できます。
次に塾での様子です。これは意外と多くの講師が忘れていますが保護者にとっては聞きたいことなのです。どんな些細なことでもいいんです。いつも宿題をしっかりやっていますよとか、10分前には必ず来ていてくれてうれしいですとか。もちろんいいことばかりではなく、注意もする必要があります。
授業中に少し落ち着きがないですとか、基本問題で簡単なのに再計算をしないからミスが多いんですとか、そういう情報も保護者に伝えるべきです。悪いことは家でも保護者が矯正してくれることもあります。また、そのようなことを注意深く見ていると生徒の性格というのもわかってきます。そのわかっている性格というのは保護者の方も同じ認識であることがほとんどです。
「A君って意外とおっちょこちょいに見えるんですけど、やるべきことはしっかりする子ですよね。」とかいうと保護者の方も「そうなんです~。」となり、この先生はしっかりとみてくれてるという印象を与え信頼感が増しますし、なによりその場が盛り上がります。
この生徒の特長はお勧めです。私はこの生徒の特長の話のおかげで多くの保護者の信頼を得てきました。中には、教室長抜きで自分とお母さまの二人でお話をして、生徒がこの塾を続けるべきか辞めるべきか先生の意見を聞きたいということもありました。この保護者にも常に生徒の日頃の情報を提供し続けてきました。
そのような地道な努力がこのような結果に繋がったと思います。
保護者は講師の敵なのか?
時々講師室での会話の中で保護者面談はしたくない、親と会いたくないという話があります。親と話したくないというのです。その講師の話を聞いていると、まずすべてが消極的なので準備もアポ取りも後回しになっていました。その原因の大本は保護者と話したくないということです。
なぜそんなに保護者と話したくないのでしょうか。私なりの見解なのですが、保護者を何か敵のようなとんでもない人としてとらえている節があります。中にはモンスターペアレンツのような人もいるのでしょうが(私は一度もあったことはありません)、多くはそんなことはありません。
保護者の方も普通の人間です。自分たちより少し年上なだけです。しかも多くの保護者の方は私たちも先生として扱ってくれます。むしろ、面談では自分たちの話を聞きたいと思ってきてくれている保護者の方がほとんどです。なのでしっかり準備をして、多くのことを保護者の方に教えてあげてください。
面談という保護者対応が多いと思いますが、自分の大事な生徒の話をしっかりとしてあげればいいのです。面談などの保護者対応は気軽にいきましょう。それまでの準備をしっかりとしていれば全く問題ないのです。
終わりに
今回は保護者対応の中でも多くの比重を占める保護者面談を想定しながら書きました。いかがだったでしょうか。保護者面談は最後にも書きましたが、準備さえしっかりしてしまえばあとは少し目上の人とおしゃべりするんだ程度の認識で全く問題ないはずです。変に構えずに平常心でお話をするのです。それでいいんです。
肩の力を抜いていきましょう。頑張ってください。