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北辰テスト直前!過去問から見る出題範囲と対策方法

2021/12/17

こんなに違うの? 北辰テストと埼玉公立入試問題!

 

埼玉県で塾講師をしている方なら「北辰テスト」の指導は必須ですよね。北辰テストは、埼玉県で高校受験生のほとんどが受ける、唯一の模試です。それならば、公立高校入試問題とよく似ているはずだと思っていませんか。


ところが「北辰テスト」は、公立入試問題と全く傾向が異なります。その大きな違いは下記の3点です。

  1. 問題量 :北辰<公立入試: 制限時間の差以上に、量の差が激しい
  2. 記述問題:北辰<公立入試: 時間の問題だけでなく、解き方も違ってくる
  3. テストの目的:北辰は主に私立の「確約」を得るために機能する


これだけ見ても、かなりタイプの違うテストだと思いませんか?この違いを知らないままでいると、過去問指導に入る時や、入試が近づいた時に慌てることになってしまうかもしれません。
今のうちに、両者の
違いを詳しく確認していきましょう。


 

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違いその1:問題量:北辰<公立入試

 

まず、問題量が全く違います。

 

制限時間も北辰45分、公立入試50分と異なりますが、5分の差とは思えないほど公立入試の方が分量が多いのです。

たとえば、英語を例にとりましょう。設問数だけで比べても、北辰と公立入試は下記の差があります。
(※年度等によって多少の差がありますが、まずはざっくり掴んでみてください)

 リスニング:北辰:5問      公立入試:11問
 長文読解 :北辰:2題14問     公立入試:3題19問
 文法問題 :北辰:3問      公立入試:独立ではなし
 英作文  :北辰:独立ではなし   公立入試:5文英作文1問

リスニングが倍、長文が1題多く設問数もその分多く、独立の文法問題はないけれど、その代りに5文英作文…と設問数だけで見ても、かなり量が多いですね。実際に解いてみると、長文読解の問題文が長いので、トータルの分量は、設問数の違いよりも多いと考えた方が安全です。また、リスニングにかかる時間が相対的に長い(=筆記にかけられる時間が削られる)ので、リスニングが終わった瞬間から、早いスピードで解いていく必要もあります。



リスニングで時間を削られるのは英語のみですが、分量が多いという傾向は英語に限ったことではなく、5教科とも同じです。

 

公立入試の問題を、制限時間内にすべて解き、見直しが出来るようにするには、過去問を使ったトレーニング(問題慣れするための練習)が必要です。トレーニングをしていないと「問題を解く力」があったとしても、「制限時間内に解く力」がないという落とし穴に陥りがちだからです。

よくあるのが、長い英文を聞くリスニングに戸惑い、間違ってしまったと失速して、筆記で時間が足りなくなるケースです。問題に慣れていれば、たとえ解けなくても「しょうがない。リスニングでやり直しが効かないのはみんな一緒だ。次の問題でがんばろう」と切り替えることも可能になりますが、慣れていないと引きずってしまいがちです。

公立入試の過去問に、早めに取り組む環境を整えましょう。 

 

 

 違いその2:記述問題:北辰<公立入試


公立入試の方が、記述問題が多いです。先ほどの英語の例でも、5文英作文がありましたよね。それだけでなく、長文読解の中で「答えになる文を英語で書け/内容を日本語で書け」という形で、英作文・和訳の記述問題も出てきます。英語だけでなく、5教科ともに記述問題が多く見受けられます。 

 

また公立入試の国語には「200字作文」が課されています。配点は、100点満点中の16を占めています。部分点が期待できる設問でもあるので、「書けない」という失敗をするのは、なんとしても避けたいところです。
(逆に作文対策をすることで、国語が苦手な生徒が得点しやすくなる場合もあります!) 

