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考えてみよう、先生と生徒の関係=師弟の関係

2021/12/17

先生と生徒は師弟の関係であるべき

塾講師は生徒と親密な関係を結ぶことになります。

個別指導であれ、集団指導であれ、生徒からしたら皆さんは立派な社会人ですし、立派な講師として認めることになります。

ところで塾講師の役割の一つに、生徒の良き相談相手になることが含まれています。しかしそれはあくまで補助的な目的に過ぎず、あくまで授業を通じて生徒の成績を上げることが第一の目的であることを忘れないで下さい。

第一の目的から外れることなく、その上で生徒と良好な関係を築くためにはどうしたらいいのかの考察を、本稿にまとめてみました。

 

生徒との関係が良好であるときのメリット

まず生徒との関係が”適度に”良好であれば、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

・  言うことを信じてくれる

まず、関係が構築されていなければ、言うことを信じてくれなくなります。いきなり見知らぬ講師(信頼していない講師)が、自分の成績について、自分の将来について何かありがたい話をしたとしても、生徒との関係が構築されていないと、何ら耳を傾けてくれません。

・  情報を提供してくれる

私が思いますに、これが関係構築の一番のメリットだと思います。というのも、講師が知っておいた方がよい情報というのは、あまりもたくさんありすぎて、それを1つずつ生徒からヒアリングするのは骨が折れるからです。けれど成績を向上させるためには、生徒のコンディションを考慮する必要があります。生徒との関係を構築しておけば、学校の行事はどうなっているのか、次のテストいつなのか、最近機嫌がいいのか、悪いのか、そういった細かいところまで、全部生徒自身から話してくれるようになります。

・  授業が楽しくなる

生徒との関係を構築しておくと、自分が授業をするのが楽しくなります。だって仲の良い、しかも自分よりいくつか年下の子が自分を頼ってくれるわけですからね。何らかの愛着が湧くようになり、その子のために良い授業をすること、良い戦略を立てることの苦労を厭わなくなります。

 

 生徒との関係が良好”すぎる”ときのデメリット

逆に関係が良好”すぎる”とどのようなデメリットが生まれるでしょうか。

・  慣れ合いになり、言うことを聞いてくれなくなる

関係を良くしようとして、それをやりすぎると慣れ合いになってしまいます。皆さんの授業はそのようになっていないでしょうか?授業の半分近くが雑談になってしまったり、あるいは説教だったり。本来関係構築は生徒の成績を上げることを第一とすべきなのに、なぜか関係構築が妨げになっている事例は少なくないかもしれません。

・  講師自身が、生徒との会話の楽しみを優先しがち

先ほどの話に関連しますが、講師と生徒の関係がよくなると、やはり講師も人間ですから、生徒と雑談している方が楽しくなってきます。授業後には生徒に自習を進めたほうがいいのに、カウンターや廊下で、1時間以上の雑談をする場合も。講師にとっては、それは生徒との関係構築のために、あるいは生徒の愚痴を聞くためにと思ってやっているのかもしれませんが、それ以上に大切なことは、そういったことを早々に解決して、早く自習するようにと勧めることでしょう。

 

ほどよい良好さとは?

あまり仲良くすぎる、けれどもある程度は仲がいい関係というのは、誰しもが認めることだと思います。ではそのような関係とは、どのようなものなのでしょうか?

これは塾講師にかぎらず、学校教員にも言えることかもしれませんが、

師弟の関係

がベストです。なんか当たり前とか言われそうですが、具体的にはこんな感じです。

 

生徒は先生を友達とみなすことはありません。遊び相手としては不足だなぁと思うし、一緒にゴハンを食べることさえ遠慮したいと思う。けれども、自分の進路とか、勉強とかについては本当に信頼できるから、是非相談したいと思う。一方先生は、生徒を可愛がりはしますが、内面ではどこかで生徒に対して冷静な評価を下している。このまま行くと、受験に落ちるんじゃないか、とか。そういった厳しいところまで容赦なく考えることができること。

