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ある元講師のフィリピン留学[講師目線編1]

2021/12/17

はじめに

 私は以前フィリピンへ英語を学ぶために留学したことがあります。フィリピンでの英語の授業の多くは欧米とは違いマンツーマン授業が多いのです。私の場合は全8コマの授業のうち6コマがマンツーマン授業でした。そこでのマンツーマン授業はまさに日本の個別指導そのものだったのです。4年間日本で個別指導講師として働いていた私は、ほかのどの生徒よりも日本の個別指導との違いに目が行きました。日本がよいところもあればフィリピンがよいところもありました。なかなか、塾講師を経験してから自らが個別指導塾で教わるということは少ないと思います。そのような経験からぜひ日本の多くの塾講師(特に個別指導塾講師)の皆さんにこの経験を伝えたいと思い今この記事を書いています。私はもう塾講師ではないのでここで経験したことを活かすことはできません。しかし、この記事を通じて一人でも多くの講師が何かを感じてくれたら非常にうれしいです。

 なおこの記事は私が実際に経験したことを基に書いている経験談です。すべてがその通りというわけではありません。フィリピン留学のあくまでひとかけらです。また、この記事はフィリピン留学について書いているものではありませんので予めご了承ください。

生徒は講師をしっかり見ている

 生徒は講師のことをよく見ているなと再認識しました。フィリピン留学中は毎日のように多くの友達と講師についての情報交換をしていました。ここでは講師の教え方や授業スタイル、さらに性格やしぐさまで多くの情報が飛び交っていました。また、その情報を基に自分の授業や講師を客観視して考えて講師を変える生徒も多くいました。変更する講師を決めるのも講師についての生徒の感想でした。このように、生徒は生徒で様々な情報を基に講師を決めているのです。

授業スタイル

 上記で生徒が講師を変える理由や講師を選ぶ理由を述べました。ここでは一つの体験談から講師変更について考えたいと思います。

 私の友達からの話です。その友達はあまり英語を話すことができていませんでした。英語を話したいという思いでフィリピンに来たのです。その初めての授業日の文法の授業でした。その講師は非常に優秀な講師で若干20歳にして私たちの学校の講師となったといいます。また、授業の教え方や知識はおそらく1位2位を争う講師であったのです。しかし、一つ大きな問題がありました。それは厳しいということです。かなり厳しいようで、私の友達は最初の授業なのに発言するのが怖かったと言っていました。なぜこの問題が分からないのか?発音が違いすぎる。なぜこんな簡単な単語も聞き取れないのかなどと言われたようです。また、少し性格も良くなく、英語が話せないことに関して少し馬鹿にしたようなしぐさをとったらしいのです。そのためこの友達は1日目にして講師の変更を願い出ていました。ただその後一度だけ教えてもらったことがあったようですがその際にはさすがの授業と言っていました。

 性格が悪いのはどうにかするべきというかよくないことなのですが(生徒によって性格をがらりと変えるなんていうのは最悪です)この最初の印象と後の印象の話は講師の役割というものについて考えさせられました。この講師はある意味かなり上級者向けの講師だったのです。友達も英語に慣れてきて少しずつ話せるようになってからはこの講師の良さを理解できたのです。(ただ最初の印象しかないので決していいとは思わなかったようですが…)

 自分はどのようなタイプの授業スタイルでどんな生徒にあっているか考えたことはありますか?講師には得意なタイプの生徒がいると思います。もしそのような生徒でない生徒が担当になったとすると講師変更が行われる可能性があります。私の塾でも担当していた生徒が他の講師の担当生徒になるということがありました。その際に変わった講師はかなりショックを受けていました。しかし、上記の経験から考えると自分の役割と生徒が合わなかったという可能性が大きくあると思います。変更されたことをすべて役割が合わなかったと考えてしまうのはナンセンスですし、成長が一切ありません。しかし、しっかりとなぜ変更したのかの分析を終わらせた結果が合わなかったとなるならばいたしかたないと思います。落ち込むのもほどほどにして自分にあった生徒の担当講師になれるように教室長に話すなどするようにしましょう。

とにかく楽しく

 これはフィリピン人と日本人の違いかもしれませんがとにかくこちらの先生は楽しそうに授業を行っています。私のボキャブラリーの先生はよく授業中に歌っています(笑)。私は特にいやとは思いませんし、むしろ楽しそうでこちらまで楽しくなってきます。とにかく笑顔が多いです。常に笑っているので話しやすく、親しみやすいです。また、こちらの質問に対しても大げさに反応をしてくれます。少しいつもよりもいい点数を取っただけなのに、すごく良くできたとほめてくれます。それだけのことなのですが、私は非常にいい気になるのです(笑)また、休み時間中もとても楽しそうでいつも生徒と話していますし、または仲の良い講師の部屋に行っておしゃべりをしています。

 これらはもちろんホスピタリティー豊かで楽しいことが好きというフィリピンの国民性が影響していることも多いのかもしれませんが、塾講師としてとても重要なことだと思います。自分が楽しそうに授業ができなければ相手にも楽しいと思ってくれないでしょう。先ずは自らが楽しそうに教えることで嫌いな教科でも生徒は頑張って勉強しようと思いますし、楽しく勉強できるのではないでしょうか。

また、大袈裟に褒めるというのも非常に重要です。私もですがほめられていやになる人はいません。また、私のようにほめられると余計に頑張ろうと思う人もたくさんいるともいます。ほめることで生徒がやる気になってくれるのであれば私たちはほめなければならないでしょう。ほめることも講師の立派な仕事だと思いますし、ほめることのできる講師は非常に良い講師だと思います。

 最後は楽しくということです。生徒との会話を楽しむのでもほかの講師との会話も楽しむのでも、自分の職場を楽しくする一つの方法だと思います。生徒と仲が良くない、ほかの講師とまったく話さずにいつも一人なんて職場には行きたくなくなります。行きたくない職場に行かなといけないとなると、自然と気持ちが暗くなり楽しい授業ができなくなります。自分の働く場所を楽しくすることは自分自身のためにもなりますし、生徒のためにもなるのです。

おわりに

 最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも皆さんの講師生活のお役に立てたでしょうか。塾講師を経験してその後に自らが生徒となり個別指導を受けた人は村内多くないと思います。塾講師を経験しているからこそ気づいたことも多くありますし、チェック項目も厳しくなっています(笑)。私はもう活かすことができませんが、この記事を通じて少しでも多くの講師のお役に立つことができれば光栄です。

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