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数学を教える塾講師必見!数学理解:おうぎ形面積について

中学生

2021/12/17

「おうぎ形」という面積の難所

 公式が決まっている面積の求め方の中で、特に理解が難しいものの一つがおうぎ形ではないでしょうか。私が指導していた生徒達も、公式を見ながら解く事は出来てもどうしてその公式なのかは分からないという事が多かったな、と思います。そうです、「なんか三角形の面積公式に似ているアレ」です。

 どうしてこの式で求まるのか分からないというのはつまり、応用が出来ないという事です。うっかり公式を忘れてしまえばもう手も足も出ませんし、すこし考え方が変わるだけで対応できなくなってしまいます。ですが、講師の皆さんには分かっていただけるかと思いますがおうぎ形の面積なんて全然難しいものではありません。ちょっと理解できればもう迷う必要もないのがこのおうぎ形の面積というものですね。

 ということでこのページでは、おうぎ形の面積の求め方についてとそれが何故この公式で求められるのかについて解説していきます。

 

おうぎ形は円の一部である事を理解する

 さて、おうぎ形といえばまずは円の面積ですね。円の面積で悩む事なんて今更無いと思いますのでここは省きましょう。肝心なのは、おうぎ形は円の一部分であるという事です。

 「おうぎ形の面積がよく分からない」という生徒には、まず内角180°や90°の馴染みのある形から入っていきましょう。

 問題でおうぎ形を見せる時は、それらが円の一部である事を強調します。下の図のような感じですね。

 画像内に少しだけ文字が書いてありますが、少し小さいですね。

つまり、「おうぎ形単体では出さず、円の一部である事を強調して見せましょう」という事です。


 内角180°や90°のおうぎ形


 それでは実際に、内角が分かりやすい角度のおうぎ形を円と一緒に見せましょう。そして半径を定めたら、実際に面積を求めさせてみるのです。円の面積は分かります。例えばr=3、内角は180°としましょう。この半径や内角の情報を、必ず図の中に記述する事が大事です。「180°だったら~」「3㎝だったら~」などと口頭で言うだけにしてはいけません。数字がダイレクトに答えに繋がる事を理解する為です。

さて、今回の場合の円の面積は9π。そして分かる生徒はすぐにおうぎ形が半分である事を見抜くでしょう。答えは4.5πですね。分からないという生徒には、円の形に切った折り紙などを使って目の前で半分に折りたたんで見せましょう。「180°って事は、ここは直線だよね」などと言いながら自分で考えて答えを出せるまで待ちましょう。

 180°、90°、45°、120°、60°、30°、と実はこれまでに直角三角形などで目にしてきた馴染みある角度は意外と種類がありますね。いくつか使って、その都度それが「元々の円に対してどんな比率の関係になっているのか」を考える時間を設けます。

 

180は半分だし、90はその更に半分。何の?

 

 それは元々の円? 違いますね。 元々の「円の内角」360°の半分なのが半円の内角180°なんです。ここでやっと、ずっと言いたかった内角さえ見ればおうぎ形の面積は楽勝だという事を教えちゃいましょう。ここまでに解いてきた様々な角度を、360°という数字に照らし合わせながら、おうぎ形と円との面積の関係と内角の関係が一致していることを理解しましょう。

 

 180/360は1/2だし、45/360は確かに1/8だ、と分かればもう困る必要は無い筈です。

 

 それが理解できたら大詰めです。10°や20°などの馴染みの薄い角度から85°のような分数にしないといけないものを解いていきます。その都度、「内角がこれだから、○○/360にして、」と計算が遅くても確実にプロセスを踏んで進めましょう。計算が遅い事は何の問題でもありません。

 

 これで、角度からおうぎ形の面積を求める事ができるようになると思いますよ。正円と比較してその割合で求める。おうぎ形が円の一部分であるからこそできる求め方です。


次にやる事は

 しかし、その文字通りこれではまだ不足です。

 今はまだ角度からしか求めることが出来ないのです。しかしそれでは、確実に解けない問題がありますね。円錐の表面積の問題などがそうです。

 つまり、「内角が分かっていないおうぎ形の面積」を解く方法をまだ知りません。次はこれを解いていきましょう。

 さて、問題に出される場合内角が分かっていない代わりに分かっているものがある筈です。まあ、講師の皆様には今更の事実ですが、当然、弧の長さですね。そして、当然ですが弧の長さが内角と同じように扇形の面積を求める式に使うことができるのも、ご存知の筈です。

 内角から求めるときと同じように、おうぎ形が円全体から切り抜かれた一部分である事を理解しやすいように円の一部分を塗った形でおうぎ形を見せましょう。弧の長さが半分になると、面積も半分になります。

