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【英語講師必読】あいまいな理解はNG 分詞構文の教え方

高校生

2021/12/17

分詞、分詞構文では区別が重要

今回は分詞です。分詞は英文法のなかでは極めて厄介なものだと思っている生徒が多いですが、しっかり理解すれば、これほど実用的なものはありません。英作文にもすごく役立ちますし、長文内に急に出てきても、いちいちかまえる必要もなくなります。

分詞と分詞構文は現在分詞と過去分詞を区別できるかどうかが最大のポイントになります。まず、分詞の主体が何かを把握することです。その主体と<する/される>の関係を明確にすれば、現在分詞と過去分詞を正しく判別することができます。では、具体的な内容に入っていきます。

分詞は能動、受動の区別が頻出

準動詞の中でも、形容詞の働きをする分詞と、副詞の働きをする分詞構文は特に重要です。よくこの分詞と分詞構文を混同してしまう生徒がいるので、講師の方はきちんと区別して指導することを心がけましょう。

それでは、分詞の学習から始めましょう。分詞には現在分詞形と過去分詞形があります。現在分詞形は<能動/進行>を表す、つまり<する/している>という意味の形容詞を作る場合に使われます。また、過去分詞形は、<受動/完了>を表し、<される/された>という意味の形容詞を作る場合に使われます。生徒は比較的、受動などの文法用語を嫌う傾向にあるので、このように簡単な日本語に置き換えてあげると、理解しやすいと思います。なるべくできるところは簡単な言葉で。これは英文法を教えるときの鉄則です。

受験では、この現在分詞と過去分詞の区別が頻出となります。するという能動の意味がある場合にはVing形の現在分詞形を、されるという受動の意味がある場合はVpp形の過去分詞形を選択すればよいということになります。一見簡単そうですがここからが厄介なのです。

<する/される>は英文の文脈で考える

<する/される>というのは、何を基準に、何を主体にするかによって、まったく異なってきます。例えば、私がリンゴを食べたという文があったとします。私を基準とすれば、私は食べるほうであり、リンゴを基準とすれば、当然食べられるほうということになります。

日本語はこのあたりをあまりはっきりさせない言語なのですが、英語では行為を与える側と、受ける側をはっきりと示さなければなりません。よく生徒は日本語から逆算して、この<する/される>を決定してしまう傾向にありますが、実はそのやり方だと、いつまでたっても分詞の問題に対応できるようになりません。ほとんどの英語の問題を生徒は訳して考えると思いますが、分詞の問題ではそれが、悪い方に働いてしまいます。

なので、英文の中で、何を主体、基準にして、<する/される>を決定すればよいのかをしっかり生徒に覚えさせましょう。これに関しては言葉より簡単な図で教えた方が確実に生徒の理解力は高まります。

次の形で出てきたら、名詞の部分がするか/されるかに着目する

 

①付帯状況のwith

with  名詞 (Ving)

                     (Vpp)

②分詞が前から名詞を修飾する場合

(Ving)     修飾    

(Vpp)   ➡  名詞

 

③分詞が後ろから名詞を修飾する場合

 

名詞  修飾  (Ving)

                   ←        (Vpp)


では、生徒の理解力を高めるために一問問題を解かせましょう。

We can not go across the river with the bridge <1 breaking/2 broken>.

<答え> この英文の訳は<橋が壊れているので、川を渡ることが出来ない>となりますが、先程申し上げたように、日本語から逆算して1 breaking を選んではいけません。上の表の①の通り、この形が出てきたら基準として見るのは前の名詞のbridgeですね。breakは壊すという意味ですから、基準の橋が壊すのか壊されるのかと言うことを考えます。

当然、橋は壊されるほうなので、過去分詞形の2 broken が正解となります。

 

分詞構文

分詞が理解出来たら、次は分詞構文です。分詞構文においても、分詞の時のように基準をとらえて区別することが重要です。

分詞構文にも、現在分詞形と過去分詞形があり、現在分詞形の場合には<する>、過去分詞形の場合には<される>という意味があります。分詞構文は副詞的な働きをして、<ので;とき;ながら;けれども;ならば;そして~する>など多くの意味を持ちますが、これらの意味を生徒におぼえさせる必要はありません。これらの意味は文脈から柔軟に決定すればよいのです

それよりも、問題でいつも問われるのは、これもまた現在分詞形と過去分詞形の区別です。分詞構文の問題で現在分詞か過去分詞かを決定するには、いったい何を基準にすればよいのかを説明していきます。ではまず、この例文を見てください。

<1 Seeing/2 Seen>from a plane, that mountain looks like a human face.

問題形式の例文となってしまいましたが、その方がわかりやすいと思います。この英文を訳すと<飛行機から見ると、あの山は人間の顔のように見える>となりますが、この<見る>という日本語から逆算して、現在分詞形の1 Seeingを選んではいけません。この部分は最初に説明した分詞の部分と同じです。普通に文を日本語訳してそのまま答えたはいけないのです。

実は、分詞構文の問題を解くときに基準となるのは、原則として主文の主語なのです。主文とは文章中の主な部分のことです。上の例文はカンマで二つに文が分かれています。当然この文が言いたいことは、カンマの左の部分ではなく、右の部分です。主文の主語が<する>場合には現在分詞形、<される>場合には過去分詞形を選ぶのです。上の文で言うとカンマまでの文が分詞構文の文であると教えるといいと思います。文と言うのは基本句点までのことを言います。ですが、上の文を説明する際は、カンマより左の部分が分詞構文の文、右の部分が主文であるとくっきりと分けてしまった方がいいのです。分詞構文の文では主文に注目すること、これを聞いただけでは何で文が二つあるのかと、生徒は混乱してしまいます。なのでこの部分を教えるときは先程言ったように何の文はどこまでで、どっからが何の文でと区別して指導してください。

ここでは、主文の主語のは飛行機の中の人間から見られるほうなので、答えは過去分詞形の2 Seenです。先程の分詞では直前、または直後の名詞を基準としましたが、分詞構文では問題から少し離れた部分が基準となります。生徒にしっかり区別させるため、分詞構文を教えたあとは分詞の問題もついでに一つ解かせましょう。

分詞構文が主文より過去の時制なら完了形にする

分詞構文において、一つ気を付けなければいけないことがあります。それは、能動の意味を持つ現在分詞形の分詞構文に限ったことですが、主文の時制と分詞構文の時制が同じ場合、単なるVing形を使って、分詞構文を表現することが出来ます。しかし、分詞構文が、主文の時制よりも前の時制の出来事を表している場合には、having Vpp という形の完了形の分詞構文を使わなければならないのです。下の文を見てください。

Having slept well yesterday, I feel better today.

昨日よく眠ったので、私は今日気分がよい。

この英文では、気分がよいのは今日ですが、分詞構文で表現されているよく眠ったという部分は昨日、つまり過去のことです。このように、分詞構文がその時点より前の時制を表す場合には、having Vppという形の完了分詞構文を使うのです。この部分は生徒も講師の方も忘れがちな所です。しっかりと指導してください。

入試頻出

最後に分詞構文を用いた慣用表現をチェックします。これらは主語や時制に関係なく使われるので、単純にイディオムとして生徒に覚えさせてください。

judging from~           ~から判断すると

considering~        ~を考慮にいれると

speaking of ~         ~と言えば

strictly speaking~       ~厳密に言えば

frankly speaking~       ~率直に言えば

generally speaking~      ~一般的に言えば

 

 

 

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