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消費と余暇活動の大局的な流れを復習しよう!

高校生

2021/12/17

今回は地理の中でも身近な分野「消費と余暇活動」分野について紹介していきたいと思います。結構身近な例も使える分野だと思いますのでぜひ生徒さんに分かりやすく説明できるようにしておきましょう!

近年における消費生活の変化

そもそも商業には大きく卸売業と小売業の2つがあります。卸売業は生産者など他の者から仕入れた製品を小売業者や他の卸売者に販売する事業のことです。普段私たちが接することは少ないでしょう。一方小売業は、生産者や卸売業者から購入した製品を、最終消費者に売る事業のことです。難しい表現になっていますが、要するに最終消費者というのは私たちのことなので、普段の買い物先の店などは基本的に小売業者です。それぞれ以下のような場所で発達します。
 
卸売業…流通拠点となる中心都市で発達する
中心地機能が高い場所ということになります。中心地機能については別記事「都市についての重要テーマを完全解説!」を参照)
 
小売業…人口が多い場所
小売業に関しては、消費者が多い場所のほうが売上が高くなることは想像できます。 

従来(以前)の消費行動

従来は商品を3種類に分類して、それぞれについて主要な購入場所が決まっていました。

  1. 最寄品(食料品など)…近隣商店街 
  2. 買回り品(家具・電化製品など)…駅前商店街など 
  3. 高級品(時計や財布など)…大都市圏の都心(百貨店や専門店がある場所)

例えば高級品だったら三越みたいな百貨店に行きますよね?上の話は何となくイメージしやすいと思います。 

近年の変化①【ショッピングセンターの発達】

しかし、最近では上で紹介した消費行動は変わってきています。私たちが日常的にしていることではあるのですが、改めて振り返ってみましょう。近年の変化で大きいのは自動車の利用が増えたことです。いわゆるモータリゼーションの進行です。これは郊外の幹線道路沿いにショッピングセンターの発達を促すことになりました。ショッピングセンターの特徴は下のようになるかと思います。
 
ショッピングセンター画像
複合施設である…レストランやシネマコンプレックスを中に含む
 
駐車場が大きくて低層構造…主に地価の安い場所にあるからという理由があります。もし地価が高かったら立体式の駐車場にする必要性が高まります
 
ワンストップショッピング…週末などに一か所でまとめ買いできます
 
左図のようなショッピングセンターを思い浮かべていただければ良いと思います。実際に駐車場が低層構造になっていることが何となくわかるかと思います。 

 近年の変化②【コンビニエンスストア、通信販売の発達】

また最近ではライフスタイルの変化などもありコンビニエンスストアや通信販売が拡大しています。コンライフスタイルの変化とは例えば以前より女性の社会進出が進んだことや、フレックスタイム制の採用などがあげられます。こうした社会の変化に合わせ

  1. 多様な品揃え←POSシステム
  2. 小規模小店舗
  3. 長時間営業(年中無休)

といった特徴を備えたコンビニエンスストアが普及しています。上で書いたPOSシステムとは、店舗で商品を販売する際に、販売情報を記録するシステムです。私たちがレジに行くと、店員さんがバーコードを読み取ってピッ!とするかと思いますが、あれによって情報が伝達されています。これによって何が可能になるかというと、経営者からすれば製品の販売傾向を調査してマーケティングに活かすことができたり、在庫・発注管理がより精緻なものになったり、といったことです。 

次に、「消費と余暇活動」の余暇活動について取り上げたいと思います。「余暇活動」とは書きましたが、要するにみなさんもよくする「観光」のことです。今回は日本人がとってきた観光スタイルの変化について説明しようと思います。

現代の日本人の観光スタイルの変遷

ここでは1960年代からの日本人の観光スタイルの変化を説明していきます。 

 1960年代(高度経済成長期)

1960年代の高度経済成長期で日本人の観光は大きく変化します。この時期になると池田勇人の「所得倍増計画」に表れているように、国民の所得が増加します。1964年に海外旅行が自由化されたこともあって、観光は庶民にも可能になり大衆化するのです。大衆化したとはいえ、まだ経済的に余裕があるわけではないので、国内のそれも大型団体旅行が中心になってきます。60年代はいわゆる「団塊の世代」が若年層である時代であり、卒業旅行職場の慰安旅行など大型団体旅行が中心でした。 

 1970年代・1980年代


プラザホテル画像70年代の特徴は2つで、国内旅行の長距離化が進んだこと少人数のグループ旅行が増加したことです。国内旅行の長期化という意味では、1972年の沖縄返還も実は一因としてあったりします。またすでに70年代に入ると自家用車が普及していることもあり、グループ旅行、もっと言えば家族旅行も増えていました。80年代に入ると海外旅行ブームとなります。これはプラザ合意による円高が原因です。プラザ合意に関しては日米の貿易摩擦を原因として1985年に結ばれたものです。要するに円高ドル安に誘導する施策をとったことを理解しておけば大丈夫です。ちなみに右の写真がプラザホテルと言ってプラザ合意がなされたホテルになります。 

 現在について

それでは80年代が終わってから現在はどうなっているのでしょうか?80年代が終わって90年代初頭ではバブルが崩壊しました。それに伴い観光旅行が多様化し、特定の観光旅行が大きなブームを呼ぶことは少なくなりました。ここで現在どんな旅行が多いのか、統計を見ながら考えてみることにします。下の順位は日本人の海外旅行先(訪問者数順)です。

  • 1位:韓国 351万8792人
  • 2位:中国 351万8200人
  • 3位:アメリカ合衆国 324万9569人
  • 4位:ハワイ 145万2563人
  • 5位:台湾 143万2315人
  • 6位:タイ 137万1253人

となっています。(参照:http://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/kaigai.html)この表だとアメリカとハワイが別々の表記になっていますが、一緒にすれば1位となるのでご注意ください。こうしてみるとやはり近隣のアジア諸国が多いのが分かります。みなさんも感覚としてわかるかと思いますが、比較的短い日程でも行けるという点費用が安い点を理由に近隣アジア諸国への旅行が上位に位置しています。また6位のタイに注目すると、ここはもちろん旅行で行く人も多いかとは思いますが商用で訪れる人が大きな影響を持っています。日本企業の多国籍化が進むにつれて、タイにも多くの工場などが進出しました。すると必然的に仕事上でタイと日本を行き来する人数が増えるのは想像できるでしょう。 

いかがでしたか?今回の記事では「消費と余暇活動」分野について振り返ってきました。生徒さんには上記のような大まかな流れをまず頭の中に入れさせてから細かい暗記事項を紹介することをおすすめします!

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