今回は英語でも意外に難しい「話法」について紹介したいと思います。主語の代名詞は誰になるのか?、動詞の時制は?、などいろいろ注意すべき点があります。この記事を読んで、しっかり生徒さんに教えられるようになりましょう。
直接話法と間接話法は何が違う??
そもそも直接話法と間接話法にはどういう違いがあるのでしょうか?もちろん2つの話法が問題になるのは、他者の発言内容を伝えるとき、ということになると思います。日本語的に考えると、直接話法は「」を使って他者のセリフをそのまま伝える話法で、間接話法はあくまで話し手からの視点で「」を使わず伝える話法、と捉えておけばよいでしょう。直接話法と間接話法の違いは下図のようにまとめられます。
それでは以下で直接話法と間接話法で何が異なるのか具体的な例で確認していきましょう。
時制・人称代名詞が変化する場合
以下の例文を見てください。
・He said, "I don't like my computer. "
・He said that he didn't like his computer.
上が直接話法、下が間接話法です。それぞれ文字に振った色が変化した部分に対応します。英語の""が日本語の「」に対応しますね。上の2つの例文を見ると分かるように「誰の視点から話しているか」が変わるので時制や人称代名詞が変わっていますね。この場合は注意深く慎重に解けば間違えずに済みます。それでは次の場合はどうでしょうか?
時や場所を表す表現、指示語など特徴的なワードが変化する場合
この場合は1つめのパターンと違い独特な変化をします。
・He said to us, "You can't play soccer here today. "
・He told us that we couldn't play soccer there that day.
この場合も色が同じ部分が対応しています。"here"が"there"へ、"today"から"that day"に変化しています。よく考えれば分かりますが、上の文でHeが言った"here"の場所は現在"We"がいる場所とは違うので"here"は使いません。この原則を理解しておくのが重要です。これは後ほど説明します。一般的に直接話法と間接話法で切り替えるべき表現があるので以下で一覧で紹介します。
this↔that
these↔those
here↔there
today↔that day
yesterday↔the day before , the previous day
tomorrow↔the next day , the following day
now↔then
last night↔the night before , the previous night
next week↔the next week , the following week
ago↔before
上のように表現が独特に変化します。しかし、必ずしも変化するわけではないことに注意してください。例えば以下のような例文が考えられます。
He said,"I will come here in a few minutes."
He told that he would come here in a few minutes.
こういった例文が成り立つのは"He"が言った"here"、つまり話し手が彼と話した時にいたところと、下の例文の"here"、つまり現在話し手がいる場所が同じ場合が当然here→thereへの変化はおきません!機械的に暗記して表現を変えることのないように注意しましょう。
基本的にここまでの内用では、直接話法と間接話法を書き換えても動詞が変わることは無かった(say ↔ tellくらい)ですが、応用編では動詞が変更します。
直接話法でのセリフの中身が疑問文の場合
まずは直接話法のセリフ部分が疑問文の場合です。疑問文は疑問詞を使ったものとYes/Noで答えられるものの二種類に分かれます。以下それぞれで説明していきます。
疑問詞を使ったもの
まずは例文を見てみましょう。
She said to me, " What does your father do ? "
She asked me what my father did.
どちらも職業について訊く質問ですね。色が直接話法→間接話法の変化に合わせて変わった対応部分です。このように疑問詞を使った文章では「ask + 人 + 疑問詞 + S V」という形になります。
Yes/Noで答えられる疑問文
これも例文から見てみましょう。
He said to me, "Are you tired ? "
He asked me whether (if) I was tired.
これも同じ色の部分が対応しています。一番大事なのはwhether(if)を使う必要があることです。基本的な形としては「ask + 人 + whether (if) + S V (or~) 」となります。直接話法のセリフの中身に"or"が使われている場合間接話法でも"or"が必要になります。
直接話法のセリフの中身が命令文の場合
今度は命令文の場合です。例文から見てみましょう。
She said to me, "Shut the window."
She tole me to shut the window.
という形になります。命令文の場合の基本的な形は「tell + 人+ to + 動詞」という形になります。もし元の直接話法の文が"命令"というニュアンスではなく"依頼"のようなニュアンスだった場合は動詞はtellではなくaskを使います。
その他の場合
上で説明しきれていない場合について紹介します。1つは提案・勧誘を表す文、もう1つは感嘆文の場合です。特に後者は「感嘆文の場合」と書きましたが、正直このカテゴリー分けは分かりやすくするために付けたものなのでより一般的に「強い感情が含まれている場合」みたいに捉えた方が生徒さんも柔軟に考えることができていいかもしれません。
提案・勧誘を示す場合
He said to me, "You should do more exercise."
He advised me to do more exercise.
これも対応する部分が同じ色になっています。基本的な形は「advise + 人 + to do」となります。もし直接話法のセリフの中身がより"勧誘"というニュアンス(例えばLet's … や Shall we ~ ?の文章の場合)はadviseの代わりにsuggest やproposeなどの動詞を使う必要があります。特にsuggestやproposeの動詞を使う場合は後ろにto不定詞ではなくthat節を用いますが、that節の中身で使う動詞は原形(もしくはshould + 動詞の原形)という形で書きます。結構忘れがちな文法事項なので生徒さんに教える場合にも強調しておいた方が良いです!!文法問題でも頻出です。なので下の例文のようになります。(上の例文を多少変えたものです)
He said to me, "Let's do exercise together."
He suggested to me that we (should) do exercise together."
shouldは省略可能です。
強い感情が表れている場合
上では「感嘆文」というように書いたので感嘆文の例文を紹介します。
He said to me,"How dirty your room is !"
He complained about how dirty my room was.
という形になります。ここでは「complain about」を使用していますが、別の表現でも問題はありません。例えば「叫んだ」という意味のexclaimを使っても構いません。
ここまで直接話法と間接話法の転換の話をしてきましたが、とにかく重要なのは「話者の立場になりきる」ということです!こういうと身も蓋もなく聞こえますが、「話者の立場になりきる」というのは時制の意味でもそうですし、最後に説明したケースのような感情面でもそうです。その都度一番合うものを選んでいけば自然に正しい解答を得られるようになります。ぜひ生徒さんにはたくさん練習問題を解かせてあげてください!!