今回の記事では生徒さんに動名詞を完全にマスターさせてあげられるように動名詞に関する様々な役割、注意事項を振り返ってみます。
動詞のing形
動詞のing形には2つの用法があります。
(1)進行形になるもの(現在分詞)
She is running. 彼女は走っている
I am eating lunch. 私は昼食を食べている
(2)〜すること(動名詞)
動名詞は文中で3つの役割ができます。
1.主語になる。 2.動詞の目的語になる。 3.前置詞の目的語になる。
では、この3つの役割について、細かく見て行きましょう!
動名詞の3つの役割
動名詞は動詞を名詞にしたものなので、基本的には全て「〜すること」と訳せます。また、動名詞単独ではなくほかの語とセットになって使われることがほとんどです。
1.主語になる
Watching TV is a lot of fun. テレビを見ることはとても楽しい。
主語として用いる場合は、「〜することは」と訳されます。中学範囲では、「動名詞+is+形容詞」の形で使われることが多いです。
<練習問題>()内に動名詞を入れよう
[1] ( ) breakfast is easy for Yumi. 朝食を作ることはユミにとって簡単だ。
[2] ( ) books is important for us. 本を読むことは私たちにとって重要です。
[3] ( ) a piano makes me happy. ピアノを弾くことは私を幸せにする。
<答え>
[1]Making[2]Reading[3]Playing
2.動詞の目的語になる
I like watching TV. 私はテレビを見ることが好きだ。
「主語+動詞+動名詞」の形を取り、「〜することが」「〜することを」と訳されます。
<練習問題>()内に動名詞を入れよう
[1]Ken started ( ) the book two hours ago. ケンは2時間前にその本を読むことを始めた。
[2]Yumi finished ( ) breakfast ten minutes ago. ユミは10分前に朝食を作ることを終えた。
[3]I enjoyed ( ) abroad. 私は留学することを楽しんだ。
<答え>
[1]reading[2]making[3]studying
3.前置詞の目的語になる
Yumi study English before making dinner. ユミは夕食を作ることの前に英語を勉強する。
※前置詞・・・in, on, at, with, without,after, beforeなど
「前置詞+動名詞」の形をとります。
<練習問題>()内に動名詞を入れよう
[1]I’m interested in ( ) books. 私は本を読むことに興味がある。
[2]Ken left home without ( ) breakfast. ケンは朝食を食べずに家を出た。
[3]On ( ) home, he heard a sound like a gunshot. 家に着くとすぐに、彼は銃声のようなものを聞いた。
(on doing : ~するとすぐに、~すると;やや堅い表現。)
<答え>
[1]reading[2]eating[3]getting
動名詞の否定
not, never などの語句を動名詞の直前に置き、動名詞を否定します。
I insisted on going there. 私は、そこへ行くと主張した。
↓否定すると…
I insisted on not going there. 私は、そこへ行かないと主張した。
動名詞の意味上の主語
動名詞の前に所有格(my, your, her, his, our, its, ~’s)か目的格を用いると、意味上の主語を持つ動名詞を作ることができます。
例) her studying English 彼女が勉強するということ
意味上の主語を示す必要が無い場合
意味上の主語が、世間一般の人・文の主語・述語動詞の目的語などの時は、動名詞の意味上の主語を省略します。
Seeing is believing. (見ることは信じることだ。=百聞は一見にしかず。)
※Seeing, believing ともに、「一般の人」が主語なので、意味上の主語を示す必要なし。
He started writing a letter to her. (彼は彼女に手紙を書き始めた。)
※(彼が)手紙を書く ⇒「文の主語に一致」するので、これも意味上の主語は必要なし。
意味上の主語を示す必要がある場合
He is proud of his father's being rich.
(彼は父親がお金持ちであることを自慢している。)
Do you mind Taro coming too?
(太郎も来てもかまいませんか?)
that節への書き換え
動詞の目的語、前置詞の目的語になる動名詞の中には、that節に書き換えられるものがあります。
例えば、insist on ~ はinsist that ~ というふうにonをthat節に変えても同じ「~を主張する」という意味になります。
I insisted on going there. 私は、そこへ行くと主張した。
I insisted that I would go there. 私は、そこへ行くと主張した。
それでは、実際に練習してみましょう
[問題]次のthat節を、前置詞を用いた文に書き換えてみましょう
(1)I’m proud that I am not late for school.
※be late for ~ 「~に遅れる、~に遅刻する」
(2)She is afraid that we won't go with her.
※won'tはwill not「~しない(でしょう)」の省略形。
[答え]
(1)I’m proud of not being late for school.
私は、学校に遅刻しないことを誇りに思っている。
(2)She is afraid of us(our) not going with her.
彼女は、私達が彼女と一緒に行かないことを恐れている。
動名詞と不定詞
上で書いたように動名詞は動詞の目的語になると学習しましたが、動名詞(~ing)を目的語にできる動詞、不定詞(to do)を目的語にできる動詞は決まっています。きちんと覚えておきましょう。
注意すべきこととして、stop ~ingとstop to doがあります。
「あれ、stopは動名詞しか目的語に取らないって書いてるのに…」
と思った方もいらっしゃると思いますが、「やめる(動作を中断する)」という意味では動名詞しか取りません。
He stopped to laugh. のようにstop の後に不定詞が来るのは、stop 自体が自動詞として使われていて、「止まる、立ち止まる」という意味だからです。
この場合の不定詞は、副詞的用法<目的>で、stop という自動詞を修飾しています。
動名詞と不定詞で意味が異なる動詞
stopの例と同様に、動名詞と不定詞で意味が異なる動詞は他にもあります。
法則があるので確認しておいて下さい。
動名詞⇒すでに「済み」の状態を表します。
不定詞⇒「未だ」終わっていない状態を表します。
remember ~ ing :(すでに)~したことを覚えている (済み)
remember to do ~ :(これから)~することをおぼえている (未)
forget ~ ing :(すでに)~したことを忘れる (済み)
forget to do ~ :(これから)~することを忘れる (未)
try ~ ing :試しに~してみる (済み)
try to do ~ :~しようとする (したかどうかは不明)
regret ~ ing :~したことを後悔する、~を残念に思う。(済み)
regret to do ~ :残念ながら~ (未)
「受身」の意味を表す動名詞
「 need ~ing 」,「 want ~ing 」は、主語と~ing が受動関係にあります。
(「主語が~される」という関係。)
The tree needs cutting. (その木は切る必要がある。)
= The tree needs to be cut.→主語が〜される(木が切られる)
My car wants mending. (私の車は修理する必要がある。)
= My car wants to be mended. →主語が〜される(車が修理される)