【高校の自己推薦入試】エピソード付!自己推薦の指導ポイント!
進路相談をしていると…
進路相談をしていると、
「自己推薦って何?」
「私立受験したいけれど志望動機も面接も良く分からない…」といった声に遭遇することがよくあります。
また、そういった生徒に対してどういう指導をすればよいのか悩んでいる先生方も多くいることでしょう。
今回は、
早慶付属高校を筆頭とした自己推薦や私立受験にまつわる志望動機・面接について、まとめています。
もちろん、具体的な指導法(チェックポイント)も各項目ごとにまとめてあります。
以下の記事を参考に、生徒への指導の参考にしてみてください!
自己推薦について
自己推薦入試は、AO入試など大学受験等で行われているものと、システムはほぼ同じです。
(入試内容は後にまとめてあります。)
高校受験における自己推薦は、早慶等の付属高校でも行っており、
入学できれば大学までエスカレーターで進むことが出来ます。
認知度は大学受験に比べて低いように感じます。
(事実、早慶志望なのに自己推薦を知らない子がいました。)
付属でない私立高校等でも、似たシステムを用いているところは多く存在します。
生徒の第1志望高校に、そういったシステムが存在しないか?
一般入試以外の入試方法を確認させるようにしましょう。
志望資格・方法は?
志望高校のレベルで差がありますが、早慶付属高校であれば、
- 内申約38(各学校HPでご覧ください)以上
- 部活等頑張ったと誇れるものがあること
- 第一志望であること
が挙げられます。
つまり、様々なテストの偏差値は必要ないのです。
一般入試では入学が難しい子達も、なにか光るものがあれば入学が可能であるということです!
(実際、一般志望高校の偏差値より、20も高い高校に入学した子もいます。)
そんなんじゃ入った後落ちこぼれるんじゃないの?というような意見を頂きますが、
受験勉強をせず、独特な授業を楽しめるので、よっぽど遊ばない限りそれは考えられないでしょう。
そしてこれも大切なことです。
あくまでも自己推薦でありますので、受かった場合は入学しなければなりません!
しかし、生徒自身のレベルより上であれば、挑戦するつもりで受験することが出来るでしょう。
時期は1月に行われ、2月の一般私立受験の頃には結果が出ることとなりますので、
他の受験と両立させることが出来ます。
むしろ、一般私立→県立・都立の流れの前におけるので、1つ可能性を増やすことが出来ます。
もちろん、前述のように都立・県立が第一志望の生徒には受験させてはいけません。
志望動機・面接対策の指導方法
これは相談を受けても実態を知らないとなかなか答えられないことが多いと思います。
簡単に入試までの流れと内容をおさらいしてみましょう。(
各高校違いがありますのでご考慮ください)
自己推薦入試は大きく2つに分けることが出来ます。
- 前半の「応募段階」
- 後半の「作文・面接段階」
応募段階に指導すべきこと~生徒の将来までのビジョンを見出す~
まず応募段階では、基本的に、志望動機・中学で頑張ったこと等を書きます。
志望動機では、漠然としたイメージで入りたいと書いても、まず通りません。
将来何になりたいのか、その高校(進学した大学)で何が出来るのかを絡めて書くことが必要になります。
ここは就職活動を経験した先生は得意かもしれません。
生徒の自主的な情報収集では、浅く、偏りのある志望動機になってしまうと思います。
まず志望動機をチェックする時は、以下のポイントに留意してください。
①その高校のパンフレットHPにでかでかと書いてあるアピールは書かせない
×例)自然に囲まれたのびのびとした校風、施設環境等
誰でも分かる情報は使わず、生徒が何をやりたいのかを明確にし、
その高校で出来ることの軸を明確にさせましょう。
入学している先輩等の知り合いがいれば、その人が言った良いところを盛り込むことで具体性が増します。
○例)世界的薬学研究者になりたい→内部進学を前提に、高校ではあらかじめ語学に打ち込みたい
→先輩や学校パンフレットによれば語学授業・先生、留学が充実している
自分のやりたいこと、そこから将来までのビジョンをしっかり考えられている。
この意志の強さが応募段階を突破する鍵になります。
志望動機を読んでも生徒のビジョンが見えてこないときは、まず質問し、考えさせることが必要です。
・「将来何になりたい?」→「なるために高校で出来ることは?」
・「中学で頑張ったことは?」→「それは高校でさらにレベルアップできる?」
将来の目標、中学までに頑張ってきたこと、それらをその高校じゃなきゃできないのか?
