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どうすればプロ講師になれるのか?〜プロ講師の具体的ななり方〜【キャリアコラム#10】

どうすればプロ講師になれるのか? 〜プロ講師の具体的ななり方〜

こんにちは!国語科講師の中林です。

過去4つの記事ではプロ講師の資質や私が実際行っているプロ講師としての働き方についてお話ししてきましたが、では実際にプロ講師になる為にはどのような方法があり、具体的に何をすれば良いのかについて今回はお話し致します。

この業界にはほとんどマニュアルが無いので、新たに夢を持ってプロ講師として頑張って行こうと思っている方への参考になればと思います!


中林 智人 なかばやし ともひと

高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。 


 

目次
プロ講師になると決めたら最初に考えること
「プロ講師募集」に応募する際の注意点
塾か、予備校か
紹介/コネ入社について
おわりに 〜プロ講師として、同時に1人の人間として、人生を生き抜く〜

プロ講師になると決めたら最初に考えること

前述の通り、今回の記事は実際にプロ講師の扉を叩こうとする人への具体的なマニュアルとしてご活用頂きたいと考えているので、「そうだ!プロ講師になろう!」と最初に決意した時点で是非お考え頂きたいことをお話し致します。

科目や個人差があるのはもちろんですが、数十年の社会人生活をプロ講師として働き抜き、同時に1人の人間として家族や恋人等と幸せな人生を送る為に、以下のことを考えておく事が必要ではないかと私は考えます。

プロ講師になりたい理由は何か?本当に自分に向いていると思うか?プロ講師のデメリットを乗り越えられる自信があるか?

いきなりマイナスな事を問いかけてしまい、申し訳ありません。ですが、これは正直1番大事な事だと思います。

仮に貴方が大学4年生の22歳だとして、定年まで約40年間、プロ講師として働き続ける覚悟があるかどうか?

脱サラの方も同じです。既に他の方も記事で書いておられますが、プロ講師は安定性が低く、資格も無いので他業種への潰しが効きにくいと言えます

また、仮にも教育者ですので、反社会的な行為や信用を失墜するような行為をしてしまった場合、1回でその業界から出ていく事にもなりかねません

正社員や専任教員等と比べれば自由度の高い仕事ですが、裏を返せばその分自己管理と自己研鑽を維持できる人でないと、長期的に働いていくことは難しいでしょう。

特に「飽きっぽい」「短気」「時間にルーズ」「他人に合わせるのが苦手」な人は、相当なカリスマ性などのズバ抜けた他の能力でもない限り、長期的にプロ講師を続けることは難しいでしょう。

なんとなくその業界のプラスのところだけを見て、自分の性格や相性も考えないで漠然と飛び込んだ結果、貴重な人生の一部を無駄にして欲しくはありません。

私だけでなく、様々な方がプロ講師・予備校講師などのデメリットを書いた記事を出しておられます。それらを見た上で、以下の事をよく考えてください。

 

自分はなぜプロ講師になりたいのか?この仕事の何に惹かれたのか?

自分の性格・長所・短所を冷静に・客観的に分析して、本当にプロ講師に向いていると思うか?

プロ講師のデメリットを理解した上で、どのようにそれらと向かい合うかのイメージは自分でついているか?

 

大学の就職活動の中で「自己分析」がありますよね。それと同じです。

上記の3つをよく考えて、その上で覚悟ができたら、胸を張って「プロ講師の扉」を叩いて頂ければと思います。

 

プロ講師としての自分の武器は何か?どの領域を専門とするか?

マイナス面との折り合いがついたところで、今度はプラス面です。

プロ講師を目指される方の中には、既に学生時代に塾講師などを経験した結果、この仕事に魅力を感じてプロ講師を目指そうとなさっている方も多いでしょう。

その場合、過去の経験の中で「自分が何を教えるのが一番上手にできたか?何を教えている時が生徒の反応が良かったか?何を教えている時が一番楽しかったか?」などの自己分析をして下さい。

複数の教科を指導する小学校の教員等と違って、プロ講師は専門性が求められます。裏を返せば、なんでもかんでもできるようになる必要は無いのです。例えば、以下の事を考えてみて下さい。

 

Ⅰ、どの科目で行くか

Ⅱ、どの領域(国公立大・早慶上智・中堅私大・共通テスト対策・推薦入試対策など)を中心に極めるか

Ⅲ、(状況に応じた臨機応変な対応は前提として)基本的には俺の授業はこれだ!と言える自分の武器は何か

 

何もその領域に該当する大学を必ずしも出ている必要はありません。

ただ、自分が一番教えたい領域・何を聞かれても対応できるまで研究できる領域は何かを考えてみることは大事です。

勿論、色々な領域が指導可能なら仕事の幅が広がりますが、プロ講師として求められる水準に達していない領域をいくつ作ってもしょうがありません。

まずは一生教え続けられそう・勉強し続けても飽きない、そんな領域・科目を考えてみましょう。

「プロ講師募集」に応募する際の注意点

さて、以上の形で決意と目標が定まったところで、いよいよプロ講師の職を探して行きましょう!

