時給5,000円を稼げる授業をする為に必要な4つのこと
こんにちは!国語科講師の中林です。
プロ講師としての基本的な心構え、非常勤講師との掛け持ちという働き方の紹介という形で記事を書かせて頂きましたが、今回はいよいよ実際に授業を行う際に必要なことのお話をさせて頂きます!
しかし、ただ良い授業を行う方法論を書くだけでは味気無いので、タイトルの通り「時給5,000円を獲得する」という具体的な目標を掲げて、それに値する授業を行うために必要なことという形でお話させて頂きます。
なにもお金がすべてというわけではありませんが、第1回目の記事でもお話致しましたように、プロ講師は給与交渉も含めてお金にシビアになっていく必要性はあると思います。
中林 智人 なかばやし ともひと
高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。
目次
・なぜ時給5,000円なのか?
・1、教科書を越えた授業をすべし
・2、生徒の頭に汗をかかせるべし
・3、板書・発声・抑揚・目線・時間の使い方、すべてに注意すべし
・4、生徒目線に立ちつつ、生徒を引っ張るべし
・5、終わりに〜未来のエリート&リーダー達の心に一生残る財産を渡そう〜
なぜ、時給5,000円なのか?
以前の記事にてお伝えしましたが、プロ講師を「講師業で生計を立てられる者」と定義する場合、私は最低でもこの時給5,000円というラインが求められると考えています。
例えば、高校の非常勤講師をやる場合、多くの先生が18コマ前後を1つの学校でこなされる事が多いと思います。厚生労働省が定める法定労働時間が週に40時間ですが、週18コマの授業に、前回もお話した付随業務や授業の予習・準備等を合わせると、総労働時間は大体この週40時間位になります。
もちろん、人によって授業準備にかける時間は異なりますし、特に若い先生方はいくらでも時間をかけて授業準備に臨んでもらいたいところではありますが、長期的に健康に働ける適正な労働時間という観点から考えると、こんなところかなと思います。
学校の1コマは50分のところが多いので、先ほどの時給5,000円(1コマ50分とすると厳密には時給4,166円)を踏まえて次のように計算してみます。
4,166円(1コマ50分とした際の時給)×18コマ(1週間のコマ数) × 52週(1年)=約390万円
つまり、時給5,000円で平均的な社会人の労働量をこなした場合、400万円程度の年収が手に入ります。
これは大卒会社員の平均に近い額です。当然そこに夏期講習や冬期講習等の手当てが別につけば増額します。
ただ気をつけなければならないのは、上記の式は1週間の収入を単純に52倍(1年分)していますが、これは一年間で契約した授業コマ分の報酬を12分割した額を毎月頂ける、いわゆる固定給型の支払いシステムの場合です。
塾や予備校の場合は「純粋に授業をした分だけ」しか報酬を頂けない場合の方が多いので、その場合また上記の年収見込み額は増減する可能性があることを御承知おきください。
さて、それも踏まえた上で時給5,000円というラインが、プロ講師として越えるべき壁であることを御理解頂いた上で、ではどうすればそれだけの時給を頂ける授業をできるようになるのかというお話に移りたいと思います。
1、教科書を越えた授業をすべし
私は文系ですので、文系科目で言うと歴史・古文・漢文などの暗記の割合が多い科目をイメージして考えたいと思います。
例えば日本史ですと「山川出版社」などの非常に優れた教科書があります。それを1回読めば皆受験で100点獲れる!となったら誰もわざわざ塾・予備校に通いません。古文でしたら例えば学校の授業では教科書の本文を先生が品詞分解して現代語訳していき、それと並行して古典文法や古文単語の小テストを実施していくというところが多いでしょう。
しかし多くの高校生は教わったことをノートに書き留め、定期試験前にそれらを暗記し、試験が終わったらすぐに忘れてしまうことが多いように思います。制限時間内に初見の文章を読み解いて問題を解かねばならない受験レベルには、それだけで到達するのはかなり困難です。
そこでプロ講師がするべきことは何か?