その繋がりを質問し、明確にすることで、その順序で書くように助言しましょう。
これらの流れを経るだけで、生徒の志望校への理解も深くなります。
その上で、上記にある○例のような形を構成させましょう。
面接段階の前に指導すべきこと~覚えさせるべきこと・そうでないこと~
自己推薦の場合、応募段階を突破し面接段階に進めたならば、次は面接や作文といったものが待っています。
面接、作文共に校風や歴史を生かしたものになっています。
奇抜な質問が飛んでくることもあるようです。
担当した生徒が臨機応変に対応できるように、覚えるべきことと、そうでないことに分けて指導しましょう。
作文対策
作文内容は様々ですが、1時間ほどで書かせるものが多いようです。
いくつか集めた情報から例を挙げると、
例①)新聞は将来なくなると思うか?意見を述べなさい。
例②)福澤先生の「自由は不自由の中にあり」という言葉の意味を解釈しなさい。(慶應付属の場合)
この時、例①のように、電子媒体やタブレットの普及に伴う質問は時事的にもよく取り扱われます。
こうした質問に対しては、ある程度回答順序を慣れさせておけばスムーズに対処させられます。
生徒に回答練習をさせてみましょう。
本例①であれば、
Yes/No→新聞と電子書籍の存在価値の違い→実体験/実例→まとめとしてのYes/No
の流れが良いでしょう。
まず考えをはっきりさせ、実体験や実例からその理由がしっかりしていれば、文句のつけようがありません。
添削の際にはこの順序を確認し、内容よりも構成に慣れるように指導しましょう。
例②のような質問に関しては、明確な答えは存在しません。
いかに自分の考えを明確に出来るかが重要な点になっています。
このような問題に関しても先ほどの順序を大切に添削しましょう。
こう思う→自らの言葉の対しての理解→それを踏まえたたとえ→まとめとしての結論
作文段階においては、この流れが明確であるかを添削し、構成をしっかり覚えさせましょう。
ちなみに過去に出題された作文の課題を覚えさせる必要はありません。
面接
自己推薦の面接についてはいくつか形式が異なるようですが、
集団面接+個人面接数回が主流なようです。
集団面接では自己紹介+様々な問題提起に対する意見
個人面接では自己紹介+応用力
が求められます。
【集団面接対策】
集団面接の問題提起は様々な上、変り種も含まれていることが多いようです。
例①)あなたが高校の校長先生ならば、携帯の持ち込み・使用を許可させますか?
例②)あなたが無人島に漂流したならば、まず何をしますか?
ここでは4・5人程度の生徒に端から答えさせる形式が多くフィードバックはありません。
ここでも、他の人と意見が異なってもいいからしっかりと自分の意見を言えるかが求められます。
あくまでも奇抜な答えは求められていません。
事前指導としては、過去に出題された質問内容を覚えさせるようなことはせず、上記の例のような質問に対し、しっかりと順序だっているかを確認してあげる必要があります。
例①)の場合
許可/不許可→携帯が必要、または不必要な理由・事象 もしくは 持込を許可または不許可にしたときに生まれる弊害→まとめとしての許可/不許可
上記にはもしくはと書きましたが、この二つを語ったり、両方を考慮して利益を求めている場合は尚すばらしい回答になるでしょう。意思をはっきりさせ、それが合理的な理由に基づいているか?その点を明確にし、もし感情や不明確な事象から答えを求めているように感じたら指摘しましょう。この点は本人が気づきにくいものでもあるので、細かく指摘してあげましょう。
【個人面接対策】
個人面接では話に重点を置いていますが、覚えさせるべきことも幾つかあります。
例)ここまでの通学経路を教えてください。(使用線路まで明確に暗記させること)
例)部活での経歴・大変だったこと・これからの意思
例)尊敬している人とその理由
他にも趣味や興味に関するそれを好きなわけ、留学先志望理由、作文の具体的内容の確認は問われると伝えておきましょう。
事前指導としては、必ず以下のものを覚えさせるように指導しましょう。(必要最低限です。)
①自らの経歴(中学校と自らの役職・部活等)
②通学経路(使用線路を含めた全て)
③志望動機(1~2分にまとめたもの)
余裕があれば
④部活・委員会等で大変だったこととその対処
⑤尊敬している人とその理由
その他、考えを述べさせるような質問に対しては、上記集団面接での順序に着目し、指摘してあげましょう。
これらを暗記し、合理的な回答をしていると感じれば、準備段階としては大きな問題はないと言えるでしょう。
まとめ~自己推薦(志望動機・面接)を巡って生徒のために出来ること~
塾によっては自己推薦者の応募書類の審査、面接練習を行うところもあるでしょう。
自己推薦ではなくとも、私立受験をする生徒が志望動機や面接対策を相談されることは多いはずです。
そんなとき、上記の経験者の情報をもとに受験までの道筋をたてることができれば幸いです。
特に面接段階に進めたとき、生徒にとっては分からないことだらけです。
答えを暗記させるような面接練習は避け、自己紹介以外は応用力を鍛える面接練習をさせてあげましょう。
個人面接は特に会話形式になりやすいので、趣味、関心ごとに関する知識を深めておくことが大切です。
直前に覚えたようなことはすぐに見破られてしまいます。
そして、自己推薦に関しては、倍率も高いので、落ちてしまった後のケアを忘れてはいけません。
応募段階から、受かればラッキーという心境に置かせてあげることで、リラックスして向かえることができるはずです。
※当記事はあくまでも自己推薦の傾向をまとめたものですので、詳細は各高校のHPを参照してください。