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【高校数学】数学が苦手な生徒の指導法

高校生

2021/12/17

数学が苦手な生徒の教え方

長年塾講師として働いていると、色々な生徒に遭遇します。勉強が嫌いな生徒、部活との両立を頑張っている生徒、塾が大好きな生徒などなど。

そんな中、非常に多くの生徒に共通していることの一つとして、【数学が苦手】という点が挙げられます。

もちろん、こういった生徒は中学生にも多いのですが、高校生となると、その割合は驚くほど大きくなります。

今回は、その中でも特に苦手な生徒を対象とした指導法をお伝えしたいと思います。

 

「数学が苦手な生徒」ってどんな生徒?

上述の通り、数学に苦手意識を感じている高校生は非常に多いです。だって高校になると急に難しくなりますもんね(笑)ただ、今回は「苦手意識を持っている」ではなく、「本当に数学ができない!」という生徒を想定してお話ししていきます。

では、「本当に数学ができない」生徒とは、どのような生徒なのでしょうか?ここでは、数学を「機械的にやってしまう」生徒としておきます。問題文の意味を考え、設問の意図を読み取り、次の手を考えるということがどうにもできないのですね。こういう場合、一度教えたことは身についていると講師が判断してしまうと、結局テストで何もできないということになってしまう可能性大です。

ではテストで点をとれるようになるにはどうしたら良いのか。

それは、”できる問題を地道に増やしていく”ことです。

数学が本当に苦手な生徒は、基本的に初めて見る問題はできないと認識しておいた方が良いです。解き方を知らないわけですから当然ですね。とすると、解き方を覚え、一つ一つ身につけていくことこそが、最も現実的で確実な道だといえるでしょう。

 

できるようになるには

以下の4点をお伝えしたいと思います。

基礎の基礎を叩き込む!

まずは、基礎の基礎を定着させましょう。具体的には、公式を覚えることと、基本的な計算を習得することです。公式を使いこなし、計算が目をつぶってでもできるようにならなければ、その先の思考はできません。

以前私の担当していた生徒に、「数学がどうしてもできるようにならない」「色々な塾や教材を試してみたけどなかなか結果に表れない」という高校生が何人かいました。しかし、他教科はそれほどできないわけではなく、勉強自体が全くできない子とは思えませんでした。そこで、試験の答案を分析したり、授業で問題を解かせたりとしていく中で、「できると思っていた基本問題ができない」ということが多いということがわかってきたのです。それはなぜか。基本が固まりきっていないからです。基本的な計算がおぼつかないから簡単な計算ミスを繰り返し、基本の部分に気を取られてしまうがためにその次のステップに頭が回らないのです。つまり、どの分野を断片的に学んでも、土台がしっかりしていない以上、その上に積み上がるものは限りなく小さかったというわけです。因数分解がスラスラできない生徒には二次関数はできないですよね。

苦手な生徒ほど、ここに時間をかけてください。公式、計算に関しては、試験まで毎日のようにやらせるようにすることをオススメします。到達点は、何も考えずとも解ける状態になることです。

 

少しずつ難易度を上げていく!

基礎の基礎が固まってきたら、少しずつ難易度を上げていきましょう。ここで注意して欲しいのは、あくまでも”少しずつ”という点です。基本的な典型問題においては、計算の前に、設問を捉えるという作業が必要になります。これを一問一問ていねいに仕上げていくことによって、少しずつ解ける問題の幅が広がっていきます。これを継続することで、次第に応用問題にも食らいつけるようになっていくでしょう。いきなり難易度を上げてしまうと、理解するまでにかなりの時間を費やすことになってしまうので、かえって遠回りです。焦らず地道にやっていくことこそが、一番の近道なのですね。

 

こまめに小テストを!

小テストには、主に以下の二つの目的があります。

一つは、実際に何の補助もない状態でどれだけ解けるかを確認するためです。授業中等は、理解したときの記憶が残っているため解きやすい状態ですし、自宅で学習するときも、問題集の構造的にどのような問題であるか見当がついてしまいます。これらが「テストになるとできなくなる」ということの主な原因です。そこで、授業の度にランダムで小テストを実施することで、仕上げとしての練習になりますし、そのときの実力、弱点を知ることもできます。方法は何でも構いません。チャート式問題集から基本例題をランダムに出題しても良いですし、学校でよく使われる準拠問題集から出題するのも良いでしょう。ここで重要なのは、予めどのような問題であるか等のヒントは一切与えないことです。あくまでも”何もない0の状態”から解ききる実力があるかどうかをはかるものなので、ここは妥協せずにいきましょう。「小テストで解く」ということを目的にしてしまわないように!

もう一つは、勉強のモチベーションにするためです。こまめにハードルを設定することでそれが地道な努力の目標になりますし、実際に”できる”という大きな達成感を得ることもできます。実際私の生徒でも、「小テストで満点をとりたい」「絶対間違えたくない」という気持ちを持って小テストに臨んでくれたケースが多かったです。試験で点をとるという大きな目標があったら、そこに至るまでの小さな目標となるものを細かく設定していくと、最終地点を見失うことなく頑張りぬけるのですね。また、「明日には解けるようにしておこう」という気持ちで復習してくる生徒と「とりあえず解いておこう」という生徒を比べたら、復習の質が大きく変わってくるのは明確です。小テストという小さなハードルが、勉強にメリハリをつけてくれます。

このように、授業の最初にちょっとしたひと手間を入れるだけで大きな学習効果が期待できますよ!

 

とにかく褒める!

 苦手な生徒ほど、なかなか自分に自信が持てないものです。できないのが当たり前、怒られるのが当たり前な生徒は、できるということの喜びをあまり知りません。だからこそ、できるようになったときには全力で褒めてあげてください。その生徒が成し遂げたことの偉大さ、そこに至るまでに行ってきた努力を認めてあげることで、生徒の達成感は何倍にも膨らんでいくでしょう。ちょっとした変化だとしても、生徒の成長が見られたときはしっかり認めてあげてくださいね。

褒められて成長する人、怒られて成長する人といるとは思いますが、どちらにせよ人は褒められると嬉しいものです。実際私は小中高とずっと同じスポーツを続けていましたが、よく怒られ、その度に悔しさをバネに努力をしてきました。そういう意味では私は”怒られて成長するタイプ”なのかもしれません。しかし、そのような人ばかりではありませんし、私の努力の動機は決して”怒られること”だけではありませんでした。つまり、うまくいったときの喜び、それを認めてくれる人がいたからこそ、頑張りぬくことができたのです。”褒める”ということは、皆に共通する成長の糧なのですね。苦手な生徒こそ、「数学ができることの嬉しさ・達成感」を大いに味わってもらえれば、次の成長に繋がることと思います。

 

おわりに

以上が、数学が本当に苦手な生徒に対する指導上のコツです。もちろん、そう簡単に力がついていくわけではないとは思いますが、そんなときは、焦らず基礎から地道に取り組んでいってください。どんなに苦手でも、一定のレベルまでは必ずできるようになります。ぜひご参考にしていただきたいと思います。

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