学校で教わった、あるいは自学自習できる範囲を越えた内容の提供です。
古文だったら単語一つであっても、その起源や成り立ち・類義・対義的意味を整理して実践的で効率的な覚え方を伝授し、物語の読解だったら作品の場面・世界観を図や絵などを使って分かりやすく伝え、高校生に嫌われがちな古文をむしろ好きにさせるところまで持っていく。
難関大受験生向けのクラスですと現代語訳や解釈も生徒が自分でできるように導かねばならないので、ただ答えを一方的に教えるのではなく、なぜその訳や解釈になるのかを論理的・多角的に説明する事も必要です。
もちろん上記の形はあくまで一例で、先生方によってやり方は色々ありますが、「多くの生徒を惹きつけ、多額の報酬を頂ける魅力的な授業」というのは、このようなたゆまぬ自己研鑽による工夫溢れた授業であるはずなのです。
2、生徒の頭に汗をかかせるべし
授業には「教え授ける」という意味が含まれていますが、これを「一方的な知識の伝達」と勘違いしている人が一定数いるように感じます。
昨今の教育業界では「アクティブラーニング」とか「思考力の育成」とか、とにかく生徒に自発的に考えさせることを主眼とした教育論が広がっています。私も高校で授業をする時にはこれを取り入れることも多いですが、このような教育法の多くは漠然と「班ごとに分かれて○●について話し合ってみよう」「その結果を班ごとに発表してみよう」というレベルで終わりがちです。
それでも一方的に講師の話を聞いているより生徒としては集中力が続くので、そういう教育法を授業の中に盛り込んでみることも効果的なのですが、こういう活動型の授業を行う場合、通常の対面型講義形式の授業以上に授業構成を念入りに計画しておく必要があると思います。
例えば「国語総合」の教科書に出てくる芥川龍之介の『羅生門』をアクティブラーニングで取り扱うなら、下人の心情はどの班が担当するか、班ごとの討論の時間は何分くらいとるか、生徒の自発的な解釈・意見を導き出す為にどのようなアプローチ・助け舟を講師が出すか、評価体制はどのようにするか・・・等、事前に講師側が考えておくことは沢山あります。
これは教科書に採録されている文章なのでどちらかというと学校の授業で行うことですが、これからは塾・予備校業界でもこのような生徒の思考力を育てる授業が取り入れられていくと思います。
現に大手予備校や塾もここ数年、このような教育システムの構築を積極的にプロジェクトチームを組んで行っているところが多いのです。
ここまでいかずとも、通常の塾・予備校授業の対面授業の中でも発問やアプローチの仕方一つで生徒に考えさせることはいくらでも可能です。生徒のレベルに合わせて教材の予習時に発問するところ、時間をとって考えさせるところ、生徒が答えを出せない場合のヒントの出し方などを事前に考えておきましょう。
欲を言うなら、授業中に教えた知識を確認するだけの単純な一問一答式の発問レベルだけではなく、一つの事柄についての子供達の経験や考えを踏まえた主体的な発問も含めて欲しいですね。
とは言っても最初はなかなか難しいでしょうが、経験や勉強を重ねてこれが上手にできるようになってくると、例え90分の授業と言えど生徒は時間の経つのを忘れて取り組めますし、ただボケーっと聞いている訳にもいかないので真剣に取り組まざるを得ません。
講師側としても生徒が考えている間に落ち着いて全体の状況や反応を確認する時間が取れますし、生徒の発言を聞いて彼らの理解をより正確に把握することができます。結果的にそういう授業の方が生徒のその教科への興味も上がり、成績の向上にも繋がることが多いのです。
「今日の授業、色々考えたけど面白かったね」と生徒に言ってもらえてたら、もう勝ったも同然です!
3、板書・発声・抑揚・目線・時間の使い方、すべてに注意すべし
私は大学生の頃、大手学習塾の「臨海セミナー」さんで正社員の内定を頂き、入社までに徹底した模擬授業研修を重ね、授業の基礎を叩き込まれました。結果的にそこの内定は辞退させて頂き高校教員として就職したのですが、そこで教わった授業の基礎は大いに講師としての私に役立ちました。
他の先生もおっしゃっていましたが、自分の授業をビデオ撮影して、聞いている立場から見て客観的に自分の授業が分かりやすいかどうかのチェックも何度もしました。
私の場合、自分では気づかないうちに早口になってしまうことが多いので、「これ高校生が聞いていたら聞き逃しちゃうかもな」と反省して、大事なところは特に意識してゆっくり、大声で、繰り返し話すようにしています。
また、「はい!いい?今から大事なこと言うからね、ちゃんとこっち見て聞いてね!いい?大丈夫?OK?ボーッとしてない?」などと、生徒が皆こっちを向くまでしつこく確認し、その上で完全に生徒の注目がこちらに集まったところで満を持して重要事項を講義するなど、「話すのではなく、分かってもらう」ことを意識し続けました。
その他にも、授業の話し方にも抑揚をつけて、大事なところはジェスチャーなども効果的に混ぜ(私の授業を見た上司に「中林劇場」と言われたこともあります笑)、とにかく教室にいる生徒全員に分かってもらいたいと言う気持ちを全身から絞り出すのです!