ちなみに「いきなりプロ講師の募集に申し込んで大丈夫ですか?少なくとも数年間は入試問題などを研究してからの方が良いのでは・・・」と思われる方もいるかもしれません。

あくまで私の考えですが、実際の教壇に立たないで机で入試問題を研究してばかりいても、知識ばっかりの頭でっかちになってプロに必要な授業力はつきません。

「習うより慣れよ」ではありませんが、現場での経験はどんどん積んだ方が良いと思います。授業の無い時間で研究はできるはずです。

また、プロ講師の採用試験を受験して合格すれば、少なくとも企業側から見て貴方にはプロ講師として最低限の実力があると判断されたということですから、臆せず堂々とプロ講師として飛び込んで行けば良いと思います。

もし不合格だったら、他のプロ講師の採用試験をどんどん受ければ良いし、何社受けてもあまりにも脈が無さそうならそれはおそらく貴方の授業力などの根本的な問題かもしれませんので、最初は一般講師としてキャリアを積んで、その後に改めてプロ講師の試験を受ければ良いのです。前向きに考えましょう!

 

さて、本題に入りましょう。

この「塾講師ステーションキャリア」を始め、プロ講師を募集しているところは皆様の想像以上に沢山あります。

少子化の世の中だからこそ、大切な自分の子供に良質な教育を受けさせようと考える親御様は多いのです。試しに「塾 プロ講師 募集」と検索してみて下さい。沢山ヒットします。

その中でも応募する際に注意してもらいたい部分を以下に挙げます。

時給は最低3000円以上

プロ講師としての最低限の報酬だと、私は思っています。

以前の私の記事で「時給5000円が目標」と書きましたが、それはあくまで中間目標です。

スタートの時点で3000円を切る報酬の場合は、プロというより、大学を卒業した講師を学生講師の延長線上のアルバイトとして雇っている場合が多いと感じます。

自分でプロを名乗る以上、安売りはしてはいけません。自信が無いなら報酬に見合った価値を提供できるように自己研鑽すればよいのです。

「授業に集中して下さい」とあれば、なお良し

募集記事の中に「先生方は授業に集中して下さい」とある場合、電話対応・印刷・教室管理などの業務は基本的にノータッチで授業とその準備だけに集中できるということになります。

当然講師としては良い環境ですし、それだけその会社が講師のスキルを大事にしているということだと私は感じます。

「集団指導」の方が良い

これは意見が分かれると思います。

実際「個別指導・家庭教師・オンライン講師」などでも集団指導以上の報酬を提示している会社はあります。

医学部指導・東大対策・中学受験でも御三家指導などのプロ講師募集は個別でも高額な報酬を提示されています。また家庭教師や個別指導も、プロとして極めるなら集団とはまた別のスキルが必要です。

ただ、経営効率的に考えてもやはり全体としては集団指導の方が報酬は高いですし、プロ講師の募集としては集団指導のスキルはあるに越したことはないと思います。

私も集団指導が中心ですが、間にちょこちょこオンラインの個別指導なども行います。両立するのも良いですが、プロとして全体的に稼ぎやすいのは集団指導でしょう。

「学生不可・社会人講師募集」と明記してあれば、なお良し

塾によっては、同じ教室内に学生講師とプロ講師が同時に存在して働いているところもあります。

私も最初はそういったところで働いていましたが、大学生の講師の方と話題が合わないことも多く、やはりプロのみがいる環境で切磋琢磨したいと思い、その教室から転職しました。

なかには大学生と一緒に働いて、彼らに色々教えてあげたいと思われるプロの方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう場所であまり学生講師の方に上から色々教えようとするプロ講師の方は、逆に煙たがられることも多かったりします。もちろん人や環境次第ではありますが。

応募前にその会社をよく下調べすべし

これは必須でやっておいた方が良いと思います。通常の就職活動と同じですね。

募集要項以外のその会社の評判・口コミ・経営状況など、インターネットだけでなく働いている人に聞いてみたりして、情報をできる限り仕入れて、その中で御自身でよく考えて採用試験を受けるか決めて下さい。

ただ1つ気をつけて欲しい点があります。

その会社の経営状況や全体の売り上げが高いからと言って、その売り上げをプロ講師(非常勤講師・外部委託等)に還元している会社かどうかは別です。

その会社の方の正社員のお給料は高いが、プロ講師をはじめとした非常勤講師の給料は中々上がらないという場合もあります。

会社の経営状況・生徒や保護者の評判・オンライン授業などの新しい時代の教育の波に乗ろうとしているか・そしてプロ講師の待遇はしっかりしているか。この辺りをしっかり調べてから、採用試験を受けるようにしましょう。

 

塾か、予備校か

まず塾と予備校の違いから考えましょう。

本当はこれだけで記事1本書けるレベルのテーマなのですが、今回のテーマに合わせた部分だけピックアップしてみます。大きく分けると以下のような点が異なります。

 