要は、冷めた関係です。お互いを遊び相手として必要としない程度の関係がベストです。さらに言えば、「仲がいい」というわけでもありません。けれども生徒は講師を信頼し、講師は生徒に愛着がある。そんな状態を作り出せばよいのです。

けれどもこれだと、さきほど生徒との関係構築のメリットで挙げた2つ、「授業の楽しみ」と「情報提供」がなくなってしまいそうです。けれどもお互いの信頼関係が成立している限り、それがなくなることは決してありません。

 

情報提供について

情報提供は必ずしてくれます。なぜなら、生徒は先生を信頼しており、できることならお話はしたいと思っているからです。信頼している人とお話したくない人なんていません。けれども、そこには、「先生にとって有用な話をしよう」という意識が働いてしまう場合があります。だって先生をある意味尊敬しているのですから、余計な話をしようとすることを避けたがるのです。

だからこそ講師は、その心の壁を打ち破る必要があります。生徒が何か話をしてくれるときには、それをきっかけにどうでもいい話を振ってあげてください。そしたら色々な話をしてくれます。

けれどもあまりやりすぎると、生徒は先生である皆さんに馴れ馴れしくなってくるので、適度なところでやめます。

 

授業の楽しみについて

今までの話では雑談について語弊がありましたが、授業を通じて雑談することは決して否定しません。適度に、休息として雑談することは大いに奨励すべきです。あくまで師弟の関係を維持しながら。すると授業でちょっとした雑談をすることは、やっぱりちょっと楽しみになりますし、そこから生徒が、自分を信頼してくれていることを感じると、やはり授業に身が入るようになりますし、それが授業の楽しみになりますから、消えることはありません。

 

先生のあるべき姿とは?

では師弟の関係を築くためにはどうしたらいいのでしょうか?

まずは、生徒の今後の将来、あるいは勉強の進め方についての支配権は全て先生が握っているかのように見せるのです。

言い方が悪いのかもしれませんが、師弟の関係を築くためには、まずはこちらが圧倒的な優位に立っていることを知らしめる必要があります。

保護者との連絡手段を持っていること。生徒の宿題の量の決定することが出来ること。進路指導に関与していることなどなど。意外に一番効くのは、生徒の情報をきちんとこちらが把握していることかもしれません。生徒の家族は何人なのか、誕生日はいつなのか、将来の夢は何を考えているのか。あらゆるところから情報を仕入れて、「こちらはあなたの状況を全て知り尽くしている」とシグナルを送ることで、支配権をちらつかせることも可能です。

次に、自分が優秀であることを見せつけてください。支配権を知らしめたとしても、その支配者が優秀であると思わない限り、生徒の心には反発しか生まれません。無能な暴君に支配されて抱く感情は、大人でも子供でも同じです。

優秀であることを見せつける方法もなんでもいいです。

英語であれば、異常な発音のうまさや、英文の構築力、英語長文の読解のスピード、とにかく見せつけてください。数学であれば計算スピードや問題解決の方針を見つけるスピードが大切です。国語であれば、ストーリーの解釈のスピードとその説明力。具体例を添えながら説明してあげると感銘を受けてくれるでしょう。

逆にいえば、先生の問題を解くスピードとかが遅いように感じられてしまうとアウトです。あるいは問題がよくわからないということで答えを見てしまうとそれもアウトです。

 

意外に細かいところかもしれませんが、生徒は皆さんを常に評価しています。

 

最後に、皆さんがフレンドリーな人であることを見せてください。支配権を握られ、その上優秀であると生徒が思うと、警戒してあまり近づきたくないと思い始めます。ですから講師自身がフレンドリーであることを見せて、生徒が安心できるようにしてください。私の個人的な経験で一番効くなと思ったのは、ボケることです。ミスをあえてすることです。さきほどの優秀であることの話とは矛盾しますが、生徒が講師にツッコミ(というか指摘)することができる場面をある程度作っておくと、生徒がけっこうノッてくれますし、安心します 。

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