繰り返しになりますが、授業は「講師が話すこと」が目的なのではなく、「生徒に分かってもらうこと」が目的なのです。
さらに言うと、「講師は全部分かっていることを話す」のに対して「生徒は分からない・知らないことを学ぶ」のです。
その違いを意識して、独りよがりな授業にならないことが大切です。
また、板書に関しても常に注意しましょう。
板書自体は見やすい方が良いに決まっています。特に基礎クラスを受け持つ場合には、生徒が後から振り返って復習できる板書を心掛けるべきだと思います。
私の場合、「基礎古文読解」等の授業なら、授業前の休み時間や演習中に黒板の右側2/3位のスペースに本文を板書します。もちろん行間に文法事項や単語等の情報を書き込むために3行ほどのスペースを空けます。黒板の左側1/3のスペースは、場面を説明する為の絵や表、文法事項を整理した表等を書きます。
以下に実際に授業で使った板書はこのような感じです。
「現代文演習」でしたら、段落ごとの構成表や本文の対比構成を表にしたものを書いて、説明する時は必ず生徒の顔をこちらに向けさせて説明します。
難しい評論文の場合などは板書をメモ取りながら解説を聞くのは理解が追いつかない事が多いので、板書を書き写す時間は別に指定します。
こちらも板書画像を載せます。現代文は説明しながら黒板にどんどん線や書き込みをしていきますね。
「何を書くか」「どのチョークの色で書くか」「いつ書くか」「いつ説明するか」最初の内は特に細かく準備して臨む事をお勧めします。慣れてくれば自然と自分のパターンが出来て、予習時間も短縮できます。
4、生徒目線に立ちつつ、生徒を引っ張るべし
ここまではどちらかと言うと生徒の状況に寄り添った授業法についてお話しましたが、実は生徒の立場に寄り添いすぎる親切な先生より、力強く生徒を引っ張り自分の世界に惹きこんでしまう先生の方が生徒評価は高かったりするのです。
皆さんも思い浮かべてみて下さい。大人になった今でも記憶に残っているカリスマ講師の授業は、どんなものでしたか?
分かり易い説明、綺麗な板書、そう言ったものよりむしろその先生の大人としての体験談・あるいは厳しい叱咤激励・その上での最後の授業の感動的な挨拶の方が記憶に残っていたりしませんか?
受験という先の見えない厳しい戦いに臨む生徒達の中で、しっかりと目標を見据えて計画的に突き進める強い意志を持った子は多くありません。しかも高校入試と比べて難関大学の入試は倍率も高く、「落ちるものは落ちる」シビアな戦いとなります。
その中で自分の偏差値が目標に届かない、あるいは勉強をやる気にならない、問題が解けない等、生徒は多くの悩みや不安を抱えています。
そういった時、彼らに寄り添って親身に話を聞いてくれるサポーターの存在は当然大きいのですが、人生の先輩として彼らに進むべき道を示して、時には間違った道を進みそうな生徒を叱咤激励する大人の存在も必要なのです。
別の記事でもお話し致しましたが、プロ講師は社会性が必要です。大学に合格し、やがて社会に出て行く子供達の心の灯火(ともしび)となる話ができる指導者こそ、本当に生徒を惹きつけられる、ひいてはお金を稼げる講師なのだと私は思います。
5、終わりに〜未来のエリート&リーダー達の心に一生残る財産を渡そう〜
いかがでしたでしょうか?
これらを意識して、授業のクオリティを上げ、その上で自信を持って積極的に給与交渉をし、プロとして生きていける時給5,000円の壁を、そしてさらにその上を目指して、頑張っていきましょう。
そしてそれだけでなく、学校の先生方とは異なる立場からではありますが、明日を担う真のエリート&リーダー達をこの手で育て、彼らの心に一生残る財産を渡せる講師になりましょう!
ではまた次回お会いしましょう!
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