 

これに対して北辰テストは、択一・並べ替えが多く、記述の場合もあまり長くなりません。北辰テストで作文が課されるのは入試直前号(第7回)で、字数が100字程度と控えめになっています。このタイミングで初めて作文に対応すると、後が大変です。 

 

記述が少ないからといって、テスト自体のレベルが低いわけでは決してないので、この点はお間違えないように!傾向が異なるテストへの対応には、それぞれ異なるトレーニングが必要だという文脈で、記述問題の差を捉えてみてくださいね。


また、事前の練習なしにいきなり作文を書くのは、講師にとってもハードルが高い場合がありますよね。中学生ならば、なおさらです。また、時間配分の練習が足りないと、本番で焦って、他の問題にまで悪い影響が出てしまう可能性もあります。より早い段階で、講師が記述対策・練習の機会を作りましょう 

 

 

違いその3:テストの目的


北辰テストは、公立入試に慣れるための模擬試験ではなく、主に私立の「確約」を得るために機能する試験だと筆者は考えています。このように理解しておくと、生徒や保護者に説明もしやすくなります。


※「確約」とは、埼玉県の大部分の私立高校で行われている制度で、入試前に「確約」を出すことを指します。私立高校の個別説明会などが、「確約」を出してもらう場となります。「確約」の基準は学校・学科で異なるので、北辰テストの個人成績表を持参して、各校の個別説明会等に参加して、直接その場で確認することが必要です。

 

公立高校が第一志望の生徒も、通常私立を併願をしますが、事前に「確約」を取っておくと、安心して2月の私立受験、3月の公立受験を迎えられるというわけです。また、一昨年度から、埼玉公立高校入試は前期・後期制度をなくしています。一発勝負に戻ったため、私立の「確約」制度利用が減ることはないでしょう。北辰テストは、私立併願をスムーズにするための試験と考えて、生徒の指導をしてください。

 

ちなみに埼玉県の中学3年生人口は約7万人 北辰テスト受験者数は5万人強です。これだけ多くの高校受験生が受けているからこそ、北辰テストは「確約」の基準として使われているのでしょう。

※北辰テストと「確約」については、はらぺこあおむしさんの
 「知ってる?北辰テストの秘密」もぜひご参照ください。

 

 

公立高校志望ならば、公立高校入試のトレーニングを!

 

中3になると、ほぼ毎月のように北辰テストを受けることになります。北辰テストと定期テストに追われる生徒は、無意識のうちに「北辰テストをがんばっていれば、入試はなんとかなる」と思ってしまいがちです。

 

でも、それは間違いです。タイプの違うテストには、それぞれ別のトレーニングが必要です。特に分量が異なり、出題傾向が異なる場合は、ある程度得点を見込める生徒でも、思わぬ結果になってしまうことがあります。


北辰テストで得点することと、公立高校入試で得点することにはギャップがあるのです。

 

大学入試ならば、センター試験と私大の試験は、それぞれ別に対応するのが当然と考えられていますよね。傾向の違うテストであれば、それは高校入試でも同じことなのに、なぜか見落とされています。中学校で指導されている形跡も、ほとんど感じられません。これは塾講師しか、教えてあげられない点なのかもしれません。

 

上記で北辰テストと公立入試の大きな違いを見てきましたが、ぜひ、実物で確認していただければと思います。講師であるあなたが、それぞれの過去問を解いて、公立入試問題と、北辰テストの傾向の違いをチェックしてみてください! 

 

時間的に可能ならば、2-3回分ずつ解いてみるのが理想的ですが、1回分でも違いを体感出来ればOK。生徒それぞれのこれからの学習に反映すべき点が具体的に見えてきます。生徒の習熟度に合わせて、早めにトレーニングをスタートしましょう。 

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過去問トレーニングは早めに!

 

たまに「過去問を解くこと」を「力試し」と考えている生徒がいます。でもこれはちょっと危険な考えです。失敗したらやり直しの効かない「力試し」と考えてしまって、本番直前になるまで先延ばししようとすることがありますが、直前にトレーニングが必要な部分が見つかっても、修正する時間が足りなくなってしまいます。 

 

過去問を解く本来の目的は、そのテストの傾向に慣れることと、制限時間内に解くための、時間配分のトレーニングを積むことです。過去問が全く解けない(=基礎が全く積み重なっていない)場合は、トレーニング開始に慎重になる必要がありますが、ある程度基礎が固まってきたら、傾向をつかむ練習としてスタートするべきだと筆者は考えています。その際は、やや古めの過去問から使い始めるとよいでしょう。 

 

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