 そして更に、折角なのでこの時に内角も復習してみましょう。「この時内角は何度?」と問題にします。分かる人はあっという間に分かるでしょうし、もしかしたら悩んでしまうかもしれません。悩んでしまった場合、まだ全体との割合がしっかりと認識できていない状態です。もう一度、「これは円の何分の一?」「円が丸々一つある時内角はいくつ?」とヒントになる問題を与えて、『内角の比と面積の比が同じ(弧の長さの比も同じ!)』ことを印象付けましょう。

 さて、話を戻して弧の長さ。とはいえ、先の内角から面積を求める方法がしっかりと理解できていればやる事は同じです。円周と弧の長さとの比は面積の比と同じになる、ということを導くことにそんなに回りくどい説明は必要ないはずです。正円の半分、四分の一のおうぎ形の弧の長さを求める。そして面積を求めて、円との比を理解できたら同じように少し馴染みの薄い割合のおうぎ形の面積を求めて、と繰り返します。

 それぞれのタイプの問題で面積を求めた後、内角や弧の長さまで求められるようになれば十分です。


原理を理解できたなら、公式を使おう

 そもそも、公式というのは先人達の偉大な発見です。理解しているのなら公式も組み立てられて当然ですから、そこで初めて「早く解くために公式を使う」事に頭をシフトしましょう。とはいえ、きちんと理解しないのに公式を使っては本末転倒ですから、十分に理解できたであろう生徒に、最後の復習として公式を教えてあげるのが良いでしょう。

 

 おうぎ形の面積公式は、当然2種類出てくるはずですね。弧の長さを使うパターンと、内角を使うパターンです。

 

 ここでは紹介した順番通り、内角の方から書いていきます。内角を使った場合のおうぎ形の面積の公式は、

 

S=πr^2 * (θ/360) ですね。

 

 おうぎ形が円全体に対してどれくらいの割合の大きさなのかは内角を見ればわかるというのは上記の通りです。だから、360に対してどれくらいの大きさの角度なのかが分かれば、それを360で割る事で円全体の何%なのかが分かり、そしてそれがそのまま面積になるということですね。
 180なら半分、90なら1/4と実際に当てはめつつ確認してあげてください。

 

 弧の長さを使う場合は、公式が

 

S=πr^2 * (l/2πr) ですね。(「l」は「1」ではなく「L」の小文字)

 

 先ほどの内角の割合の代わりに弧の長さの割合を置いただけのものです。同じように解説してあげてください。


 これで十分おうぎ形の面積は問題無く解けます。が、もう一つ何かあったのを覚えていますか? 筆者自身も当時この公式を教わった記憶があります。弧の長さが分かっている時の、

 

S=(1/2)*lr (同上)


 そう、冒頭で触れた「三角形の面積公式に似てるやつ」です。実は、これはすこし面倒です。いろいろな過程をすっ飛ばしているのがこの公式なので。ですから講師の皆さんも、これだけ教えて満足しないであげてください。この式だけではただの丸暗記にしかなりません。

 この式は、特別なプロセスで求められているものです。もし、生徒さんがこの式を教えても理解に苦しんでいるようでしたら、先ほどの順当なやり方をしっかりと教えてあげてください。

 では解き方です。まず初めに、弧の長さを求めます。 2πr*(θ/360) ですね。もちろん現段階でθは不明ですので求めることはできませんが、構いませんので続けます。

 

 次に、おうぎ形の面積を内角から求める公式を用います。すると、先述の S=πr^2 * (θ/360) が出てきます。

 この双方の中にある πr*(θ/360) がここの鍵になります。弧の長さと面積の中に無理矢理同じものを探してみるとこの共通項が確認でき、弧の長さには「*2」、面積には「*半径」がおまけされていることが分かります。

 つまり、

 

S = πr*(θ/360)*r

l (弧の長さ) = πr*(θ/360)*2

 

 という式が作れます。

 そして、今回分かっているのは弧の長さですね。この式ではθが含まれている所為でよく分かりませんが問題文中に何かしらの定数が与えられているのです。分からないのは面積です。この問題では弧の長さから面積を求めたかったはずですから、面積公式の中に無理矢理弧の長さの式を突っ込んであげましょう。

 

S= l(弧の長さ) * r *(1/2)


 最初の図の通り、「弧の長さ」は「l」のことですから、ここまでやってやっと

 

S=(1/2)*lr


 になりました。弧の長さも内角も考え方が同じだからこそ生まれた便利な式ですね。だからこそ、その両方が理解できた生徒に、ご褒美としてこの簡単に解ける式を教えてあげるようにしてください。最初からこればかり使っていると、おうぎ形がどのような図形なのか、理解しないままになってしまいますから。

 おまけ:面倒な文章を省いた最後の証明。

 最後に証明した公式を文章を省いて書き直します。見辛いという人もいらっしゃったと思うので。

 

S = πr*(θ/360)*r        ……①

l (弧の長さ) = πr*(θ/360)*2  ……②

 ①、②より、

S= l(弧の長さ) * r *(1/2)

 よって、

S=(1/2)*lr


 終わってみれば、あっという間ですね。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


 

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