予備校講師は社会人のプロのみで固めているところが多く、塾講師は学生の割合が多い

予備校は受験対策を中心とした集団授業がメインの所が多く、塾は学校の補習を含めた基礎的事項を丁寧に進める個別・少人数型指導が多い傾向にある(特に昨今の少子化の時代は尚更)

予備校は講師を看板にしている所が多く、塾講師は会社としての全体的な教育システムの一部という位置づけである事が多い

 

もちろん会社によりますが、両者はこのような異なる特徴を持っています。

特に3つ目ですが、予備校はそこに所属するプロ講師を看板商品として掲げている所が多いです。予備校のHPを見ると、プロ講師の熱いメッセージと顔写真が載っている事が無いですか?例えばこんな感じです

受験指導を中心とする予備校にとって、専門的なノウハウを持っているプロ講師こそが会社の宝であり、彼らの活躍や実績が会社の業績をもろに左右するのです。当然、優れた講師にはそれに見合った待遇を用意しようという事になります。

もちろん塾が講師を大事にしていないというわけではないのですが、前述の通り塾は生徒一人一人の性格に合わせた丁寧な対応を売りにした会社全体のシステムで勝負している所が多く、プロ講師と言えどその中の一部という位置付けである所が多いのです。

ゆえに、プロ講師としてのキャリアを上がっていくなら、予備校講師を目指した方が良いと私は考えます

ただ前述の通り、予備校講師はいわゆる”看板”ですから、そう簡単に採用されません。

特にこの少子化・コロナ禍の中で健全な運営が出来ているような優れた予備校であれば尚更講師採用のハードルは高くなってきますので、塾でプロ講師をまずは目指すことは得策とも言えるでしょう。

ちなみに、私の知り合いの予備校講師の方は、大手塾の大学受験科でプロ講師として経験を積んで、そこから満を持して予備校講師の採用試験を受けた方が何人かいらっしゃいます(実はかく言う私もそのパターンなのです)。

人それぞれのキャリアの積み方がありますが、つまるところ無理なく自分らしくプロ講師の階段を登っていければと思います。

紹介/コネ入社について

「コネ入社」と言うとなんだか聞こえが悪いですが、要するに「既にその会社で活躍している先生や、名の知れた先生に紹介してもらって採用試験を受ける」と言う事です。

これは塾・予備校側としても「あの○○先生のお墨付きなら安心だ!」となるので、当然採用されやすく(筆記試験・模擬授業等が免除され、履歴書・面接のみの場合もある)、さらには1から自分で採用試験を受けるよりスタートの時給が高くなる場合もあります。信用はやはり大事ですね。

ただ、お断りしておきますが、紹介による入社が有利なのはあくまで最初だけで、そこから先のステップアップは自分の努力次第です。

私も実はとある予備校に、そこで既に御活躍されている先生の紹介で入社した事があります。ただ入社後はその先生の顔を潰したくも無いし、何より自分自身の力でそこで認められたいと思ったので、必死で頑張りました。

その結果、入社後「私自身の授業」に対する評価として時給も上げて頂けましたし、色々な活躍の舞台も頂けました。

さて、そのような紹介をして頂けるにはどうすれば良いか?ですが、これはやはり人脈を作るに尽きると思います。「有名な先生に手当たり次第取り入って媚を売れ」と言う訳ではありません。

紹介する側だって、自分が紹介した人がその会社でしっかりやってくれることを望む訳であって、ただ紹介目当てですり寄って来て、自分の見えない所で手を抜くような人間を紹介しようとは思いません。

難しい事ではありません。

1つ1つの仕事に誠実に向き合い、挨拶をはじめとした基本的なコミュニケーションを大事にし、その上で自分の尊敬する先生や相性の良い先生に自然に話しかけて、仲良くなっていく、まずはそこからです。

そうして仲良くなった上で、相手が自分に興味や好意を持ってくれたら、「プロ講師としてステップアップしたい」と言う自分の目標を話してみてはいかがでしょうか?

相手も「自分にできることはしてあげたい」と思って、「俺の知ってる○○でやってみないか?紹介するよ」となるのではないでしょうか?

おわりに 〜プロ講師として、同時に1人の人間として、人生を生き抜く〜

いかがでしたでしょうか?

色々と書かせて頂きましたが、結局その先生次第であることは言うまでもありませんし、私も定年までこの仕事をやり切った訳では無いので、今後の人生で何が起きるかは分かりません。

ただ言えることは、今現在「一生やり抜く仕事」と位置付けて、自分なりに誇りを持ってプロ講師をやらせて頂いているという事です。

ここに至るまでは様々な葛藤も大いにありましたし、平坦な道ではありませんでしたが、悩んで試行錯誤する事によって同時に人間としても一歩一歩自分が成長して行く事も感じました。

安定したレールをあえて外れて、歴史の浅いお仕事の形態を選んでいるのですから、悩んで当然です。

百人いれば百通りの人生があるように、プロ講師としてのあり方も様々です。ただその中でも誇りを持って自らのプロ講師としての人生を生きて行って頂けたらと思う次第です。

それではまたお会い致しましょう!

 

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中林 智人

記事執筆者:中林 智人

高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。

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